2005年9月

2005年9月3日(土)  宇宙戦争 (アメリカ映画)2005年6月公開
 スティーブン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演。ずいぶん宣伝されたからそこそこ観客動員数も多いのではないか。H・Gウェルズ原作の再映画化。前回の映画は1953年に制作されたが、こちらはたぶん見ていないと思う。原作は子供の頃読んだはずだ。圧倒的な力を持つ宇宙人に侵略されて人類はなすすべもなく殺戮されてゆく。だが宇宙人達は地球の細菌やウィルスの免疫を持たないために自ら死滅する。宇宙人の操縦する三つ足のビルほどもあるロボットと古典的なイメージの宇宙人そのものはCGである。映像はさすがにうまくて迫力があり、この映画の唯一の見物である。結末を陳腐に感じるのは原作を知っているのと、免疫力がない微生物が危険なことはあまりにも当然だからだ。もちろん原作が出版された1897年には大半の人々が知らない知識であっただろう。
 人間の体液を吸い取って空中に噴霧し真っ赤な血管のように根を広げていく植物を育てるシーンなど全体にグロテスクだが、無機的な絵よりも有機的な絵のほうが現実感があって生理的な恐怖が増すのかも知れない。迫力と映像を楽しむ映画だ。この点は映画館で見た友人と同意見。PCで見るのではなく大きな画面で見るべきとも言われたが、その通りだ。でもカネ払って時間つぶして見に行くほどの価値は無いかも。オールシネマの採点では7点。私は辛口で5点だがまあ7点は妥当なところか。DVDは未発売。 (オールシネマのトップ)
2005年9月3日(土)  ボーンアイデンティティー (アメリカ映画)2003年1月25日公開
 ダグ・リーマン(Dugu Lieman)監督、主演マット・デイモン(Matt Damon=ジェイソン・ボーン役)、フランカ・ポテンテ(Franka Potente =マリー・クルーツ役)
 記憶喪失の男ジェイソン・ボーンが何者かに追われているうちに、自分がCIAの秘密のプロジェクトによって莫大な費用をかけて育成された暗殺実行者であることを知る。デイモンの見事なアクションや派手なカーチェイスも見物だが、CIAの存続のために要人を非合法に消してゆくという、非情な組織に操られる孤独な殺人者が組織と戦うという、シンプルなストーリーである。
 ハードボイルドなのだが、逃走中に知り合ったマリーという女性に次第にひかれ、マリーも一緒に組織に追われジェイソンに気遣われる内に彼にひかれてゆく。美人でないし若くもないのだが、彼女の自然な感情の動きに我々もひきこまれてゆくのだ。この映画の魅力は、派手なアクションと対比して、地味な主演の二人がお互いを思いやるうちに次第に相手にひかれてゆくところである。記憶を失った男にとって初めての不器用な恋なのだ。偶然巻き込んだマリーを思いやり自分から遠ざけようとするジェイソンと、危険と知りつつジェイソンについて行くマリーの揺れ動く気持ちを十分にみせるフランカ・ポテンテが魅力的だ。
 この映画を教えてくれた友は、おすすめの映画をいくつも教えてくれた中で、おそらくこの映画が結構お気に入りなんだろうと思う。ちなみに「宇宙戦争」はおすすめに入っていない。
 ボーンアイデンティティーについて 「THE BOURNE IDENTITY」とは(ボーンの正体)。なお、続編「THE BOURNE SUPREMACY」(最高のボーン)が2004年10月に公開されている。

2005年9月10日(土) スーツファッション −初めての「ファッション」に関する話題
 男性スーツは現在も三つボタンが全盛で、二つボタンは年配向け以外は少ない。三つボタンのスーツはVゾーンの縦方向を狭くすることによってシャツの襟を立てて前を開きタイは幅広のものを太いノッチにしてバランスをとる。顔の大きい日本人向きの流行と言えなくもない。Vゾーンが狭くなると制服や軍服っぽくなり、ややフォーマルな印象が強くなってゆく。
 私はそれが嫌いで二つボタンでナチュラルなスーツを探していたが、ようやく昨年あたりから細いタイが出始めた。これはスーツの襟幅が狭くなりVゾーンが縦長になり、つまり二つボタンに戻る前兆である。肩パッドは薄くなりウェストの絞りは少なくなり全体にナチュラルな感じになりそうだ。色は現在と同様当分は黒系が主流だろう。安物の黒いスーツは喪服にしか見えず、この秋は老いも若きも黒のスーツになると思うといささかげんなりする。
 スーツのズボンは裾幅は十年ぐらいかかって次第に細くなったが、ヒップまわりも前タックも無くなるなど細身になりつつある。ウェストは浅め。今よりも体型を選ばない流行になる感じだ。
 今年のカジュアルウェアはジーンズなどの古着調ウェアの流行に合わせるように、わざと大きな皺を入れたものが全盛だったが、あまり売れているようには感じなかった。してみると古着ウェアもナチュラルなものを除いてはやりは長くないかも知れぬ。
 年齢とともにオンとオフの服装はきちんと区別したい、と思うようになった。単に男の服装としてスーツが結構好きなせいかも知れぬ。体型が二回りも細身になったのでTシャツが着られるようになった。するとカジュアルなウェアにもちょっと気を遣うようになり、チノパンポロシャツという定番ウェアを着なくなった。このお盆に高校の同窓会で大阪のホテルに同級生が150人ぐらいも集まったが、男性はほぼ全員がチノパンポロシャツまたは開襟シャツだった。シャツは全員がシャツの裾をズボンに入れたスタイルである。GパンTシャツは私だけだったように思う。サラリーマンのクールビズのルールではジーンズは禁止なのだが、今やジーンズはもっともコンサバティブなカジュアルなのだけど。もっとも私はONではスーツを着るので、なんとかビズには全く関心がない。それにしても小泉クンも開襟シャツならつばつきの帽子でもかぶってファッションでも十分にリーダーシップを発揮すれば?

