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GGサロンコンサート
一時帰国コンサート
出演 谷邊 昌央
2001.10.6(土曜日) 18:00開演
プログラム
第一部 |
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エレジー |
メルツ作曲 |
小麦畑にて |
ロドリーゴ作曲 |
華麗なるロンド |
アグアド作曲 |
ソナタ ト長調L387/K14 |
スカルラッティ作曲 |
アンダンテとポロネーズOp.44 |
コスト作曲 |
第二部 |
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最後の日の夜明けにOp.33 |
クレンジャンス作曲 |
カヴァティーナ組曲 |
アレクサンドルタンスマン作曲 |
ソナタ Op.47 |
ヒナステラ作曲 |
今日は谷邊さんのリサイタル前に、GGの5階で、金さんが10月10日に横浜の現代音楽のフェスティバルで演奏されるというベネズエラの作曲家の新作Variantesとボグダノビッチのトッカータ(旧作)を聴かせて頂く機会に恵まれた。 相変わらず素晴らしいテクニックで(特に左手)よくあんな難しい曲を軽々と弾けるものと感心。菅原編集長とコンサート評等で著名な徳永さんの3人で聞かせていただいた。菅原さんは、まだ手術の跡が痛々しかったが、早く元気になられて現代ギター社や日本のギター界をもっと盛り立てて欲しい。でもしばらくは無理をせず御身体ご自愛下さい。徳永さんはようやく顔と名前が一致。(随分お若い方なんで意外、どうも失礼しました) さて肝心の谷邊さんのコンサートだが金さんのギターを直前まで聴かせて(弾かせて)頂いたせいで会場に入ったのは2分前。既にホールは満席。いつもと違うのは若い女性が非常に多いこと。補助椅子を出して一番後ろ、新井伴典君の隣に座った。新井君は無精ひげを生やしステージでの印象とは違って精悍な感じ。彼から谷邊君が使った楽器が松井さんのギターであることを知らされた。彼の隣に菅原編集長が座られたのだが菅原さんいわく若い女性で満員の聴衆を見て「日本のギター界は明るいと思う?」と伴典君に聞いていたのはなんだか可笑しかった。 演奏ははじめて聴かせて頂いたが性格をあらわしているというか実に真面目な演奏でテクニック面では特に低音が明瞭、高音はやや細い印象だったが美音でよく唄わせていた。 最初のメルツは教科書通りという感じ。オープニングで多少固さが残っていたのかもしれないがとても丁寧な演奏。 いつもGGサロンでは最前列近くで聞いていたので一番後ろで聴くと奏者の姿が良く見えないのと呼吸が聞こえないのが残念だった。 端正な演奏というのが谷邊さんの場合とてもよく当っていて多分彼の師であるアウセルの影響だろうか。ともすれば単調に聴こえてしまう欠点もあるのだが彼の若さを考えれば、逆に今後かなり期待出来るギタリストということになる。 小麦畑は低音がとても明瞭な発音でリズミカル、良い出来だった。アグアドはちょっと全体に音楽が生真面目過ぎて面白さが欲しい。 スカルラッティは声部の分離が見事で楽しめた。コストもアグアドと同じ印象でもう少し時を重ねていけば演奏に味が出てくるような気がする。 後半の演奏に入る前、彼が挨拶を兼ねて曲を紹介。死刑執行までの心理を描写した音楽だそうで、死刑宣告された囚人がある日死刑執行人の靴音が自分の前で止まり、それから死刑が執行されるまでをあらわした音楽とのこと。彼の解釈はむしろ死刑執行寸前の数秒間にフラッシュバックされる死刑囚の内面を描写した音楽ではないかと説明していた。演奏もこうした現代曲が彼の好みなのか音楽が流れていた。結局この日のリサイタルではアンコールのタレガを除けば、スカルラッティとクレジャンスが一番良かったと思う。 タンスマンは大好きな曲なのでかなり期待していた。よく弾けているのだが面白みにかける。サラバンドで途中見失いかけるような場面もあったが、舟歌での高音部の音はとても美しかった。最後のダンサポンポーザは出だしの和音をもっとためて弾き始めた方が、良かったと思う、ちょっと軽く入りすぎて最後まで行ってしまった。終曲らしい華やかさが欲しかった。ただし低音の唄わせ方はとても明瞭で素晴らしい。 ヒナステラは随分色々なギタリストの演奏を聴いたせいで採点が辛くなってしまう。フィナーレに入るまではとても丁寧で好感の持てる演奏だったがフィナーレでの躍動するリズムがやや乗り切れない印象が残ってしまった。上手いだけに残念。 アンコールはタレガのポルカ。とても良く唄っていて好演。最後のディアンスも細かいパッセージがとても綺麗に弾かれていてリズムもしっかり刻まれている素晴らしい演奏。ただエンディング部をやや弾き急いで終わってしまったのが残念といえば残念。まあこれは趣味の違いかもしれない。 全体を通じて谷邊さんの真面目な人柄を感じさせる演奏だった。来週の鎌田さんとのデュオを期待しGGサロンを後にした。 |