不妊治療

不妊治療

不妊症は、結婚後正常な夫婦生活を続けたのに1年経過しても子宝に恵まれないことをいいます。

一般に結婚を考える年齢で、避妊せず、通常の夫婦生活を送っていた場合の妊娠率は、半年で7割、1年で9割、2年で10割といわれています。
日本産婦人科学会

妊娠するためにはどうしたらいいのでしょう。
不妊治療は、医療機関で苦労して頑張ってもお金がかかるだけで断念せざるをえないかもしれません。

妊娠は、我慢して機械的に治療をおこなうのではなく、妊娠できるための体づくりが最重要となります。

当院グループでは、平成元年より妊娠を希望するご夫婦のための不妊治療をおこなってきました。治療には患者さん一人ひとりの異なった体質に合わせて最善の体質改善をおこなう必要があります。そのためには鍼灸治療が絶対不可欠です。

  • 「不妊症かも」
  • 「治療を始めるタイミングがわからない」
  • 「不妊治療してもなかなか妊娠できない」

とお悩みの方は、半年、1年や2年に関わらず、妊娠できる体づくりをを始めましょう。

不妊症の原因

妊娠できない原因は、晩婚化や生活環境だけでなく、淡々とおこなう現代の治療方法にあります。

不妊症の原因としては、おおまかに

  • 排卵時のホルモンバランスの崩れによる排卵障害
  • 子宮内膜症や性感染症などが原因による卵管の詰まり
  • 子宮に異常があるために受精卵が着床できない
  • 免疫因子の抗精子抗体
  • 原因不明

といったからだの原因があげられます。

西洋医学では、この過程のどこかに不妊症の原因があると考え治療をおこなっていきます。

排卵時のホルモンのバランスが崩れたために起こる排卵障害、子宮内膜症や性感染症などの原因による卵管のつまり、子宮に何らかの異常があるために受精卵が着床できないなどの原因がある場合は『対症療法』、特別な原因が見つからなければ、『ステップアップ治療』をおこないます。

ステップアップ治療は、タイミング療法から始まります。原因はわからないけれども、排卵に問題がある場合には排卵誘発剤を使い、ホルモンの分泌が悪ければホルモン剤によって調節します。

それでも効果が得られない場合、高度生殖医療に分類される人工授精(AIH)・体外受精(IVF)顕微授精(ICSI)へと進みます。

しかし、ただやみくもに体外受精などを繰り返しても、妊娠するための体ができていないと、失敗が続くだけでなく、子宮を痛めてしまい、余計に妊娠しにくい体になってしまいます。

ではどうすることが妊娠への近道なのか、その答えが東洋医学にあります。東洋医学である鍼灸治療では、体質改善をおこなうことこそ妊娠への近道と考えています。

不妊治療の重要なポイント

1.基礎体温を2層性のグラフに近づける

不妊治療をおこなう上で重要なことは、基礎体温を測ることです。

基礎体温表は、生理周期と女性ホルモンのバランスが整っているのかを教えてくれるもので、わかりやすく言えば、妊娠しやすいかどうかを判断する目安になります。

生理周期は、25~38日くらいで、理想は28日。この周期の中で、体温は低温期と高温期とにわけられます。

低温期とは、子宮内膜の粘膜層を体外に排出する月経期(生理)と、新しい粘膜層を再生させる卵胞期があり、36.4℃以下が望ましいです。

また、低温期に成熟した卵胞は、排卵期に卵子を排卵して、黄体へと変化します。この黄体からは、黄体ホルモンであるプロゲステロンが分泌し、その作用で体温を急激に上昇させ、排卵期を経て高温期(黄体期)へ移行させてくれます。

高温期へ移行する時の排卵期は1日低温期と高温期の差は0.3℃以上高温期は36.7℃以上が理想的です。

黄体の寿命は比較的正確なため、高温期は通常14日間続きます。

期間は正常ですが、高温期の時期に体温が低い場合は、卵を育てにくい環境にあり、高温期にしっかり体温をあげる治療をしていかなければなりません。

そして、排卵、着床、妊娠が順調にいくと、次の月経はなく、高温期が100日ほど続きます

妊娠判定が出るのは、生理予定日だった日から1週間後です。

鍼灸治療では、まず医療機関での検査と基礎体温、現在の身体の状態を照らし合わせます。

その結果を考慮したうえで、低温期、排卵期、高温期それぞれの時期に合わせた治療をおこない、生理周期を安定させ、メリハリのある温度差0.3℃以上、排卵後1日で高温期に移行、しっかりとした2層性の基礎体温にしていきます。

ホルモン剤等の薬では、強制的にホルモンバランスを整え妊娠させようとするため、体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)でも失敗ばかりが続いてしまいます。

その点、当院の鍼灸治療は、女性の体が妊娠しやすい体質に向かうよう自然に促してあげることが可能となります。

2.子宮内膜を厚くする

妊娠するために重要な要素として、子宮内膜の厚さがあげられます。子宮内膜とは、受精卵が着床する場所であり、子宮内膜が薄い状態では、着床しにくくなるからです。

妊娠するために必要となる理想的な子宮内膜の厚さは8mm以上です。

8mm以上ないと妊娠しないというわけではありません。
アメリカの産婦人科医で構成される研究での結果が、子宮内膜の厚さが8mmで妊娠率53.1%、16mmでは67.6%と報告されたからです。

