沢山の実を作り女神から褒められる時の事を想像すると嬉しくてたまらないフレア、さっと木から離れるとあたりを見渡しました。
ついさっきまであんなに沢山いた仲間達の姿が見えません。


「アレレ?みんなどこ行っちゃったの?まさか置いてけぼり?そんなぁ〜・・・」


フレアはさっき来た方向目指して飛び立ちました。
陽はもうだいぶ傾いています、早く帰らないと暗やみがやって来きてしまうのです。


「急がなくちゃ・・・」


一生懸命フレアは森の中を飛び進みました。
けれどもいくら飛んでも妖精の森には辿り着きません。
同じところをぐるぐる巡っているかのようです。


「参ったな・・ここはどこ?」


あれれ?ここは何処? 森をさまようフレア


木の実を作るのに沢山の力を使ってしまったせいもあってフレアはとても疲れていましたが、それでも皆の元に戻りたい一心で飛び続けました。
やがて夕やみが辺りに広がって森じゅう薄暗くなってきました。
回りの木や葉さえよく見えません。


ドカン!!、バサッ。


ついに木の枝にぶつかって地面に落ちてしまいました。


「イタタ・・」


なんとか立ち上がったフレアでしたが、もう飛び立つ事が出来ません。
もう全く力が出ないのです。
目は涙でいっぱい、体はスリ傷だらけになっていました。


「きっとあっち・・みんなが待ってるはずだわ。フレア遅かったねって・・女神様も褒めて下さる・・」


そんな事をつぶやきながら、一歩一歩と歩き始めました。
どれくらい歩いたことでしょうか、空には大きなお月さまがぽっかりと浮かびあがってました。
もうすっかり夜があたりを覆い尽くしていました。


「もうダメ・・・誰か・・助けて・・」


傷つき疲れてしまったフレアはついに歩く事も出来ず草の上に倒れるとそのまま眠ってしまいました。






第五章
ノーラ