 2005年9月17日(土) 
 この14日水曜深夜、東京町田から東名、名神経由で大阪の実家に着いた。平日夜の高速道路は同じ大きさの銀色の荷室を持つトラックの列が続き、ほぼ100km/h前後の定速度で走っている。車両はみんなま新しくきれいで黒煙をあげているようなトラックは無く、ディーゼルの独特の臭いもほとんどしない。トラック同士は微妙に速度が違うので、追い越す時には時間がかかる。乗用車はトラックよりかなり台数が少ないのだが、追い越し車線のトラックの後ろには乗用車が並ぶ。
 東へ向かう私の前に12時まえから上弦の月が前方や、やや右手に場所を移しながら、大きく見えてきた。月を追うように走り続けて、ノンストップで五時間あまりで大阪の実家に着いていた。MP3対応の新しいカーオーディオからは、気づくと20年まえと同じ曲が流れていた。だが私が知る30年ぐらいの内にも高速道路の様相は大きく変わり、いまは規格化された車両で銀色のアルミ製の大きな荷室を持つトラックが深夜の高速道路をずっと連なって走っている。
 一晩に1万台を超える数のトラックが走っているのではないか。物流は高速道路のトラック輸送が主力であることと、それが大変秩序のあるシステムであるように感じた。一方、一本の道路に依存した物流システムだと、経路上のどこか一カ所の事故や悪天候、災害などにより全体の機能が損なわれる。また、車両一台ずつを人間の運転手が運転して、それぞれにエンジンを積んで、一台ずつ管理をするのは、信頼性やLCA的にもまずいシステムである。
 トラックはドアtoドアというが、小口貨物は集積し積み替えている。ハブ機能を強化するだけで鉄道輸送は安全で早いシステムだと言える。ハブ機能は帰りの空荷も削減する。ハブ(トラックへの積み替え拠点)の構築とコンテナ方式対応のための車両の製造に莫大な初期投資が必要。ハブ機能の建設や維持管理、機能向上に合理的な競争が働きにくい。してみると輸送システムの合理的な競争を促すような仕組みが不足しているのだ。たとえば鉄道線路も通信などと同様共通インフラとするのはどうか。
2005.9.21(水) ダンシング・ハバナ(アメリカ映画2005.7.9公開)
 監督ガイ・ハーランド。主演ディエゴ・ルナ(ハビエル・スワレイス=キューバ人青年)、ロモーラ・ガライ(ケイティー・ミラー=アメリカ人18歳の少女)
 1958年キューバ革命前夜。官能的なダンスと音楽に心を奪われたアメリカ人少女とハバナで生まれ育った青年のラブストーリー。久々に映画館で観た映画である。
 ハバナの多数の男女が狭いホールでうごめくように踊るシーンが圧巻である。音楽とダンスがとても官能的なのだが、若い男女の恋はつたなくほほえましい。エンディングのダンスコンテスト決勝で革命の騒ぎが始まる。私はここでハビエルが死ぬと思ったが、死なずにケイティはアメリカへ家族と帰る。「ラストダンスではなかった」というケイティの独白で終わるのが物足りない感じ。
 Mさんの感想:音楽やダンスがさほどセクシーとは思わなかった。楽しめるラブストーリーでとても気に入った。
 私はこの映画のサンタナ他のキューバ音楽がとても気に入って、サントラCDを買ってしまった。
ダンシングハバナの解説

2005.9.21(水) インファナル・アフェアー(香港映画2003.10.11公開)
 監督アンドリュー・ラウ、アラン・マック。主演アンディー・ラウ(ラウ)、トニー・レオン(ヤン)、アンソニー・ウォン(ウォン警部)、エリック・ツァン(サム)
 ストリート育ちのラウは、その優秀さに目を付けた暗黒街のボス、サムによって警察学校に送り込まれる。一方警察学校にいたヤンは突然退学を命じられる。ウォン警部に優秀さを見込まれ暗黒街に潜入するためだ。10年後に二人はそれぞれの組織の重要な位置を占め、サムをボスとする麻薬取引組織と警察とが全面対決となったときに組織と警察のそれぞれの立場で働くが、互いの組織にスパイの存在を気づかれる。
 この映画の見所は、アクション以上にスピード感あるストーリー展開だ。複雑で緻密。二人の主演男優とウォン警部が魅力的である。
 映像の作りは地味だがうるさくなくて良い。音づくりは、ウォン警部が、たった今ヤンが降りたタクシーの屋根に落ちる音など、強い音が大変効果的に使われている。エンディングの曲だけ感心しなかった。この映画を観る女性達にとっては男臭い男達が魅力的だろうと思う。しいてこの映画の弱点をいえば、女性がからむストーリーがちょっとつけたし風。これまでちょっと中国映画をばかにしてたかも知れぬ。
インファナル・アフェアーの解説

END