イルクーツク2000 その7

イルクーツク、バイカル湖、ハバロフスクの旅----2000.8.11-8.18

8月17日(木)

 5時過ぎに起きて、二日酔いのぼーっとした頭でのろのろと出発の準備をし、
6時15分過ぎにはロビーに下りて昨日妻が日本にかけた電話代の精算をすませ
ていると丁度ワレーラが迎えに来てくれた。電話代は62ルーブル10カペイカ
に消費税5%が加算され65ルーブル21カペイカ(約260円)。ロシアでも
昨年の7月から消費税が導入されているが、内税方式なので、普通に買い物をし
ているとわからない。税率も州や都市にによって違い、イルクーツク州では5%
だ。6時半に出発し、霧が立ちこめた早朝のイルクーツクの町を抜け7時には空
港に着いた。だが7時50分発の私たちの乗るハバロフスク行きは遅れていると
のことだった。国内線の空港ビルも最近建て替えられたようで、きれいになって
いた。妻がトイレを利用したがとてもきれいだったそうだ。スヴェータは今日は
仕事でどこかよそに行くので来られないが、イーラが空港に来るということだっ
た。イーラが7時半頃来たので、ワレーラは仕事に行くと言って帰っていった。
飛行機はハバロフスクからの折り返し便だが、イルクーツクが霧で下りられなか
ったので、ウラン・ウデに下りたそうだ。ウラン・ウデからイルクーツクまでは
20分だとイーラが言っていたので、すぐに飛行機が来ると思っていたが、なか
なかやって来ない。8時半に案内するという放送があり、8時半になると9時半
にまた案内するという放送があっただけで、その繰り返しが3回も続いた。最初
はロシア人と同じ場所で待っていたが、外国人は別の所だということで移動した。
こちらは椅子もあり、人も少なくて良かった。日本だったら、どういう理由でど
のくらい遅れ、出発は何時頃の見込みという詳しい案内があるのにとイーラに言
ったら、ここはロシアだから、ロシアではいつもこうだよという答えだった。も
ういっそのこと、明日のイルクーツクからの直行便にしたらということで、イー
ラが空席があるかどうか聞いてきたら、空席はあるとのことだった。日本ではと
れなかったのに、キャンセルでもでたのだろうか?しかし、私たちが持っている
航空券は払い戻しも変更もできない切符だったし(しかも航空会社も違う)、イ
ルクーツクでもう1泊するとなるとホテルもとらなければならず、お金がないの
でやっぱりハバロフスク行きを待つことにして、新潟行きのチケットは断っても
らった。待合室で待っていると、陶器のサモワールを入れた箱をしばってあげよ
うかという若者がやってきた。紙でくるんで、ひもを掛けて持ちやすいように取
手も作ってくれるという。50ルーブルとちょっと高いが、日本円にすると20
0円なのでやってもらった。

 11時半の案内でようやく12時半に出るということになり、しばらくしてチ
ェックインをし、セキュリティチェックを受け、更に待合室でしばらく待つ。チ
ェックインした後、年輩のおじさんがハバロフスクへ持っていって、若い女の人
に渡してほしいと言って封筒を持ってきた。その女性はハバロフスクの空港の出
口で私の名前を書いた紙を持っているから、そしてパスポートを見せて、封筒の
宛名と同じ名前であるという証拠を見せるように言っておくから彼女に渡して欲
しいということだった。もし空港で会えなかったら、私たちはサッポロホテルに
泊まっているからそこに連絡するようにと言っておいてくれるように頼んだ。預
かったものが何かはわからないが、イーラが持っていってあげなさいというので
引き受けた。ハバロフスク行きの飛行機に乗る外国人は私たち夫婦2人だけで、
外国人専用の待合室からバスで飛行機まで案内された。飛行機にはもう既にロシ
ア人乗客が乗っており、私たちの席は後ろの方に二つ取ってあった。国内線の飛
行機は座席と座席の間の間隔が狭く、大きなロシア人にとってはとても窮屈だ。
機内は暑く小さな子どもはぐずっていた。この暑い機内に少しでも遅く案内して
くれたのが外国人に対するサービスなのかなと思う。13時15分、イルクーツ
クを離陸。飛行機はロシアで一番たくさん飛んでいるTU-154。水平飛行にな
ってしばらくするとミネラルウォーターが配られた。ちょっと甘くて、まあまあ
飲める。しばらくすると朝食(機内放送で確かに朝食と言った)が出された。丸
パンが2個、サラミが5枚(妻のは3枚しかなかった)、キュウリのスライスが
5枚、クリームの入ったウエハース、オリーブの実が2個。国内線だから質素な
のかと思っていたら、後からアルミの箱に入ったライスと鮭のフライ、トウモロ
コシの入った温かい料理が配られた。ライスはパサパサであまり美味しくなかっ
たが、久しぶりの米で全部食べた。丸パン1個を残し、隣のロシア人がやってい
たように、キュウリとサラミにかけられていたラップで包んで持ち帰ることにし
た。途中で紅茶が配られたが、美味しい紅茶でお代わりをして飲んだ。ところが
機内食を片づけ終わるとすぐにジュース(又はミネラルウォーター)が配られ、
ジュースを飲むとお腹が一杯になった。1時15分に離陸したので着くのは4時
15分くらいだと思っていたら、3時半過ぎにもうすぐ着陸するという放送があ
り、4時前にハバロフスク空港に着陸した。時差が2時間あるのでもう6時だ。

