親指ピアノの特別展


現在、大阪府吹田市の国立民族学博物館で開催中の特別展『越境する民族文化−いきかう人びと、まじわる文化』の一環として、親指ピアノの展示と親指ピアノに関するイベントがいくつか行われている。その様子を10月2日に覗いてきた。

民族学博物館(みんぱく)の見学は初めてだったが、アフリカに関する常設展示はなかなか充実していた。収集品では、マスクなどが数多く展示されていたが、楽器が少ないのは残念である。貴重なビデオもいろいろと見ることができるが、個人的には、「アカ・ピグミー」(フランス制作、1981年)と「ブッシュマンの楽器」(西ドイツ制作、1972年)の2本が興味深かった。

特別展の会場の一角には、世界中の親指ピアノが陳列されており、これが壮観。日本国内はもちろんのこと、欧米の大規模な博物館でも、これだけまとめて親指ピアノを見ることは難しいはず。ウガンダ、キューバ、ドミニカの巨大な親指ピアノも珍しい。最近カラハリ砂漠で撮影されたブッシュマンの親指ピアノの演奏のビデオが繰り返し映されていたが、この演奏が素晴らしく、未発表音源も多数あるそうなので、CD化を期待したい。

10月2日には「カラハリ砂漠のアーティスト」と題して、みんぱくの池谷和信助教授の講演があったが、100名を超える参加者があり、なかなか盛況であった。時間的制約などから、今回は話題が親指ピアノの歴史や分類に集中したが、アンゴラのチョクエの親指ピアノや、親指を使わずに演奏されるブルキナファソの親指ピアノなど、これまで私が知らなかったものの紹介もあった。(池谷氏は長年にわたってボツワナ共和国のカラハリ砂漠のブッシュマンを研究対象にしてこられており、近年はブッシュマンを含めたアフリカの親指ピアノの学術研究も始められたそうです。私個人も、池谷氏の今後の研究成果が楽しみです。)

夕方には、日本における親指ピアノの第一人者、直川礼緒氏によるイリンバ、チリンバ(ともにタンザニアの親指ピアノ)、それに口琴の演奏会も行われ、直川氏のすてきな演奏でこの楽しい一日を終えることができた。

特別展『越境する民族文化−いきかう人びと、まじわる文化』

会期:1999年 9月 9日 〜 2000年 1月 11日

会場:大阪府吹田市の国立民族学博物館(TEL: 06-6878-9211)

アドレス:http://www.minpaku.ac.jp

なお、来年1月8日(土)、9日(日)には親指ピアノのミニコンサートも行われる予定。(残念ながら、次回は直川礼緒氏の出演予定はないそうです。)


(1999/11/07)


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