カムチャッカ夏の旅(その5)
 
  2002年7月21日〜29日 

7月25日(木)

 今日はヘリコプターでゲイゼル(Гейзер)に行くので天気を心配していたが、朝のうち雲が多かったがやがて雲は消え上天気になった。9時にアンドレイがヘリコプターの時間を聞くと言っていたので9時半頃電話したらスヴェータとアンドレイが迎えに来てくれた。
 今日の朝食は1番を注文した。ジュース、ヨーグルト、パン、バター、イクラ、ベーコンエッグ(ベーコンは脂身で美味しくなかった)、カニとイカ、キュウリのサラダ、紅茶。
 アーニャ、アンドレイ、スヴェータ、そして私と妻の五人で出かけた。空港のある町エリゾヴォにヘリコプターの発着所もある。空港とは別の場所にあるが、結構広い場所である。

 エリゾヴォのヘリコプター乗り場

 乗客は25人。日本人は私たち2人だけである。アンドレイの家族と私はヘリコプターは初めてだった。ヘリコプターに乗る前にセキュリティーチェックがあり、ヘリコプターに乗り込む。左右2人ずつのシートが13列くらい並んでいる。スヴェータとアンドレイが並んで座り、その後ろに私と妻が、アーニャは最後尾で知らない男の子と並んで座っていた。ガイドのユーリヤ・ミシナが今日の予定や注意事項を説明し、搭乗者名簿にサインをしていよいよ出発。ヘリコプターは垂直にあがるものと思っていたら、前の方へ動き出し、飛行機が離陸するときのように前方に走り出して離陸した。もちろん滑走距離はほんの少しだったけど。高度はそんなに高くなく、最初は500mで、少しずつ高度を上げて1000mくらいの所を山の横を通りながら地面がすぐそこに見えるように飛んでいく。途中ガイドのユーリヤがずっと説明していたがロシア語で早口でしゃべるし、プロペラの音がうるさくてほとんど聞き取れない。途中青い色のカルデラ湖の上空を旋回してくれた。上空から見ると川の蛇行の様子がよくわかる。また丁度火山の火口から噴火した黒い煙が立ち上っている様子も見ることができた。ヘリコプターならではの醍醐味だ。

  
      青い色のカルデラ湖                噴火する火山

 1時間を過ぎ、ちょっと飽きてきてヘリコプターの揺れで気持ち悪くなりかけた時、いきなり山の中に着陸20m四方くらいの板で作られたヘリポートに着陸。すぐそばに2階建てのレストハウスがあり、更にその置くにここで働いている人の家があった。ここでちょっと休憩してから温泉巡りに出発。山の中のトイレにもかかわらず水洗トイレできれいだったのには驚いた。

  

 ゲイゼル渓谷は今から60年前に発見されたそうだ。ガイドのユーリヤについて、板で作られた小道を歩いて行く。この板で作られた道からは出ないようにとの注意があった。まず最初にヘリポートのすぐ下にある間欠泉を見に行く。ゲイゼル渓谷は谷になっているので上り下りが大変だ。フランス人のおじいさんが一人で参加していたがガイドのユーリヤにはついていけず、後からゆっくりと来ていた。間欠泉は至る所にあり、山のあちこちから湯煙が立ち上っており、時々お湯を吹き上げている。しかし、最初に見に行ったのはその中でも一番大きなもので、高さ30mまでお湯が吹き上げるというものだ。しかしその間隔は90−100分で、もうすぐなんだけどなかなか吹き上げずしばらく待っていたが、あきらめて次の所へ行った。しかし何人かの人は辛抱強く待ち続け、吹き上げるのを見たと言っていた。私たちは谷を流れている川の近くの小さな間欠泉から吹き上げる様子を見ることができただけだった。それでも10m以上もお湯が横に噴き出していた。こちらは規模が小さいだけに、お湯が噴き出す間隔も短く30分間隔である。

  
      ゲイゼルの大きな噴出口                  小さい方の間欠泉

 大きな間欠泉を待っている間に、ロシア人から日本語で話しかけられ驚いた。彼はロマンという名前で、ウラジオストクの漁業会社で通訳として働いているということで、今は休暇でこちらに遊びに来ているそうだ。次のコースでは山の斜面あちこちから熱湯が噴き出しているところが見られた。泥の中からぐつぐつと噴き出している温泉、赤い色をした温泉、青い色をした温泉、トイレの形をした穴の中のお湯が、まるでトイレの水を流した時みたいな音を立てて流れていったり、様々な温泉を2時間くらいかけて見て回った。