 気温は28度。暑い!!まるで日本に戻ってきたような暑さだ。飛行機を降り、
出口に行くと私の名前を書いた紙を持った女性目に入り、その横にやはり私の名
前を書いた紙を持った年輩の男性が立っていた。女性が預かった封筒の受取人で、
パスポート(ロシア人は16歳以上になると全員国内パスポートの携行が義務づ
けられている)を見せてくれた。封筒を渡すとお礼にと箱詰めのチョコレートを
くれた。男の人はサッポロホテルの迎えの人で、荷物が出てくるまで時間がある
ので、バスの中で待っていてくれとと言ってワゴン車まで案内してくれ、クーラ
ーをつけてくれた。15分ほどして荷物が出てきたようだからと二人で受け取り
に行く。どんどん荷物が出てくるが、一向に私たちのスーツケースは出てこない。
そのうちにベルが鳴り荷物はこれで終わりだという。もうこれで全部かと聞くと、
私の顔を見て外国人の手荷物かと聞いて、別の所から渡すと思っていたといって
持ってきてくれた。スーツケースを受け取りホテルへ。10年前に来たときより
もきれいになっている。ジナモ公園の噴水なんかとてもきれいだ。

 ホテルは煉瓦作りの5階建てで日ロ合弁企業だ。車が玄関に着くと、番頭さん
のような人が来て、ドアを開け、荷物をロビーまで運んでくれる。まるで日本の
旅館のようだ。チェックインを済ますと荷物を持って部屋まで案内してくれた。
ロビーにも日本語の案内表示があり、エレベーターは日本語表示のみ。まるで日
本のホテルにいるようだ。部屋に入って更にびっくり。まずドアを開けて部屋に
はいると右手に流し台、電磁調理器と食器戸棚があり、中にはお皿やカップ、イ
ンスタントコーヒーが2個入っている。奥の方に机と椅子、電話があり、右側の
壁には姿見の鏡がある。奥の右手に次の部屋への扉がある。大きな部屋にセミダ
ブルのベッドが二つ、テレビ、冷蔵庫、電気ポット、机と椅子、電話、応接セッ
トがある。浴室とトイレはユニットバスで、何より嬉しかったのは浴槽が大きく
日本の風呂のように身体全体をお湯の中に入れることができたことだった。部屋
の中はクーラーが効いていて、外の暑さとは雲泥の差である。部屋にはスリッパ
があるし、洗面所には歯ブラシ、シャンプー、ひげ剃り、石鹸がちゃんとセット
されていた。冷蔵庫にはビール、ジュース、ガスなしのミネラルウォーターが入
っていて、チェックアウトの時に飲んだ分を申告することになっている。一風呂
浴びて、お腹は機内食を食べて空いていないので、果物を買いに行く。

 
     日本語のプレート            ホテル全景

 
  ロシアでは豪華なホテルの部屋       ベッドもセミダブルサイズでゆったり

 
      果物売りの店          ホテルサッポロの裏側(こちらが大通り沿い)

 7時半頃ホテルを出て、ムラヴィヨフ・アムールスキー通りを散歩する。広い
歩道ではいろんなものが売られている。まず黄色いクワスのタンクが見えたので
飲もうとそばまで行ったが、もう店じまいした後でおばさんはいなかった。昔は
一つのコップを洗って飲んでいたが、今は使い捨てのプラスチック製コップを使
っている。次に見つけたのがアイスクリーム屋さん。日本のアイスクリームのよ
うにきれいな紙に包装されたアイスクリームと昔ながらのロシア製のアイスクリ
ームが売られている。以前はおばさんが素手でつかんでくれていたのに、今は薄
いビニール袋を手袋代わりにしてつかんでくれている。1個7ルーブル(28円)。
こってりとした味で、これぞロシアのアイスクリームという感じだ。他にも、野
菜(トマト、ピーマン、人参、ジャガイモ、キュウリ)や花を売っている店があ
った。しばらく行くとロシアのビデオやカセットテープを売っていたので、ロシ
アの最新ヒット曲集のカセットテープを25ルーブル(100円)で買う。歩道
にカフェが出来ていて、ビールやウォッカ、ジュースを飲んでいる人たちがいた。
またバイオリンを弾いてお金をもらっている人や下手なギターを弾いて帽子にお
金を入れてくれるように頼んでいる子どもたちもいた。中にはスピーカーやキー
ボードをセットして本格的に演奏を始めようとしている若者達もいた。しばらく
行くと目的の果物を売っている屋台があった。ロシア人の若い女の子が桃や洋梨
を熟れているかどうか指で押さえてみていた。そこの店で小さな洋梨2個と黄色
いリンゴを1個、真っ黒なすももらしきものを2個買った。値段は1キロいくら
という表示がしてあり、いろいろ買っても、おばさんがはかりを見ながら電卓で
計算してくれる。私たちの買い物は全部で18ルーブル(72円)。もう少し行
ったところに緑色の細長い実のウズベキスタン産のブドウが売っていたので、こ
こでブドウを買う。安い中国産の丸くて緑色のブドウもあったが、ハエがたかっ
ていて古そうだったので高い方のウズベキスタンのブドウ(1キロ60ルーブル
=240円)を2房28ルーブルで買った。ホテルに戻り早速買ってきた果物を
洗って食べる。10時近くになって、アムール川の方の空が茜色に染まり、部屋
の中も赤く染まっていた。川の見えるところまで行くときれいだろうなと思った
が、夜ウロウロするのは危険なので、ホテルの窓から夕焼けを鑑賞していた。


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