新しいバナーです。どうぞこちらを使ってくださいね
トップページへ


GGサロンコンサート

ポンセの大曲を弾く

出 演

芳村 雪

 
2002.4.1(金曜日)19:00 開演  

GGサロン



プログラム
    

第一部

エレジー メルツ作曲

カプリコーンの夢想

ディアンス作曲

祈りと踊り

J.ロドリーゴ作曲

グランホタ
 
タレガ作曲

第二部


スペインのフォリアの主題による変奏とフーガ

ポンセ作曲


アンコール

タンゴ       タレガ作曲



ドイツから一時帰国された女流ギタリスト芳村雪さん。想像以上のテクニシャン。
ご本人からBBSにコンサートの案内を書き込んで頂いた上、BANTEN君からうはうはの美人だよ〜〜なんて聞いてたんで、こりゃ何が何でも行かないと後悔するぞと、連荘で厳しいスケジュールだったがどうにかこうにかGGサロンに開演前に辿り着く。
お客さんはほぼ満席状態。ただいつもと少し顔ぶれが違うような感じ・・なんとなくだけど。

舞台に登場した雪さんはまるでフランス人形みたい、黒いドレスがとても素敵で、ギターを構えているだけで絵になる。
オープニングのメルツは最初のうちは、緊張のせいか、和音もややなで気味で浅めのタッチが気になったが徐々に調子を上げ、終わってみれば流石としか言いようの無い演奏をしていた。
曲間のMCは、意外に男性的な感じのしゃべりで、外見とのギャップがまた○。(^^ゞ ここで彼女から面白いエピソードが紹介される。
ドイツのイザロンでの講習会のことだと思うがアマデウスギターデュオが主催するこの講習会に彼女が参加した時の話。彼女の隣の部屋の宿泊客が深夜・・確か夜中の3時頃?までギターを練習している為、とうとう豪を煮やした彼女が文句を言いに隣の部屋へ・・そこから出てきたのは髪の毛が薄めの中年男性・・怒る彼女に只管平謝りするのみだったという。さて翌日講習会終了後のコンサートで、ステージに登場したのがなんとそのオヤジ・・・ローランディアンスその人だったというから笑ってしまう。
その日の彼のコンサートは最高で、聴衆を魔法にかけると彼女は言っていたが、すっかりファンになってしまったようだ。そこでGGサロンに話題を戻すが、彼女の2曲目、当初テデスコの悪魔の奇想曲が予定されていたが急遽変更となり、ディアンスのカプリコーンの夢想が演奏された。5弦を シ(B)に上げるこの曲、ディアンス自身の演奏で(CD)聴いていたが、彼女の演奏を聞いて思わず自分も弾きたくなってしまい休憩時間にGGショップで楽譜をゲットした。
続く祈りと踊りは、予想していたよりおとなしい演奏だった。この曲の持っているある種の暗さというのは女の情念みたいなものがブレンドされると映えると思うのだが(ここら辺は趣味の問題なんで人によって全然感じ方は違うと思う)・・次回に期待。意外に面白かったのが一部最後に演奏されたグランホタ。変奏部が、聴き慣れたフレーズに大分音が加えられていた。ここでもテクニシャンぶりをアピールしていた。
彼女が使用している楽器は(BANTEN君情報)スペインのマービーという制作家のギター、深みの有る独特の音色が魅力。
無論彼女の力強いタッチによるのだろうが、音量も豊かで良い音をしていた。
第二部はポンセの大作一曲。この曲は、ジョンウィリアムスの演奏で聴いたことがあるが、長いだけでなく技巧的にも難しい。ポンセの作品はとても平易な作品に見えて、案外難解な曲が多いという印象を持っているが、この曲も一見(一聴と言うべきか・・)とっつき易いが、全部を通して聴かせるには演奏者に相当な技量が要求される。変奏部で案の定というべきかやや音楽が単調に聴こえてしまった。それでなくとも30分間もの間、休み無く聴き続けるのは聴き手にとっても楽な作業ではない。彼女のテクニックが優れていることはこの曲を聴いていて大変良くわかったが、演奏がやや直線的になり過ぎて単調に聴こえてしまったのが残念だった。幾つかの変奏で、はっとするようなフレーズも聴けたが、オスカーギリアの演奏で好きになったというこのポンセの大作を彼女が自分のものにするにはまだしばらく時間が必要なのかもしれない。終曲のフーガの導入部はとても美しかった。エンディングに向けて力尽きたのか、やや盛り上がりに欠けて聴こえてしまったのが残念だった。あれだけの作品を暗譜で破綻無く弾けるというのはそれだけでも凄いことなのだが、彼女の持っている潜在能力を考えると物足りなさが残ってしまう。アンコールはタレガのタンゴ一曲のみ。聴衆の拍手はまだ次のアンコールを催促していたが、残念ながら足台を持って退場された。翌土曜日の朝が早い為、打ち上げに参加出来なかったのは本当に残念だったが、引き続きドイツで、さらにスケールの大きいギタリストを目指して頑張って欲しい。可能性を秘めた素晴らしいギタリストであることは確か、また次回来日を期待したい!