「お前さん、そうやって御飯もらってんの? 芸達者だねぇ」(^_^) 鶏のその行動・・・面白くなった私はまたパンを小さくちぎると鶏の目の前に。 「パクッ」 地面に落ちると同時にそのパンを食べる鶏。 「面白いやつだなぁ」と思いながら私自信もパンを食べていく。 いつしかパンも最後となり、そのパンも跡形なく無くなってしまった。 相変わらず鶏は「もっとくれっ」と私の方を見ているが、 「もうないよ。おしまい」 私がそう言うと「あっ、そ」とでも言うようにくちばしを綺麗に掃除しはじめて、それが終わるとベンチの後ろにある花壇へ・・・。 2・3回足で土を蹴ってくぼみを作るとその場にペタンと座り込み「コッ、コッ、コッ、コッ・・・」とさも満足げに食後のひと休みを始めた。 「はっはっはっ・・・本当に面白いやつだなぁ。お前さんは、いつも御飯もらってるの?」 思わぬ珍客の姿をしばらく見ていたけれど、特に何もしないようなのでおやつ用にとっておいた一口大の小さなパンを取り出した。 本当なら家に帰ってから食べようと考えていたけれど、初めて見るパンだったし鶏に食べさせた分もあるので予定を変更して食べることにした。 ところが、その時である。 おとなしく「コッ、コッ、コッ・・・」と聞こえていた鶏の声が「コー、コー、コー・・・」に変わったのだ。 「?」と思いながら鶏の方を振り返ってみると欲しそうに「じーっ」微動だにせずと見つめている鶏と視線が合った。 「お前さん・・・・狙ってる? このパン?」(- -;) そう言うと「私ゃ見てないよ」とでも言うようにプイッと顔を背け、また「コッ、コッ、コッ・・・」と鳴き続ける。 私がしばらく疑いの眼差しで鶏を見た後、正面を向いてパンを口に運ぼうとしたその時!! 鳴き声が再び「コー、コー、コー・・・・」に変わり、しかもしだいに鶏の声が大きくなってきた!! (ひょっとして・・・・・・、やっぱり・・・) 私の座ってたベンチのすぐ左脇を見てみると「美味しいの?」と近寄ってきた鶏が、嘘のようだがちょっと首をかしげながら私の方を見つめて立っている。 「じーっ・・・・」 「お前さんねぇ・・・」 「じーっ・・・・」 「あのな・・・・・・」 「じーっ・・・・」 「さっきやったろ?」 「じーっ・・・・」 「・・・・・・」 「じーっ・・・・」 「分かったよ」(泣) 不動とかした鶏の熱い眼差し・・・。 こいつは根性がある、この状況から抜けるには逃げ出すか持っているパンをやらなければならないだろう。 人間以上にしつこい鶏の執念・・・。 「お前さん、策士だねぇ・・・負けたよ、ほら」 またパンをちぎり、手のひらにのせて差し出すと「わーい」とひったくり、あっという間にパンは消えてしまった。 そして、また「くれっ」と見つめる。 「今度こそもうないよ、本当におしまい」 残っていたパンをしまってそう言うと、またくちばしの掃除をして花壇の方へ・・・。 そして同じようにまた少し土を掘るとその場に座り込んだ。 「面白い鶏だなぁ」と思いつつ食事も終わったので久しぶりにひなたぼっこを楽しむことに。 ちょっと熱いぐらいの日射しに時折吹く風が気持ち良くって少しウトウトとしていたその時、 「コケコッコー!! コケコッコー!!」 と親切にもさっきの鶏が大声で鳴き出した。 「お前さん、いい根性してるよ・・・」(怒) 私が振り向いてそう言うまで鳴き続けていた鶏は、その言葉を聞くと花壇の奥の方へと消えていった。 時計を見るといつの間にかもう1時半。 1時間以上も日なたぼっこを楽しんだし、珍しい客がきたけれど食事もすんだので、帰ろうと自転車置き場へと向かって歩き始める。 自転車置き場へとついた時、ふと花壇の中を見てみると何やら変な固まりがあるのに気がついた。 よーく見てみると、3匹の猫がお昼寝の最中。 虎じま模様が2匹に白黒の斑が一匹・・・。 その可愛い寝顔を見ている内に、ついつい触りたくなった私は虎じまの一匹のお尻を「つんっ」と軽く突く。 「あによぉ?」と顔をあげた虎じまはムクッと起き上がり「フーッ」と声を出しながら私の方へ。 (ヤバいなぁ・・・怒らせちゃったかな?) ところが、その猫はそんなに考えの狭い奴ではなかった。 近寄ってくると私の足に「にゃ〜ん」とスリスリ・・・。 何度も何度も体をすり寄せてきたのだ。 「起こしちゃってごめんよ」と頭や喉を撫でてやると気持ちよさそうに目を細める・・・。 「こいつ可愛いやつだなあ」となおも撫でていると、そのうちゴロンと横になり「もっと撫でれ」と催促してきた。 ご機嫌を損ねないように頭から喉、お腹の辺りも撫でてやると本当に気持ちよさそうな表情をした。 しばらくすると、「ネコさんだ!!」と親子連れがやってきた。 一緒にいた子供は猫を満て興奮していたのだろう何回も「ネコさ〜ん!!」と叫んでいた・・・が、どうやら恐いと言う気持ちもあったらしく近付こうとしなかった。 「ニャンの用なのよ・・・・」と猫が顔を持ち上げただけで母親の後ろに隠れてしまったほどだ。 そしてまた「ネコさ〜ん!!」とくり返す。(笑) 猫にしては迷惑な話だったが、その小さな子へとバトンタッチして私は里見公園を後に。 時間にしてはほんのわずかな時間・・・。 けれど、私はこの日強く思い出に残る楽しい楽しい休日を過ごす事ができたのだ。 |
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