光学部品の選択の基準は?
光学部品のカタログには必ず仕様が示されています。その仕様が、これから組上げようとする光学回路において必要なのか、不足なのか検討する必要があります。
光測定では、光路長の変動と光軸の移動・揺らぎが問題です。これらの量が、光学部品によりどの程度変動するか見極めることが重要です。
光学部材の特性ばかりではなく、光学回路をくみ上げる側の注意も必要です。
たとえば、完全に平行な板ガラス(厚みt、屈折率n)を透過する場合でも、板ガラスがθの角度傾いていた場合、透過光は入射光と平行でも光軸はSだけずれを起こします。
反射を嫌って、わざと傾けることが多いのですが、傾けたことの影響を認識した上で、この後の透過光の扱いに注意するべきです。決して、測定途上、または繰り返し測定の途中で、θを変えてはいけません。影響はないと即断する態度は禁物です。以下測定途中では変更しないことを前提として説明します。
以下特に注意すべき、幾つかの仕様につき示します。参考にしてください。
(1)表面粗さに関しての仕様値の判断
ガラスの表面を透過する場合、ガラスの表面で反射する場合、その表面にはARなりミラーなりの、単層,多層の金属膜、誘電体膜、有機膜が必ずあります(膜のない部品は光学部品として論外です)。表面粗さを論じるとき、ガラスそのものの問題のほかに、この膜の問題もあります。
これらが特性を得るために計算された条件で構成されているとして有効面積は中央部約8割です。この6割の中は膜の不均一による影響はないと考えてよさそうです。ガラスのうねりは重要なファクターです。
(2)接合に関して
PBSなど立方体形状の部品は、3角プリズムの張り合わせです。張り合わせ誤差の発生が生じます。
コーナーリフレクタなどの特殊形状は、研磨精度で決まります。平坦研磨は難しく、光学部材の中央部と端の部分の間には、長周期のうねりがあります。この影響を避けるため、研磨が比較的良好な中央部60%での使用してください。
また、PBSはP波、S波の分岐比は、ある入射角度で最適になるように設計されています。メーカにその角度は何度であるか確認してから、ご使用ください。たとえば45度入射の設計の場合、3度程度ずれると、消光比はかなり悪くなります。PBSの消光比は25dB以上で選択してください。ARは98.5%以上の透過であるべきでしょう。
(3)波長板など設置条件に対して特性が明確に示されている部品について
垂直入射は反射光の影響が出やすいのは事実ですが、かといって、大きく斜めにずらして設置するのは特性が得られません。この両者の点から設置角度を決めてください。波長板は最低25dBはほしいところです。レンズの場合は特に影響が出やすいので、反射光の影響を他の要因で消去できるように考案してください。
(4)ファイバーの選択
ファイバーにはシングルモードファイバー、マルチモードファイバーの他にガイドライトの役割として大口径のプラスチィック製のファイバーがあります。ここでは前2者についてのみ説明を加えます。計測では偏波面がどちら方向を向いているか、その消光比はいくいらか、の2点を光回路のいたるところでチェックする必要があります。多くの光学素子は、消光比を悪くさせるからです。特にファイバーは、固定しないで自由に動きえるような単に置いただけの場合では、不注意などで大きな変動をきたします。その意味ではファイバーの扱いは曲者です。定偏波ファイバー(商品名を用いてPANDAファイバーなどとも呼ばれます)はその点、改良されていますが、過信しますと失敗します。固定は絶対条件です。また、外部からの音や振動も拾いますので、金属管などで全体を覆うことをお勧めします。さらに、マイクロベンディング効果でロスが発生しますので、曲げの曲率半径は30cm程度以上にしたほうが無難です。
(5)コーナーリフレクタは2秒以内の角度ずれでないと期待された効果は得られません。
(6)ミラーや三角プリズムなどは40秒程度ずれていてもさほど問題を起こしません。

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