2008年1月


 2008年1月14日 久々の映画評だ。「ボーン・アルティメイタム」と、「ショーシャンクの空に」。

 □ ボーンアルティメイタム 2007年アメリカ映画。ポール・グリーングラス監督、マット・デイモン主演
 「ボーンアルティメイタム」は、ボーンシリーズの第三作で年末公開された最新作だ。第一作「ボーンアイデンティティ」(2002年公開)では記憶喪失のたった一人のスパイと、この男を育成した組織との戦いが始まる。CGを使わない派手なアクションが見物だが、逃亡時に知り合ったマリー(フランカ・ポテンテ)という女と次第にうち解けてゆくような「静」の部分もしっとりとして良かった。第二作の「ボーンスプレマシー」は2004年公開され、昨年末には第3作のプロモーションのためにTV放映された。マリーとひっそりと暮らすインドのゴアにまで組織の手がおよび、マリーは殺される。ボーンはふたたび組織に立ち向かい、組織の全容が次第に明らかになる。第三作「ボーンアルティメイタム」は、殆ど息をもつかせぬアクションシーンの連続だ。第二作よりはよほど緊張感があるが、ボーンの内面の描写は少ない。以前組織側にいた女性(ジュリアスタイルズ)がボーンの逃亡に同行するのだが、ボーンが好意を寄せるまでには至らず、、ラストシーンは「ボーンが川へ転落したが行方不明」との報道を聞いて、ボーンの生存を確信した彼女がほほえんで終わる。アクション好きならともかく、第一作ほどの出来ではない。単なるアクションでなかった第一作。単なるアクションの第二作。秀逸なアクションの第三作、といったところ。

GAB2005年9月3日(土)  ボーンアイデンティティー

 □ 「ショーシャンクの空に」 1994年アメリカ映画。フランク・ダラボン監督、ティム・ロビンス主演、モーガン・フリーマン助演
 無実の罪で無期懲役となった銀行員アンディ(ティム・ロビンス)はショーシャンクの監獄に収容される。そこは、受刑者同士の暴行がまかり通る地獄だった。アンディは次第に仲間とうち解け、刑務官の税務相談や申告、所長の不正蓄財を手伝うようになる。周到な計画と準備によって、19年間トンネルを掘り続けたアンディは脱獄に成功し、刑務官達の不正を暴き、所長の不正蓄財を手に入れたうえで、メキシコで自分の希望通りの生活を始める。この映画は、刑務所でアンディの友人となるレッド(モーガン・フリーマン)の独白で進む。アカデミー賞俳優のモーガンフリーマンがむしろ主役と言って良い映画。
 いかなる希望も持てないような監獄の凄惨さと、長年隔離されると刑務所でしか生きられない人間になってしまうことが描かれており、希望を持ち努力をすれば報われるというハッピーエンドのストーリーであっても、いわゆる楽天的なハリウッド映画とは違うのだ。

オールシネマ「ショーシャンクの空に」



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