不妊治療をおこなっている人の子宮内膜は、比較的薄く、着床しにくい傾向にあります。

エストロゲンは

・子宮内膜を厚くしてくれる
・粘液の分泌を増やし粘調度を下げる

当院では、一般的な不妊症に対する鍼灸治療でおこなう骨盤内の血流循環を改善させる治療だけではなく、意図的に卵胞ホルモンであるエストロゲンの分泌を整えることで妊娠しやすい状態に促していきます。

これは、子宮内膜を厚くさせ、子宮頸管粘液の分泌量が増え、さらさらした状態になることで、精子は子宮内に進入しやすく、卵子までたどり着きやすくなります。

3.着床~妊娠判定まで高温を維持させる

前述した子宮内膜が薄い人は、着床しにくいだけでなく妊娠を維持することも難しくなってきます。

前述の研究結果では、内膜の厚さが8mmある人でも53.1%しか出産にいたらないわけですから、妊娠判定が出たとしても安心できません。

不妊治療をおこなっている人の中でも、着床しても妊娠に至らない、もしくは妊娠判定が出た後でも流産してしまういわゆる不育症になる人も少なくありません。

プロゲステロンは

内膜を柔らかくして、血管を作る
受精卵を受け入れ、育てる

当院の鍼灸治療は、この点も重要視し、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌を促してあげることを目的におこないます。鍼灸治療をおこなうことで、子宮内膜の厚さと高温を維持できるように働きかけ、着床、妊娠、出産までのサポートをしていきます。

当院で不妊治療をおこなう患者さんの多くは、すでに病院での不妊治療を開始している方です。

不妊治療を開始する時期がわからず病院へ行くのを悩んでしまう方でも現在の状態を把握してもらい、今の状態に合わせた治療は可能です。

このように、当院の不妊治療は、着床~妊娠判定へと確実に進んでもらうために患者さんの状態によって治療内容を変えています。

例えば、タイミング療法をおこなっている人では、タイミングを計った翌日、人工授精や体外受精をおこなう人では、実施したその日に鍼灸治療をおこなうのが望ましく、その後も高体温が維持できるように体調と基礎体温を確認しながら適切な鍼灸治療をおこないます。

体外受精を予定している患者さんには、良い卵子を採卵できることを第1段階の目標として設定する場合もあります。

また、病院での治療を併用している患者さんには、私たちの治療方針、意見を反映させることは難しいかもしれませんが、人工受精、体外受精をおこなうタイミングは、体調や基礎体温、子宮内膜の厚さなどを確認して指導します。

なぜなら、ただやみくもに人工受精や体外受精を繰り返しても、妊娠するための体ができていないと、失敗が続くだけでなく、子宮を痛めてしまい、余計に妊娠しにくい体になってしまうからです。

それでも人工受精や体外受精をおこなう場合は、事前に今の状態をご説明したうえで、最大限、妊娠するための治療をさせていただきます。

4.出産までに直面する様々な症状に対応する

不妊治療は、妊娠がゴールではありません。言葉では、妊娠が目的ですが、本来の目的は子供が欲しいから治療をおこなうのであって、無事に出産しなければ目的は叶いません。不妊治療は、新しい家族に出会うための過程です。

出産までの道のりには、つわり、腰痛、逆子や妊娠高血圧、糖尿や尿蛋白、切迫流産になるケースもあるので、その都度対応していかなければなりません。

時には帯状疱疹、顔面神経麻痺や突発性難聴にかかり、妊娠中であるために、ステロイドが使えず治療不可能となるケースがあります。しかし、当院では、そのような症状でも鍼灸治療で対応しています。

不妊症に対する鍼灸治療

不妊治療

問診と検査等の後は、ベッドに横になってリラックスしていただいた状態で鍼灸治療をおこないます。

鍼は髪の毛と同じくらいの太さ0.1mmほど、お灸は、火が直接肌に触れないものを使用していますので、火傷やお灸の痕が残る心配を極力減らします。

お灸にはリラックス効果だけでなく、血行の促進や抵抗力を高めて体を強くしてくれるといった様々な作用があります。また、鍼治療の後にお灸をすることで、治療効果が持続する作用もあります。

当院の不妊治療の特徴は、生理周期の中で、治療方法が変化します。それは、月経が始まる低温期、排卵期、排卵後の高温期で女性ホルモンの優先順位が変わるからです。

また、基礎体温のグラフが

妊娠するための基礎体温
不妊症の基礎体温:高温期になるのに時間がかかる
不妊症の基礎体温:高温期があがらない
不妊症の基礎体温:全体的にバラバラ

・低音のまま上がらない(無排卵)
・高温期が短い(黄体機能不全)
・高温期の体温が低い
・全体的にバラバラ(無排卵)
・全体的に低い・高い
・排卵から高温期になるまで時間がかかる
・高温期の途中で体温が下がったりする

など理想的な基礎体温のグラフではない、すなわちホルモンバランスが乱れている場合は、その状態に合わせて治療法を選定し、前述した理想的な2層性の状態になるよう整えていきます。

同時に、病院での治療を併用している患者さんには、人工授精や移植をおこなった日は、無事着床し、心拍を確認できるための治療もおこないます。

不妊治療をおこなっている患者さんの状態は、流産しやすい状態(不育)にある場合が多く、着床後妊娠判定に至らなかったり、切迫流産、逆子、出産予定日になっても陣痛が来ない場合もありますので、当院では出産、産後までしっかりとケアする体制を整えています。