ぶらり散歩、成田の航空科学博物館


2006年年明けに土曜と休日に利用できるJR東日本の近郊区間乗り放題フリー切符を用い、以前から行ってみたいと思っていた成田空港側にある航空科学博物館にブラリと行ってみました、ここにはNHKのテレビ番組プロジェクトXにも登場した国産旅客機YS-11の試作1号機も展示されています。
地元駅から東京へ、東京の総武線快速地下駅から快速エアポートに乗車、15両編成と長い列車だが千葉寄りの3両がクロスシート・・ボックスシートと呼ばれているシートがある、分類的にはセミクロスシート車と言われる車両だが同じ乗るならと先頭までホームを移動、残念ながらボックス席はほぼ埋まっていたのでドア横のロングシートを確保、一路成田へ・・通勤用の車両だが120Km/hの運転も可能で軽快に飛ばす、それでも1時間30分近くかかるが・・。
成田空港駅では改札を出ると直ぐに荷物検査の検問がある、今回私は手ぶらなので荷物のチェックは無いが行き先・・用件を聞かれ身分証明の提示が必要とされた、車の運転免許を出して航空科学博物館へ行く事を告げるとそれでOK、空港からの路線バスへ乗り継ぎが悪くタクシーを利用、しかしこれは失敗・・地図では2Kmを少し超える位と思っていたが空港の道路が一旦逆方向に向かっているため大回りとなり1500円を超してしまった・・時間はかなり短縮を出来たのだけど・・。
さて、その博物館は・・この様な所でした。


航空科学博物館の建物は円柱を組み合わせた様な形をしています、真ん中の管制塔をイメージさせる部分は上が展望展示室で成田空港を離発着する航空機が一望出来ます。
その下は展望レストラン、食事をしながらも空港がよく見えます、正に飛行機尽くしなのですね。
 
チケットを買い入場すると先ず頭上には日本で初めて飛行した機体のレプリカが展示してあります。
エンジンとプロペラの位置関係が不思議な感じ・・
 
玄関のあるフロアには航空機に使われていたレシプロエンジンも展示されています、星形のシリンダー配置が多い中に右の画像のエンジンも・・何処かで見たような・・アニメ紅の豚に出てきた飛行艇に搭載されていたエンジンとほぼ同タイプのV型シリンダー配置のエンジンです。
展示室への順路を辿るとボーイング747のカットモデルが展示されていました、この模型も同じ物があるテレビ鑑定番組に登場していた様な・・。
小さく見えますが買っても部屋には置けませんね・・。
こちらは今は引退してしまったダグラスDC-8のノーズギァ・・前輪です。
前輪には制動装置・・ブレーキが有りません。
案外支柱は細かったのですね、ステアリング用油圧シリンダーと地上滑走時に使用したと思われるライトが二組付いています。

デン!と置かれているのは747ジャンボジェットに使われているターボファン型ジェットエンジン・・実際に燃焼ガスを吹き出すジェットエンジンの前に風のみを後ろに吹き出すファンが有りターボファンジェットより騒音も抑えられ推力も大きく取れる構造だとか・・でもそのファンの割には実際に動力を生む圧縮機や燃焼室、タービンは小さい物なのです。
機体に取り付けられている時はエンジンナセル・・カウルの中に収まっているため見ることは出来ませんがこの様な形なのですね、実際にはこの回りにカバーが付き補機類も取り付けられるので複雑な感じにみえます。
比較する物が無いとわかりづらいですが空気の取り入れ口には大人が立って入れる位の大きさが有ります。

こちらは胴体の輪切り・・比較されているのは内側が国産旅客機だったYS-11の物、外側はダグラスDC-8の物になっていました、客室床下は荷物室ですが容量にかなり差が有ります。
ジャンボの輪切りも並べて見たい所です。

展示室の真ん中に有るのはボーイング747-400の大きな模型、1/8のスケールで全長9mも有ります、またこの模型は各部が実機と同じように動きます、ソリッドモデルでは大きい物があるそうですが可動するモデルでは最大級になるそうです。
操作は専用のコクピットから行います。

数えた訳では無いですが往年の航空機の模型がずらり展示してあります、プラモデルとして作られてない機種も有るので手作ではと思いますがかなりの数が有ります、恐らく記録として残っている機種を殆ど作ってあるのでは・・画像はその一部で懐かしい機種も見られます。