  
      あちこちから湯煙が                    泥の中からお湯が

  
   水洗トイレの音がする温泉

 レストハウスに戻ると、食事が用意されていた。ジュース、ビール、水、ハム、ソーセージ、イクラ、パン、鮭の薫製、オレンジ、リンゴ、そして一人一人に鮭とライス、ミックスベジタブルの入ったお皿が配られた。紅茶とコーヒーは別のテーブルに甘いお菓子と一緒に用意されていた。食事を終わり、このゲイゼル渓谷について科書かれたものや写真が展示されている部屋を見ていると、「ここにたどり着いた日本人がいる」と言われ、外に行くとひげの伸びた日本人がいた。話を聞くと4日間で200キロを歩いてここへやって来たということで、途中熊にも出会ったそうだ。札幌から来ているということで、ロシア人2人と一緒だった。4時に再びヘリコプターは離陸し(この時は場所もないので垂直に飛び立った)、ウゾンに向かった。ヘリコプターの音に驚いた熊が逃げ回っているのがヘリコプターから見えた。ウゾンまではわずか15分。ここは大きなカルデラの中で、周りに外輪山が見える。最初にあったのは乳白色の温泉でここでは泳ぐこともできるそうで、更衣室らしき小屋もあった。更に行くと泥の中からわいている温泉がいくつかあった。また噴出口が火山のような形になったものもあった。カルデラの中央部は大きな湿地のようになっていて、所々で温泉が湧き出ている。そこに熊の足跡がいくつも残っていて、時々熊がここにやって来ていることが判る。黒い熊の糞もあちこちに落ちている。

  
         ウゾンの温泉                  泥の中から温泉が

  
      後ろは暖かい温泉の沼                   白い斑点は残雪

 再びヘリコプターに乗り込み今度はエリゾヴォへの帰途につく。みんなゲイゼルとウゾンでしっかり歩いたので疲れて眠っていた。私も疲れてウトウトして、目が覚めたら丁度へリポートに着陸したところだった。ガイドのユーリヤからゲイゼルに行ったという証明書が各人に配られゲイゼルツアーは終了した。5人で870ドル余りだった。帰りにアンドレイのダーチャに寄って行った。おじいさん、おばあさんがいた頃はきれいにして作物を作っていたが、スヴェータは別荘仕事は好きでないし、暇もないのでここには休息に時々来るだけだと言っていた。жимолость(スイカズラ)という青い実が食べられると言ってたくさん取って食べた。オランダイチゴも作っていたがまだ実が青くて食べられなかった。アーニャが1個だけ赤いのを見つけてくれて、食べたが甘くて美味しかった。木イチゴもたくさん植えてあったがまだ実がなっていなかった。じゃがいもニンジンだけは植えてあると言っていた。7月の下旬ではいろんなベリー類の実がまだ早くて食べられないし、9月になればキノコも出てくるのでキノコ狩りにも行けるので今度は9月に来るようにと言われた。スヴェータの別荘は2階建てでベッドも置いてあったが、使っていないので汚れていて余り快適そうではなかった。

  
  スヴェータの別荘でくつろぐアーニャ              スイカズラの実              スヴェータの別荘

 別荘を後にして、一度家に戻り着替えて今年2月14日にオープンしたという日本料理店「大和」にみんなで食事に行った。本当の日本料理かどうか見てくれということだった。メニューはロシア語で写真付きだったが何とも奇妙なものだった。私たちはソテーという日本にはないこの店オリジナルの料理を注文した。鍋に魚、貝類と野菜を入れ、しょうゆとウォッカで味付けしたもので、ご飯と一緒に食べるとまあまあ美味しかった。スヴェータはトンカツを注文したが大きなカツが2枚とキャベツがのったもので、小皿にソースが付いてきた。小さく切ったのを一切れもらったが、牛のカツで美味しかった。ウォッカを飲みながら日本料理を味わうのもなかなかのものだ。アーニャは甘いゼリーやパフェのようなものを3つも食べていた。一口もらったが、甘い!こんなものばかり食べてると今に太るぞと思った。この店のコックは日本人でソテーの鍋を作るときにやって来た。小柄な髭を生やした人だった。壁にかけてある漢字の書いてある色紙に角栄と書いてあったが、本当に田中角栄のものかどうか聞いたら首を傾げていた。私はカレイと鰯の刺身を注文したが、冷凍したものが半解凍状態で出され、全然美味しくなかった。特に鰯は鯖かと見まがうばかりのもので、日本の鰯とは似ても似つかなかった。5人で2000ルーブル(8000円)以上した。アンドレイが払ってくれたので細かい額は覚えていないが、高い。高い割に美味しくない。やはりロシアではロシア料理が一番だ。飲酒運転のアンドレイにホテルまで送ってもらった。
 

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