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2001年度第10回レッスン

久しぶりに新曲に挑戦。ピアソラの5つのタンゴからROMANTICO。昨夜大阪日帰り出張から帰宅してからギターを取り出し深夜まで練習、どうにか暗譜しレッスンに臨んだ。

この曲はピアソラがロベルト・アウセルの為に書いたもの。ピアソラがアウセルにクラシックギターの曲を作曲するに辺り色々な曲を目の前で演奏してもらった際、アウセルの演奏するウォルトンの5つのバガテルからインスピレーションを得て作曲したらしい。ピアソラはバガテルが凄く気に入ってこれはタンゴだと言ったとか言わなかったとか・・。何はともあれそう言われてみれば、確かに両者にはフレーズや和声進行、曲の構成などに共通点が多い。ギターを叩くパーカッション部なども音楽は全く異なるが、5つのバガテルにヒントを得たと思われる箇所が聞き比べると良く分かる。実際、鎌田さんに5つのバガテルも演奏していただき両者の共通点が非常に良く理解出来た。
また今回使用した楽譜はDILARDINOの手によるものだがアウセルが所有するピアソラ自筆符とは異なる。DILARDINOはピアソラがアウセルではなくエルネスト・ビテッティの為にこのタンゴを作曲し、ピアソラの譜面をビテッティが手をいれギターにとってより効果的なアレンジにしたものをピアソラの了承の元に出版していると主張している。アウセルが初演していることを考えるとDILARDINOの主張には矛盾があるが、ピアソラの態度がはっきりしない為真相はやぶの中。ただアウセルが世界で最初に公の場で演奏したことは事実らしいからおかしな話。要はピアソラ自身が1つの曲に対して二つの楽譜にお墨付きを与えてしまったということのようだ。

今日は、それ以外に色々雑談が多かったが、いずれも私にとっては有益だった。詳細は略すが以下の点等、日頃の疑問に感じていた点を確認した。

ピアソラのタンゴ組曲の出だしの1stのパーカッション部の弾き方。ブリッジ近くで両手で叩く。(アサド兄弟の演奏を参考に)
アストリアスのラスゲアード部の和音(ジョンウィリアムスの場合)の弾き方。演奏者によって色々あるが原曲を辿るのが一番。ラスゲアードに続くアルペジオと終りのピチカートorアルペジオ風の終始部や中間部の装飾音について原曲とギターのアレンジとの違いを旨説明して頂く。
アランフェスのスケール部の弾き方及び1楽章のラスゲアードの弾き方について。献呈者であるサインスデラマーサの解釈とイエペスの場合、ジョンの場合等比較考証。スペインの歴史にまで話は及び非常に為になった。フラメンコの評価については本場スペインでも地域によって色々意見が分かれるようだ。
魔笛の復習というか一部確認。消音に関してはのりしろの説明が興味深かった。不協和音にならないように消音する訳だが、機械的に音を楽譜通り消してしまうより少し前の音が残っている方が人間の耳には心地よく聞こえるという話。
また古典派のレパートリーを19世紀ギターで弾く場合はスラーはつけない。スラーはモダンで弾く場合は効果的との解説。

5つのタンゴよりROMANTICO〜アストル・ピアソラ作曲 

楽譜に指定されている4分音符100のテンポ通りに弾くと遅く感じるが、鎌田さんはCD録音の際は、きちんと譜面通りテンポを守って録音された由。お陰で一部のリスナーからテンポが遅いという指摘を受けたとの事。
この曲全体を通していえることだが音量の変化やメリハリ等、変化をつけて弾くことを常に意識する。

1小節目は、8分音符のテンポを揺らしすぎない。
2小節目のespr.ではテンポを落とす。
1小節〜mf、2小節目〜mpのパターン。3〜4小節も同様。
9小節目最初の音は硬めな音で透明感を出す。
10小節目低音の動きにあわせ表情をつける。単なる弱音で単調にならないように。
16小節3拍目のハーモニックスの2声の和音は最初のレソはハーモニクスにしないで弾きグリッサンドで次のシミのハーモニックスにつなげる。
18小節の3拍目半の上降スケール(スラー)のラがフレージングの頭。
17小節から22小節まで中声部を意識して歌わせる。
lentamenteに入って2小節目の1拍目から2拍目にかけてデクレッシェンド。続く4小節目も同じパターン。
繰り返し2括弧2小節目のオクターブのスラーで弾くところは左手運指1弦と4弦で。
同じく繰り返し9小節目の最初のラには6弦ファからグリッサンドし5弦ラの開放音につなげる。
続く10小節目のラスゲアードは右手人差し指だけで。ただしアクセントの頭は全てダウンで弾くように。
13小節、14小節のフレーズはスラーは使わない。
17小節の2拍目から楽譜の1オクターブ下のポジションをオクターブハーモニクスで
19小節目2拍目以降も同様にオクターブハーモニクスで弾く。
終りから2小節目の全部の弦の開放の和音の1弦ミはハーモニクス(12f)で。