プローブの選択に関して、<プローブの選択>も参照してください。
CCTVレンズの説明について簡単に説明しています。ご参照ください。(PDFファイル)
<<周波数シフタの必要性・有効性>>
周波数シフタがなぜ必要かにつき説明します。
光ヘテロダイン測定においては、光の干渉信号を電気信号に変換し、その電気信号の周波数、位相を変位量と結び付けています。
光の周波数はその変位量のものさしの役割を果たしますので、一定であることが要求されます。しかしながら、様々な揺らぎが存在するため、HeNeレーザの周波数は基本周波数(f=約500THz)に対して10^−6(つまり500MHz;Δf)程度の揺らぎがあります。光ヘテロダイン測定では、この揺らぎを持った光の周波数を2つに分割し、その各々をわずかながらシフト(α、β)させます。そのシフト量は、概ね80MHzです。仮に、α=80MHz、β=85MHzとします。すると、各光の周波数は、f+α、f+βとなります。この2つの光を干渉させると、ビート周波数として、2f+α+β、と、|α−β|を得ます。前者の周波数はあまりにも大きく、電気回路では検知できません。後者の周波数は5MHzとなり、通常の電気回路で認識できます。ここで、Δfが2つの光に共通に同位相で寄与すれば問題は発生しませんが、2つの光の間にわずかながらの光路長の差がある場合、必ずしも同位相で寄与するとは言えません。これは大きな問題です。そこで、この光路長差をなくすべく光学回路が設計されます。この設計で0.1nsの光路長(=3cm)以内を目標にします。(この差は注意しないと容易に発生します。ご注意ください。)更に、αとβにも、揺らぎがあります。これらの揺らぎを抑えなければ、”ビート周波数は何を測っているのか”、の疑問が湧いてきます。まず、このαとβ値を小さくするために、周波数安定化HeNeレーザを用います。(弊社製品では、5×10^−9程度の安定度です。Δf=3MHz程度です)。αもβも、この程度以下の揺らぎを有します。しかし、同一の光源から出ていますので、時間差がなければ原理的に同じ値です。差はゼロになり得ます。これが、基本的に低周波数のビート信号が得られる理由です。
では、2つの光の両方ではなく、片方にのみAOMを設置し、ビート信号をとってもよいのでは、との疑問が湧きます。AOMドライバの安定性は20ppm以下が得られていますので、80MHzでも1.6kHzと小さく問題なさそうです。しかしながら、80MHzのビート周波数の信号処理において、1周期を100分割して位相を認識しようとすると、問題が発生します。信号処理回路は、8GHz以上の大域を必要とします。波長がものさしと述べましたが、100分割では、精度が633nm/100=6.33nmしかありません(反射ではその半分の3.16nm)。そこで、600分割をもくろむと、50GHzの帯域が必要となります。この周波数では製作困難でしょう。AOMドライバからの強烈なRF輻射もありますので、難しい処理になります。
そこで、このαとβの揺らぎによる影響を解決しつつ、低周波帯域での測定を行うために、周波数シフターがあります。光の同時性と、ドライバの時間差をなくすことで、ドライバそのものからの周波数揺らぎの不均一を押さえて、αーβの揺らぎを押さえています。低周波帯域のために、ビート周波数を下げています。
ただ、分割を増やすために、低周波数のビート信号を用いることには問題があります。この問題に関しては<ビート信号周波数の選択基準>を参照してください。
<<ビート信号周波数の選択基準>>
ビート周波数は次の2点から選択する必要があります。
(1)測定対象の速度−下限値を決める
(2)信号回路の帯域−上限値を決める
測定対象の速度は、ヘテロダイン計測の欠点と結びつきます。「測定時間間隔内に波長の半分以上変化する対象物は真値を測定できない」の欠点です。例として、対象物が100mm/sの速度で移動する場合、波長の半分(=316.5nm)移動するのに要する時間は、3.165μsです。この時間が測定時間間隔の最大値です。処理回路の構成は、最低この時間ごとに測定しなければなりません。この周波数は約300kHzです。したがって、ビート信号周波数も300kHzが必要です。これが測定対象の速度が下限値を決める理由です。
この周波数で信号処理をするためには、有効数字を考えますと、最低2桁高い高周波を処理できる回路が必要です。つまり、30MHzの信号を処理できる装置やボードが必要です。高周波を処理できる装置やボードは高周波ほど高価になります。したがって、処理周波数に上限が発生します。結果、ビート周波数に上限が生じます。これが信号回路の帯域が下限値を決める理由です。
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