第6章 悪巧み − エクシター島 死者の宮殿/地下2階 − ex. 〔石の花園〕 >「まったく、こんなところで何を探しているのかしらね〜♪」 >「お前には関係のないことだろう。」 >「あら〜? そんなこと言っていいのかしら。あんたの悪巧みバラすわよぉん」 アルビレオは憂鬱だった。 よりによって、こんな辺ぴな島の、こんな辺ぴな迷宮で、まさかこの女に捕まるとは。 悪巧み…なんて、この女が知っているとは思わないが、 それでも、神聖ゼテギネア帝国軍の一員だったことは、バラされたくはなかった。 出会った途端、馴れ馴れしい態度を取るデネブを見て、カノープスなどは、 露骨にうさん臭そうな目をして見ているのだ。 「あら、大丈夫だってば。ワタシのことも気付かなかったから教えてあげたぐらい だしぃ♪」 デネブは心配顔のアルビレオに、そう言ってあげた。 カノープスが、本当にそれぐらい鈍ければ助かるのだが、それにしても 『ラシュディ様用の究極魔法を探している』なんて、言えるわけがない。 「ラシュじい用の、究極魔法なんて探しているんじゃないのぉー??」 (ギクっ! …この女、なぜ知っているんだ? …いや、いや、このアルビレオともあろうものが、コイツのペースにハマっては いけない……そ、そうだ! コイツが一番興味のあるモノで誤魔化せば…) 「いや、その、実はだな… 例の究極の美肌の関係でな、ここに来たのさ。」 ジト〜っとした目で、アルビレオを見つめるデネブ。 「な〜んで、あんたが美肌を求めるわけ?」 「いやいや、美肌ではなく、美肌関係って言っただろ? ほら、ラシュディ様が以前、お前に渡したガラスのカボチャ、あれだよ。」 (あ、マズイ、いくら出まかせでも程があるぞ…) アルビレオは冷や汗が魔導衣の下を流れるのを感じた。 「なんですってー!? ねぇねぇ、あるび〜、ここにあるのぉ、それー!?」 アルビレオの襟元をつかんだデネブは、相手の首がガクガクになるのも気にせず、 目を輝かせて問い詰めた。 (引っかかるって…… う、嘘だろ……??) アルビレオは薄れていく意識を振り絞って答えた。 「……ああ、ほ、ホントだとも。 だから、それを見つけるまでだけでも、…な?」 「あ〜ん、こんな辺ぴな島に、ワザワザやってきた甲斐があったわ〜」 アルビレオは、デネブに背を向け、大きなため息を吐き出した。 (しかし、このままでは、治まらんゾ……) ≪ Next Chapter ≫ |