さらに別の日・・・・私はパソコン操作の腕をかわれて、上司から仕事上で使うソフトの詳しい取り説を作るようにいわれました。
別に取り扱い説明書はあるんですけど、私に要求された事はたった一つ、
「まっっったくパソコンを触った事のない本当の初心者、あるいはパソコンの操作方法さえ分からない人が操作できるように、画像をたくさん取り入れた説明書を作ってくれ」
でした。

ものすごい難題を押し付けられちゃった。(号泣)
この時点で「何だ、簡単じゃないの」と思った方、それは甘いっ!!
甘いですっ!!!
蜂蜜です、金平糖ですっ!!
パソコンを使っている人だったら「クリック」や「アイコン」といった言葉は意味もなく分かりますけど、初心者はそれさえ分からないんです。

知り合いの人がプロバイダーで働いていますが、こんな実話を聞かされました。
「それでは、画面の左上にある××と書いてあるアイコンにカーソルをあわせて下さい。」
「できません・・・」
「矢印のカーソルを重ねるんですよ」
「マウスパッドの端にまでマウスがいってしまってこれ以上動かせません」
これが初心者っ。

さて、難題を押しつれられてしまったからといって泣いているわけにはいきません。
指示されたものを作り上げなければ信頼を無くしてしまうし、私の職場での地位も危ないかもしれないわけで・・・。
独占状態だったパソコンでの仕事は2度とこなくなってしまうでしょう。

とりあえず頭の中で考える・・・初心者に言葉は不要、画像があるのが分かりやすい。
ならばスクリーンショットでデスクトップの画像を保存してそれを使えば誰にでも分かるだろうっ。
なにせ、実物が画面上にあるのだから。

けれど、ここでもさんざん時間をとられてしまう事になりました。
スクリーンショットが撮れなかったんです。
キーボード右上のスクリーンショットのキーを押す・・・・・・何も起きない。
ならばと文字の色にあわせてAltキーも同時に押す・・・・・・何も起きない。

「え〜いっ!! ウィンドウズめーっ!! Macみたいにスクリーンショットついてないのかぁ〜〜!!!! こんにゃろっ、こんにゃろっ、こんにゃろぉ〜〜!!!」(怒)

パソコンの乗っている机を「ガターンッ!!」とひっくり返したい程の衝動にかられましたけど、私にはそこまでの度胸がなく、自分の頭をかきむしる程度に押さえました。
運良く現れた初心者のI君とSさんに何気なく聞いてみたんですけど・・・「あっ、それどうやんの?」と逆に質問されてしまった。
しかも2人とも周りに椅子を置いてじっくりと見てるぅ・・・。 (泣)

こうなったら最後の手段・・・とウィンドウズのヘルプを呼び出す。
「え〜っと・・・これとこのキーを押せばいいのか・・・えいっ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「? こっちかな? ほれっ」
何度目かの操作の後、ようやっと保存のダイアログが現れてスクリーンショットが完了しました。

が、一つ大きな問題がっっ。
画面全体の画像などいらないわけです・・・そりゃ必要な時もあるけれどほとんどの場合は一部分で充分。
で、ヘルプを再度呼び出していろんなキーワードを入力して隅々まで探してみたんですけど・・・そんな機能がない事が分かっただけでした。
結局、その問題はWin付属の画像編集ソフトを使う事でクリアできましたけど・・・。


さて、必要な画像は全て保存して、後は文章を考えるだけなんですがこれも何度となく頭を抱えさせられました。
そう、いかにして専門用語をちゃんと置き換えていくか
これでいいと思いつつ文章を読みなおしていくと「これはダメだ」という箇所が出てくるんです。
例えばさっきもあった「アイコン」は「××と書いてある小さな絵」ぐらいにしないと機械おんちの人には分からないし、同様に「マウスの左ボタンをダブルクリックしてソフトを立ち上げる」も「マウスの左ボタンを2回連続で押して、選択した××というソフトを起動させる」に。

ここまで細かく親切に書いていると馬鹿らしく感じるかもしれませんが、私の働いている職場ではようやっと最近になってパソコンが導入されたうえに、パソコンを使える人が少ないんです。
しかも、勤務体制はローテーションを組んでいるので必ずしも月曜から金曜日までパソコンを操作できる人が勤務しているということがないんです。
オーナーから「××の書類、見せてくれる」などといわれたらパソコンを使った事のない人が操作しなければなりません。

とまあ、散々悩み悶えながらなんとか完成。
最近のパソコン人気から興味はあるが全く触った事もないという後輩をつれてきて実際に操作させてみました。
まあ、何も分からないので「文を読んでは操作」という行動をくり返しているので時間はかなりかかりましたけど一連の事は問題なくできる事が分かりました。
最後に、その後輩に分からない所や戸惑う所などを聞いて修正。
こうして指示された説明書は完成したわけです。


いまだにMac、あるいはウィンドウズの操作方法を訪ねられると「使っていないから知らんっ!」とやり過ごす人が多いんですけど、もしこのような機会があったらぜひとも首を突っ込んでみる事をお勧めします。
上記で散々書いてきたように頭を悩ませながらも自分の知らなかった事をたくさん知る事ができるし、それにパソコンをこれから購入しようとする人達に対して、本当に分かりやすい説明ができるようになるからです。

聞いた方からすれば「この人に聞いたけど、大丈夫かなぁ?」と不安を抱かせちゃいますけど、きちんと答えてあげれば問題はないし「自分の質問に一生懸命調べてくれている」という行動は相手に好感をもたらします。
実際にパソコンを操作しながら問題を解決していくのだから嫌でも覚えますし、雑誌の知識だけをた〜くさん持っているような「インチキ上級者」や、自慢するかのように専門用語をマシンガンのごとく持ち出す「オタク上級者」とは全く違う「経験の豊富な上級者」になれるのだ。
それに、そのパソコンの良い所を知る事もできるから、良い意味での比較ができるっ。

さらに・・・・使った事もないモノを「自分勝手に評価する」くだらない人間にならずにすむ。
本当の意味で「頼れる人」になれますねっ。




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