西武鉄道車両検修工場一般公開
検修場祭り見て歩記・・1

以前はあまり鉄道関連のイベントを行わなかった西武鉄道、確かに所沢に検修場が有った頃には敷地が狭くとても公開は出来なかったでしょう。
武蔵丘に検修場が新しく移設された事もあり昨年から”検修場祭り”として一般に公開されました、工場にある機器を上手く用い、検修場ならではの工夫でお客さんを楽しませてくれました、2003年の2回目に時間を合わせて出かけて見たその様子をちょこっとご紹介。



当日はこの時期には珍しい台風の影響であいにくの雨模様、しかし西武鉄道の計らいで池袋からの定期列車を一本検修場まで臨時列車として運転してくれるとか・・私は途中駅からその列車に乗車、ホームにはそれと解る家族連れ等が沢山見られました、もちろん私もその1人ですが・・。(^^;;;
ホームに入ってきたのは画像の9000系、この時点では臨時ではなく”定期列車”の飯能行きです、先頭車には特急の10000系ニューレッドアローをモチーフにキャラクター化したヘッドマークが取り付けられていました。
車内は8〜9割ほどの乗車率でしょうか・・結構混んでいました、やはり周波数が同じ様な人たちが沢山・・。
定期列車として終着の飯能へ到着後いよいよ臨時として普段は乗客を乗せては走らない場所に入っていきます、途中東飯能駅が有るのですがそこは通過扱い、程なく営業路線の本線から分かれ検修場への線路へ乗り入れました。
本線から分かれ一旦停車した後車内放送にて到着まで後15分程かかるとの知らせが・・”安全確認”との事ですが普段は乗客を乗せて走る線路ではないので信号形態も違うのでしょう、念には念を入れ・・で途中何回も停車しながら検修場の検査線へしずしずと入っていきます。


左の画像は検修場で頂いたパンフレットの画を使わせて頂きました、私達の乗った臨時列車はこの画像の一番右6000系(青いラインの列車)が止まっている”検査線”へ入りました、雨の中濡れずに検修場へ入れたのは有り難い限りでした。


検査線にも駅のホームと同じ高さに金網状の渡り板、中の画像(パンフレットより)で6000系が止まっている左側が有るのですが精々係員数名程度が歩ける強度しかなく、一度に沢山のお客さんが下りると破損する危険性も、ほぼ定員に近い乗車率で10両編成・・1200人程度は乗っている可能性が有ります・・安全確保のため10両編成の電車で開けられたドアは3ヶ所のみ、普段は非常時のみ扱われるドアの非常コックを操作し手でドアを開けた物と思われます、係員の説明で混乱もなく順番に下りて行きます、慌てなくても工場は逃げませんので・・。
開かれたドア付近の渡り板部分は鉄パイプで床が補強されていました、しっかり安全策は取られています。
列車を降り、臨時の改札口へ通じる所には手作りの”ようこそ検修場へ”の看板がお出迎えです。


検修線への出入り口のシャッター部分(左)、なるほど・・シャッターが閉じられる時は架線がこの様に切れる様になっているのですね。
通路には臨時の改札口が有り切符の集札や清算が出来るようになっています、切符は営業線の東飯能まで必要となっていました。
右の画像はレオカード、パスネットの出場処理をするための端末、カードを係員に手渡し、東飯能までの料金が差し引かれます。
切符やカードの扱いはどうなっているのかちょっと気になりましたが心配はご無用だった様です、いよいよ検修場内へ足を進めます。



順路とは違う回り方をしたかも知れませんがまず展示して有ったのは密着連結器(左)、回り子式と呼ばれるタイプで構造がシンプルな連結器です、このタイプは先頭車に取り付けられていて簡単に連結や解放が出来、空気管も組み付けて有るので同時に空気管も繋ぐことが出来ます。
西武鉄道の場合は連結器の下に電気回路用の電気連結器も取り付けられ、同時に回路を接続する事も出来ます。
中は展示して有った物ではありませんが中間車の連結器で普段は解放する事が無いため半永久連結器と呼ばれる場合もあり連結はボルトナットでしっかり固定されます。
鉄道会社によっては本当の1本棒の構造だったりしますが西武の場合は連結器に空気管が組み付けられている事が解ります、その為連結面間に空気ホースを渡す事が無く安全性も高いと見られます。

次は電車の象徴とも言えるパンタグラフ、整備を終えた物が専用のラックに収められています、隣には上げた状態で固定されたパンタグラフ、ワイヤーで止めてあり架線が無くても極端に跳ね上がらない様に展示して有ります、普段は屋根の上にあり身近に見ることは無いですが側で見るととても大きな物です。
ステンレスパイプを組み合わせて作られていて、バネの力で上昇、架線に一定の圧力で接触する仕組みです、下げるときは空気圧を用い、下げるためのシリンダーに空気を送るとその力で折りたためられカギでロックされます、上げるときはそのカギを電磁石や空気圧で操作するか紐を引いてロックを外せばバネの力で跳ね上がります、このタイプのパンタグラフはバネ上昇形と呼ばれ、電車に多く使われています。
他に空気上昇形と呼ばれるパンタグラフも有り、その名の通り空気圧で上昇、空気を抜くと下降するタイプで主に電気機関車に多く用いられています。

その整備を終えたきれいなパンタグラフを使ってこの様なコーナーが・・、”パンタグラフ操作体験”と称してパンタグラフの上昇、下降をスイッチ操作で体験出来る物、ボタンを押す事により目の前にあるパンタグラフが動き、普段は見ることの出来ない所なので子供達にも人気で長い列が出来ていました。
架線がないためパンタグラフが完全に跳ね上がらないように工夫がしてあり、菱形の一番きれいに見える所で止まります。
(黄色いT字形の金具で止めます。)


左の画像は”高所作業車体験”のコーナー、子供さんにはちょっと大きめのヘルメットですがちゃんとヘルメットをかぶり安全ロープを装着しての体験、係員の操作で台がせり上がりレッドアロー特急電車の屋根を見下ろす事ができます、お父さんはお子さんの記念撮影で奮闘中です。(^^)



左の画像は”トラバーサー乗車体験”・・トラバーサーとは整備のため1両ずつに切り離された車両を工場内で横方向に移動させる台車の様な物、普段は長さ20m、重さ40tにもなる車体を運搬するもで、それにお客さんを乗せて行程の半分程度を往復させていました、これもこの様な時でなければ乗ることは出来ませんね。
←はトラバーサーの運転装置。





←この様に普段は車両を載せて各整備部署に移動させるのに用いられます、左側に写っている黄色い小さな車両は”アント”と呼ばれる車両移動機・・小さくても力持ちです。(この画像はパンフレットから使わせて頂きました。)


トラバーサー台車は2組有り、もう1組は催し物用の舞台に使われていました、トラバーサーの走行路は一段低くそこにイスを並べて客席とし、舞台には丁度良い高さになった様です、上手く考えたものです。
(左の画像。トラバーサーを利用した舞台)
またそのトラバーサー走行路の空き部分には色々なブースが出店し鉄道グッズや、その地域沿線の名物とか特産品を販売して賑やかな雰囲気でした、私も西武鉄道2000系のチョロQや西武鉄道の車両シールを購入、他にも買いたい物が色々有りましたが財布の中身の都合であきらめモードに・・(^^;;;。
中画像はトラバーサーの走行路に設けられた休憩スペースとお店。





工場内へ進んでまいります、検修場ならではの体験コーナーも色々。

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