ビームの偏光方向になぜ注意を払う?
光は横波ですので、2つの偏光方向が存在します。この2つの偏光方向の強度の時間的変化で次のように名称がついています。簡単のために、z方向に伝播する光で、x方向とy方向を偏光方向とします。偏光光の名称には、直線偏光、円偏光、楕円偏光、ランダム偏光があり、円偏光、楕円偏光には右回りタイプと左回りタイプがあります。これらの偏光を制御する素子が波長板および偏光板です。波長板はある特定の波長にのみ作用して、偏光方向を変えたり、直線偏光を円偏光に変えたりします。このような制御を行って、干渉を有効にさせています。
これからどのタイプの偏光光を用いるかをしっかりしないと干渉させることはできません。ご注意ください。
<2つの光の光軸が一致している場合>
2つの偏光方向をベクトルe1、e2で表すと、その内積はゼロです。基本的に”異なる偏光成分は干渉しない”原理があります。
2つの光がともに直線偏光で、その偏光が垂直ならば、その2つの光は干渉しません。したがって、干渉させる2つの光の偏光方向をできるだけ一致させることが望まれます。
ただ、通常、光は有限の消光比を有していますので、消光比の悪い光は干渉強度が得られます。偏光方向が正しいか、消光比はよいかの2点を同時にチェックしてください。消光比は25dBほしいところです。
<2つの光の光軸が一致していない場合>
光検出器の上でビームが重なればよいとするのは誤りです。いくら偏光方向が一致しても、干渉するものではありません。5mradも違うと干渉強度はほとんどなくなります。かなり厳しく光軸を一致させないと高精度計測の結果を得られません。
高精度計測する際は偏光の種類は何であるか、偏光方向は、それらが素子によってどのように変わったか、消光比はどの程度変動したか、そしてビーム方向はどの程度ずれたか、光学素子への入射は条件が正しいかについて、レーザ側から光検出器にいたる光路すべてについて検討する必要があります。
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