12月26日(日)
夜中に目が覚めて、足を伸ばして伸びをしようとしたら、右の膝が痛くて伸
びが出来ない。昨日スキーで転んだときに打ったのか、プールに足から飛び込
んだときにプールの底で打ったのか。これ以上ひどくならなければいいがと不
安になる。歩くのは問題がないが、右足に重心を乗せると膝ががくっとなる。
今日も8時半に起きて9時過ぎに2階のカフェに朝食をとりに行く。やはり
今日も従業員のお姉さん以外はいない。今日の朝食はジュースの選択から始ま
った。オレンジ、リンゴ、パイナップル、ミックスなどから5〜6種類の中か
ら一つ。無難なオレンジジュースを頼むとコップになみなみと入れたジュース
を持ってきてくれる。ジュースの次に野菜サラダが出てきた。冬のロシアで野
菜サラダにめぐり会えるとは幸運だ。キャベツと人参、キュウリを細かく刻ん
だものにドレッシングがかけてあるもので、細かく刻んだ分量はたっぷりあっ
た。さらに拍子に切ったハムがついた2つ目玉のハムエッグ。紅茶はなかった。
パンも付いていたが、パンは食べなくても十分な量だった。おなかの調子はも
う大丈夫。
10時半頃アンドレイに電話して迎えに来てもらった。今日はまた別の温泉
に行き、ウハー(魚のスープ)を作ると言っていた。一昨日、温泉につれてい
ってくれたアリョーシャの車で行く。薪や鍋を積み込んで、私は昨日同様ぼか
ぼかのシャツとセーター、トレーニングウェアに着替えさせられ、寒くないよ
うにと気を遣ってくれた。その上にコートを着て、毛皮の帽子をかぶり完全装
備だ。アーニャは昨日ディスコに行って、今朝の4時に帰ってきて、今まだ寝
ていると言っていたが、私たちが出発する12時少し前には起きてきた。
今日はアンドレイとアリョーシャ、スヴェータと私、それにサーシャとアリ
ョーシャの子どものビーチャの6人で出かけた。途中でガソリンを入れたが、
先に何ットル入れるか言って、お金を払いにいき、自分で給油するというシス
テムだ。ハイオクが8ルーブル50カペイカ(42.5円)、レギュラーが6ルー
ブル80カペイカ(35円)、軽油が6ルーブル50カペイカ(33円)。ガソリ
ンは高いと言っていた。アンドレイも土曜日の朝、アパートの前に止めてあっ
た車からガソリンを盗まれたと言っていた。
途中で飲むことのできる湧き水があるからというので行ってみたが、雪が深
くてとても歩いて行けず、あきらめた。しばらく行くと川幅30メートルくら
いのアバチャ川があり、凍った川に穴を開けて魚釣りをしている人たちがいた。
そばに寄って見せてもらったら結構たくさん釣れていた。冬は魚が小さいが夏
になるともっと大きな魚が釣れると言っていた。
1時間ほど走ったあたりから雪が道路に積もった状態になり、さらに先に行く
にしたがって雪は深くなり、車の腹をすっているし、車はスリップして右に左
に揺れながら道無き道を端っていくといきなりお湯が噴き出している所にでた。
雪の原っぱの中に硫黄の臭いがする湯気が立っている。先に来ている人が入っ
ているところがちょうど良い暖かさで、他の場所は熱かったり、ぬるかったり
なので、一緒に入れてもらうことにする。お湯の深さは、40センチくらいしか
なく寝そべると全身がお湯につかれるくらいである。下は泥で、その黒い泥を
顔に塗るときれいになるし、身体の悪いところに塗ると治るということで、私
も顔とひざに泥を塗ってみた。いつのまにか右ひざのいたみもなくなり、温泉
と泥の効果があったようだ。しばらく入っていると熱いお湯が流れてきて入っ
ていられないくらいに熱くなり、前からはいっている人がスコップでお湯の入
ってくる入り口をふさいでいた。熱くなったのでもっと先のぬるいところを掘
ると下から熱いお湯が出てきて、まぜるとちょうど良いくらいになった。私と
アンドレイが温泉に入っている間にスヴェータとアリョーシャが火をおこして
ガーレッツという鮭に似た赤い色の肉の魚のウハーを作ってくれていた。ウハ
ーは魚とじゃがいもと、タマネギ、緑の葉っぱ、コショウで、塩で作る。彼ら
は温泉に入らなかったので、寒くなったので早くあがってこいと言っていた。
1カ所身体を洗うためにぬるめのお湯が噴き出しているところがあり、底で泥
だらけになった身体を洗い服を着て、火の周りでウハーを食べながらウォッカ
で乾杯。寒いところではやはりウォッカだ。ビールでは震えあがってしまう。
ここでしばらく食べて、飲んだ後、別の温泉へ。
更衣室で水着に着替えた後、温泉へ。3m×2mくらいの木の風呂が5つく
らい並んでいた。別に違いはないようで同じくらいの温度である。ここの目玉
は湖のそばにあり、温泉で暖まった後、氷の張った湖には入れるということだ。
湖へは階段と手すりが付いていて暖まった身体だからこそ氷の張った湖には入
れるので、首まで浸かるとすぐに出てまた温泉へ。でも階段には氷が張ってい
て、転ばないように慎重に歩かないと。2度凍った湖に入って、帰る前にも一
度行こうと誘われ、もういやだと言ったら、ロシアのことわざに「神様は3回
が好きだ」というのがあるから、3回は入らなければならないと言われ結局3
回も凍った湖に肩まで浸かってしまった。でも風邪はひかない。
この温泉を出た後、町へまた2時間かけて戻る。家に着いてビールを飲んで
行けというのですっかりいい気分になっていた私は、近くの店で「ヴァルチー
カ」というサンクトペテルブルグで作られているビール(500cc入り)を2
本買ってき行き、持って帰ったウハーを暖めてまた食べた。これだけだったら
良かったのに、またまたウォッカが出てきて、このあたりから記憶があいまい
になってくる。電話を借りて日本に電話したのは覚えているが、何を話したの
は覚えているが、何を話したのかは全然覚えていない。妻の「酔っぱらってい
るの?」という声だけが耳に残っている。すっかり酔っぱらい、千鳥足の(ウ
ォッカは飲み過ぎると足を取られる)私をホテルの部屋まで送り届けてくれた
のはアリョーシャとスヴェータだった。
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