EDE GIDI : U-ROO-BA VYBE DIALEKTICS / EDDIE 'D'REAL' GEE, et al


 
EDE GIDI : U-ROO-BA VYBE DIALEKTICS
   (JAZZHOLE JAH001D, NIGERIA, 1997)

 (1) BABAWA (THE CREATOR THE SUPREME)                6:07
 (2) INVENTION (ONILEGOGORO FASHION)                 5:41
 (3) EKO ILE (LAGOS MY HOME)                         6:06
 (4) TRIBUTE TO HARUNA ISHOLA (M.O.N.)               5:13
 (5) DIALEKT I:'ILU META'(3 DRUMS) / NOEL AND I      4:58
 (6) TINGS DEY FALL APART                            5:41
 (7) HELPING HAND                                    1:55
 (8) DUN-DUN SO RO                                   5:58
 (9) DIALEKT II: XCURSION INTO HIGHLIFE / NEW-LIFE   3:38
(10) MO TI B'OLUWA LO (IN DA FLOW WITH CHRIST)       5:10
(11) JAZZ REBEL (A.J.JUNGLE CITY REMIX)              5:33
(12) MOTHER AFRICA ('97 SURULERE RE-EDIT)            4:36
(13) IJO YA (DA DANCE IS ON)                         7:57
(14) DIALEKT III: LA CIVILISATION ET LA FUSION       0:18

『アンボス・ムンドス』(第6号)のアフリカ特集では、アフリカ全域の状況を限られた字数内で書こうとしたため、どうしてもメインストリーム寄りの内容に終始せざるを得なかった。そのため、全く触れられなかったテーマや、十分に書き切れなかった話題が多くなってしまった。(実際には、6月からのキューバ旅行というタイム・リミットに大きく左右された面も大きかった。)そうしたもののひとつが、アフリカ音楽のヒップ・ホップ化という現象である。

最近は日本でも、セネガルや南アフリカのヒップ・ホップ・アルバムが紹介されつつあるが、コート・ジボワールのラップの例を持ち出すまでもなく、アフリカのヒップ・ホップは何もこの2カ国に限って存在している訳ではない。そのあたりをもっと詳しく知りたくて、勘を頼りにCDを買い集めた中の一枚が、このナイジェリアのアルバムである。

14組のグループのトラックを収録しているものの、その全てに EDDIE 'D'REAL' GEE なる人物がただひとり参加しているため、この作品、実質的には彼のプロジェクトと考えてよさそうだ。そのエディーが、ラゴスに暮らすミュージシャンたち(全てプロではないらしい)を、さまざまに組み合わせることによって作り上げた個々の曲は実に多様性に富む。曲ごとに、ジャズ、ファンク、ラップ、ジャングル、ドラムン・ベース、テクノ、といった要素が聞き取れる一方で、フジ、アパラ、アフロ・ビートといったナイジェリア音楽固有の特質も共存しているのだが、その組み合わせは、曲ごとに全く異なっている。しかし、基本はエディーのプログラミングしたリズム・トラックで、これにキーボードやサックスとともに、ナイジェリアの伝統楽器である多様なパーカッション(トーキング・ドラムやバタ、シェケレなど)が絡んでいく。そして、コンテンポラリーなブラック・ミュージックに通じるクールな歌とヨルバの呪術的なコーラスが交錯していき、さらにはボコーダー等によって加工の施されたボイス、そして街音や鳥のさえずりなどの多種のサンプリング音がコラージュされていく、、、などと書いても、なかなか想像がつかないかも知れないが、結構格好がいい。

また、直接的にアフロ・ビートを取り上げている曲はないものの、ライナーで言及している通り、その精神にはフェラ・クティに近いものが感じられ、ヒップ・ホップとヨルバの融合が自然な形で成し遂げられていると言えるだろう。

正直なところ、仕上がり具合にばらつきがあり、有名曲(12)のリメイクなど、余り面白くない曲や、平凡なフュージョン風の演奏もある。また実験的色彩の強いトラックが多い。しかし今年聞いたアフリカ音楽の中では間違いなく唯一衝撃を受けた作品で、特に(1)のクールさは私を捉えて離さない。ところで、このアルバムが録音されたのは1996年。それから4年、現在のラゴスの音楽状況が非常に気になってしかたない。


(2000/10/01 Ver.1.0)

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