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Carlo Domeniconi
Guitar Recial


 
2003.11. 22(土曜日)19:00 開演  
トッパンホール




プログラム

全曲 
カルロ・ドメニコーニ作

ロビンフッド組曲Op.64

プレリュードとフーガ第5番Op.97

砂山変化

ソナタ第3番〜インボルグ・バッハマンの詩による

クリュシア・フォルミンクス

ギータ

コユンババ

アンコール

不明・・
コユンババのチューニングのまま弾いてたけど即興だったのかな・・・




ギタリストである前に素晴らしい音楽家・・オープニングからアンコールまで多彩な美しい音色と素晴らしいテクニックで聴衆をひきつけてやまない、魅力的なステージだった。予めギターをステージの椅子の上に置いたまま手ぶらで登場。萌黄色のシャツにベストというスタイル。最後まで聴衆の熱い拍手をうなづきながら穏やかに受け止めていたのが印象的だった。それにしてもアンコールがたった一曲というのは本当に残念でならない。そう・・浜辺で聴く波の音のようにずっといつまでも聴いていたい、そんな気分にさせてくれる音楽だった。ドメニコーニのギターこそ、ファンタジーという言葉がふさわしい。イタリア人の陽気で即抜けに明るいイメージとは違って、ドメニコーニはとても知的で静かな人に見えた。
作曲家としての才能だけでなく、ドメニコーニのギタリストとしてのセンス、実力も並大抵なものではない。驚くほど多彩な音色のパレットを持っている人である。ギターの右手の肘が当たる位置にクッションのような道具(木製か)が取り付けてあったが右手の懐が非常に大きい。どちらかといえば、ギターの表面板を垂直気味に構えていて、ギターの表面版の角に右腕があたりやすいと思うのだが、右手はブリッジ側からフレット上まで自由自在に移動していた。ショスタコービッチにインスピレーションを得たというプレリュードとフーガは、和声進行がとても魅力的。多彩な音色と絶妙なニュアンス。砂山変化では日本的な旋律に・・出だしは演歌風にも聴こえた^^;・・トルコ風な装飾音が見事に調和し早いパッセージも鮮やかに弾き切る。ソナタ3番まで前半3曲は譜面台を使用していたが、後半は譜面台を使用せず、一段と音楽に集中していく。ギータで見せたカルロの恍惚の表情とリズミカルなストローク&タッピング・・もう完全に彼の演奏の虜になってしまい声も出ない。コユンババは、最初の主題が思ったより早めのテンポで始まる。主題の後の最初の展開部で装飾音を交えながら上昇するパッセージのスピードに唖然、確かに楽譜通り弾くとそうなるのだが、弾けそうで弾けない。その後はもう作曲者自身の演奏ならでは許される楽譜に縛られない自由な演奏、表現にただただ酔いしれた。楽譜から作曲者の意図を読み取ることは難しい。特に彼のような作品は五線譜の中だけには収まりきらないのかもしれない。世界は広い。まだこんなギタリストがいたなんて・・久々にギターで音楽を堪能した一夜だった。