2002 / JULY


<CD> BIRIKO / KANDIA KOUYATE

個人的には現代アフリカ最高の女性歌手と考えている、マリのカンジャ・クヤテ(カンディア・クヤテの方が正しいのかもしれない)のCD第2作目(他にカセットが多数)。アコースティック路線のつくりで、仕上がりは悪くない。ウースマン・クヤテがアレンジとギターで参加しているのを始め、ゲストも多数で豪勢な録音だ。ただ、素晴らしかった前作を超える作品とは言い難い。
余談だが、前作と同様、ジャケットのインパクトのなさはどうしたことだろう。まるで、18世紀か19世紀の欧州の風景画みたいなトーンのジャケットだ。(7/18, 31, 8/19)

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<CD> OUZA & SES OUZETTES 1975-1990

セネガルのベテラン・ミュージシャン、ウーザのベスト盤CD。タイトル通り1975年から90年までのアルバム(LPとMC)から選曲されていて、77年のレアなシングル曲も収録されている。手元のオリジナル盤と聴き比べた感じでは、オリジナル・マスターからの復刻ではなく、盤起こしだろうと思う。
いわゆるンバラやラテンの要素が柔らかく解け合ったサウンドに特長があるが、当然ながらユッスーら第一級のミュージシャン達に比べると、いかなる面でもかなわない。それでも、時の政府に反抗する歌を歌ったりしたことから、セネガル音楽の歴史をひもとくと頻繁に登場するひとりである。しかし、ウーザのCD復刻には正直驚いた。一体どのような方が聴くのだろう。
ちなみに、ドラム奏者としてクレジットされているのは、あのシェイク・ローであり、ウーザの息子であると言われていている。(7/26, 31)

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<CD> UCHE CHUKWE MEE / PAULSON KALU

先々月紹介したポールスン・カルのベスト盤がもう一枚登場。良質なダンスバンド・ハイライフとジュジュ・ミュージックが楽しめる。何故かこちらの方が、先のVOL.1よりも若番で、楽曲のバラエティーの点ではVOL.1が勝るが、演奏レベルはこちらかが上かも知れない。音質もほぼ問題なし。(7/26, 31)

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<CD> KOOL SAMBA / KING SUNNY ADE

ナイジェリアのジュジュ界のドン、キング・サニー・アデの新しいCD。完全な新録かと思い取り寄せたが、1999年にリリースしたカセットをCD化したものだった。
ハイライフのスター、ORLANDO OWOHとのデュエットが目玉となっている。(7/26)

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<CD> 100% STAR BAKALA DA KUBA / PAPA WEMBA

コンゴが誇るヴェルヴェット・ヴォイス、パパ・ウェンバの最新作。一聴してヴォーカルもサウンド・プロダクションも従来通りで(ヴォーカルはリアル・ワールド盤時よりも好調かも)、何も変わっていないなというのが第一印象。ウェンバの傑作群と比べると残念ながら見劣りするアルバムであることは事実で、とても代表作とは言えないが、これまでのウェンバを愛し続けた方ならばまずは裏切られることはない、安心して聴けるアルバムだろう。特に序盤のサウンドには好感が持てて、個人的には気に入った。アオラから国内盤も出ている。(7/22)

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<CD> "AMBA" / WENDO KOLOSOY

コンゴの大ベテラン、ウェンド・コロソイの新録盤。77歳とあってさすがに歌には不安定さが感じられるが、長くアフリカ音楽に興味を抱く者ならば思わず手にとってしまう一枚だろう。枯れた味が楽しめる。個人的には、リケンベ(親指ピアノ)のマエストロ、アントワーヌ・ムンダンダとの共演曲が嬉しかった。(7/14)

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<CD> SINIKAN / SEKOUBA BAMBINO

ギニアのセクーバ・バンビーノの新作。現代西アフリカを代表する歌手の一人だけあって、歌は抜群に上手く、彼の最近の作品の中でも最上出来と言える。今東京でもこの作品について賛否両論ぶつかりあっているということだが、今年を代表する一枚にはなりうる作品と感じた。
ちょっと聴いただけでは、80年代末のサリフ・ケイタやモリ・カンテを連想させるアレンジなのだが、それがさほど古さを感じさせない。つまり、イブラヒム・シラの下で作られた当時のサウンドは、シンセの音色を変えたり、音のパーツの配分をいじったりなど、少しばかり手を加え直すことで、十分に現代に通じるということを、同じイブラヒム・シラによって証明した作品と言えるだろう。もちろん時代の分岐点となるものではないが、素直に楽しめる音楽ではある。(7/14, 8/14)

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<CD> MUSIC FROM BURUNDI

イタリアの民族音楽レーベルであるアルバトロスの作品が、30種まとめてキング・レコードから復刻された。これはその中の1枚で、アフリカ中部のブルンジの音楽を集めていて、個人的には親指ピアノ(イケンベ)の演奏があれこれ聴けることは興味深い。
このアルバトロスのシリーズ、アフリカものとしては、次項の『アフリカの音楽』の他に『マリの音楽』、『モロッコの音楽』も発売された。定価が1050円と破格な限定盤。(7/7, 8/19)

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<CD> AFRICAN RHYTHMS AND INSTRUMENTS VOL.1 & 2

こちらも同じくアルバトロスのアルバムで、『アフリカの音楽』と題された2枚。1969年アルジェリアのアルジェで開催された「第1回パン・アフリカン文化フェスティバル」への参加グループの録音集である。
内容は民族音楽ばかりで、第1集には、マリ、ニジェール、ガーナ、ナイジェリア、オートボルタ(現ブルキナファソ)、セネガル、リベリア、コンゴ共和国、チャド、カメルーン、スーダンの11ヶ国の音楽が、第2集には、ザンビア、タンザニア、ケニア、ジンバブウェ(ZAPU:ジンバブウェ・アフリカ人民同盟)、モロッコ、アルジェリア、チュニジア、リビアの8ヶ国の音楽が収められている。
録音は良くないが、アフリカ諸国の独立からほどなく、まだまだアフリカ全体に勢いがあった頃の貴重なドキュメントであるとは言えるだろう。

ちなみに、ギニアのミュージシャンたちもこのフェスティバルに参加しているはずで、その録音も残されている。なので、CD帯にある「19か国が参加した」とあるキャプションは誤り。ギニア組の録音については改めて取り上げたい。→「2002年7月9日のダイアリー」を(7/7、7/14)

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<< comment>>

7月6日のダイアリーにも書いたが、海外盤は未だ低調続きで、取り上げるべきアルバムがない。6月にアメリカでユッスー・ドゥールの新作がリリースされるという情報もどうやら誤りだったようだ(失礼しました)。また、国内発売ものも海外盤に帯や日本語解説をつけたものが多く、その大半はこのサイトで取り上げ済み。やはり当面の楽しみは8月25日にP−VINEから発売になる、クーラロビトスの3CDだけのようだ。(7/7)

今月の相変わらず新譜を聴き込む暇がないのだが、取りあえず今日届いた新作を3枚追加。(7/26)


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