最近の航空機には駐機中にエアコンやサービス電源を供給するために747では垂直安定板の下に専用のAPUと呼ばれる補助動力エンジンが備え付けられて居ます、ただ長時間の駐機では燃費もバカにならずジェットエンジンなので騒音も大きいため成田空港では電源と空調用の空気を地上施設より供給するGPUと言うシステムを採用し始めたとか・・このモデルはその説明です。
地下にその設備が有りフィンガーに止まっている機体に供給されている様子が解ります、ただ機体にもその受け入れ機器が必要になるのでしょうね。
成田空港の模型・・完成予想と見られ横風用を含め滑走路も3本表されて居ます、しっかりこの航空科学博物館も表されてありました。
模型にはランプも仕込まれていてボタンを押すことによりその場所が解るようになっています。
画像には写っていませんが同じ縮尺の東京ドームも作ってあり比較が出来るようになっています。

これは第二次世界大戦で使われた海軍の零式艦上戦闘機のコクピットを再現したモックアップ、計器類は最近の物と思いますが必要最低限の物がコンパクトにまとめられていたことが解ります。
実際の戦闘で活躍した機種ですが子供達が喜んで乗り込みスティック・・操縦桿を動かす姿・・もちろん私は戦争を知りませんがちょっと複雑な気持ちに・・。

黒い四角い箱は実機での機関砲を表しているのでしょう、こんなに室内に出っ張っていたのですね。
747ジャンボジェット用のタイヤと一般的な乗用車用ラジアルタイヤとの比較・・。
モノレールはミシュランタイヤでしたがこちらはブリジストンタイヤでした、直径はほぼ倍ですが耐荷重は一本あたり車用が約500Kg程度に対しジャンボジェット用は1.8tまで耐えられるとか、ちょっと見づらいですが表に色々数値も比較されていました。
3階の屋上展望デッキからの眺め、展示してある機体の一部です。
YS-11の試作機も見えます。
同じく屋上展望デッキから北方向、成田空港を眺めた所です。
 
博物館建物の一番高いところ・・展望展示室、一角には使われなくなった航空管制用の機器が展示してあり管制塔をイメージされています、南側から進入してくる着陸機と北に向かって離陸していく機体が良く見えます、夏には風向きが逆になるので違う風景が見られるでしょう。
この日は滑走路左側からの風が強く、パイロットが一番神経を使う横風・・細かく機体を修正して下りてくるのがよく解りました、乗っているお客さんも緊張しているかな?。
右の画像で白い上着を着てマイクを握っている方はこちらのスタッフ、土曜日曜の10時から16時過ぎまで離発着する機体の航空会社、便名、使用機種などリアルタイムに解説してくれます、手元には双眼鏡・・手が空いているときには簡単な質問も受けてもらえる様でした。
私もしばらく解説に耳を傾け離陸、着陸する機体を眺めていました・・午後は離陸する便より着陸する便が多いとか、侵入コースを見ると点々と着陸灯・・ライトが続きます、改めて見てその密度に驚きました・・滑走路の完成が急がれる訳です、もう一本短い滑走路が有りますが短距離で離発着出来る機種に限られ5〜6機に1機程度が利用している感じです。
離陸では長距離便で最大離陸重量いっぱいなのか加速も鈍く滑走路をフルに使って離陸していく機体も見られました、また航空法の変更で太平洋上を飛ぶ航路にも双発・・エンジン2基の機体が使えるようになり今後はエンジンを大型化して双発とした機体が増えて行くだろうとのお話、エンジンの信頼性が上がり出力も上がっているため1基でも飛行が続けられるので可能になったのでしょう、以前はエンジンが3基以上の機体出なければ太平洋を渡る航路で使用は出来なかったそうな。
整備にかかるコスト、燃費などもジャンボなどの4発機より双発の方が抑えられる事も有ります、今思うとかなり以前にシンガポールまで乗った機体もエンジン3基のDC-10型だった・・。
シミュレーター体験の整理券をもらえたので時間まで野外に展示してある機体を見物・・今回の目的の1つでもあったYS-11の型式認定に使われた一番機を見てみました、ここであのテレビ撮影もされたのですね、今見てもバランスの取れた良い機体です。
  
垂直安定板には”1”の文字も・・機内は試作機だったこともあり何かの測定に使われた計器と何やらタンクの様な物が並びます、その中にちょっとだけ座席も有りました、しかし何故か機体の右側に並んでいます。
画像は真ん中が機首から後ろを見たところ、右は逆に尾部から機首方向を見た所です。
  
そのYS-11のコクピット・・操縦席です、残念ながら入り口にアクリルカバーが張ってあり中には入れません、機器類の盗難防止のため致し方ないですね・・ちょっと埃は乗っていますが整備すればまだ動きそうな状態です、既に営業航空路線で乗ることはかなり難しくなってしまいましたが自衛隊ではまだ元気に空を飛んでいます、このページを作っていた日にも入間基地へ飛ぶYS-11を見ることが出来ました。
鉄道車両などでもそうですが盗難された部品などは自分でコレクションするのではなくオークションに出して現金にされてしまうとか・・オークション自体は良いと思いますが盗品が流れてしまうのは問題です・・。

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