第2回 山口塾書道展 記録集   top page  



会期:平成23年2月27日(日)~3月5日(土)
会場:東海ステーションギャラリー


ご声援ありがとうございました!




宣   言 
第二回山口塾書道展に際し山口塾書道展の在り方を宣言したく思います。
山口塾の存在を意義づけるとすれば、(人間らしく生きるのにはどうあらねばならないか)を考える、その上に立って(書をどう意味づけするか)→(人間 生きるための書を作る)でありたい。今回は書道展ですが、その他の勉強もする!(人間どうあらねばならないか?)を絶えず考え実行する集団でありたい。

命の輝きを金子みすずさんは『みんなちがってみんないい』と表現されました。また更に、人間は生きていくうえで余分なものは一つもない。今で充分の世界があるのです。こういう世界の輝きを表現したい。幸い我が(山口塾生)は、みんな輝きみんな個性豊かに暮らしております。そういう生き様を世に問うのが(山口塾書道展)でありたい。
 手本のない、手本を作らない(山口塾)。その山口塾長のもとに提出された作品は塾長の予想を超えたものばかり。それでいいのです。書道と云っても『書』の枠をこえたような作品に、塾長はいつも眼をパチクリパチクリしています・・・?また、それを大いに楽しんでもいます。われらの山口塾展は個性が絡み合っている人間集団であり書道展でありたいと願います。

 今日も又とんでもないものを提出して(先生これだせますか?!)

塾長はうーんとうなって・・・・???~~~~!!!

『みんな違ってみんないい、みんな輝いて行こう』

こういう事は、生きる上で大切な事と思っています。

今回の山口塾展も、こういう展開ができたら望外の幸せです。

平成23年2月27日

      山口塾長 山口歡一 


下の名前をクリックすると各人の作品のページが現れます

山口歓一さん 山口紅雪さん 塙久子さん 鹿志村久美子さん
萩原伊沙さん 清宮寿子さん 植田愚海さん 小宮山千雲

 




 
【山口歡一先生】

  『臨書の記録』


 今回の山口塾書道展の作品制作は、私にとって心身ともにとても厳しいものでした。
 心臓弁膜症の手術のため平成22年7月~10月、検査を含めてまるまる4ヵ月休んでしまった。
 11月10日まだ元気を取り戻せない(歡一)でしたが、筆をとって驚いた。まるで駄目なのです。腕が、指が、自分を忘れてしまったのです。臨書で書線が出来てから作品作りにとりかかる。いつもの(歡一)のやり方なのですが、そのやり方が通じない状況でありました。しかし私に出来る事は「臨書をやるしかない」でした。
~~~以下臨書学習の記録~~~
1: (平成22年11月、12月):(光明皇后樂毅論の臨書)
  (11月10日~15日)1日20分  
  (11月16日~30日)1日60分
(12月1日~16日)1日30~90分
(12月17日~31日)1日60分~230分
 2ヶ月間の臨書だけでは、本来の調子に戻らなかった。
2: (平成23年1月1日~2月20日)更に臨書を続ける:(孫過庭:書譜の臨書)
(1月1日~10日)180分/日  
(1月11日~20日)100分/日  
(1月21日~31日)120分/日
:平成23年1月まだまだ全然不充分であった。 

 私にしては凄まじいまでの記録なのですが、その昔、私の記憶にある茂庭錫亭先生のは1日6時間!較べる次元が全然違っているのです。
 期日がたつにつれて、元の調子を取り戻しつつあったが、2月3日私の体に故障発生:(ばね指痛)の痛みのため以後筆を持てなくなってしまいました。結果的に楽毅論全臨2回繰り返し、書譜全臨2回繰り返した。全臨なんてやった事がない私にしては初めての経験でした。後日のある日、臨書した半紙残を和綴じ本二冊とし記念の臨書帖としました(紅雪に和綴じ作業依頼:感謝!)


  

書譜全臨:和綴じ本2冊

      

全臨1回目     全臨2回目
                                                       

『作品制作の記録―Ⅰ』
 
 11月10日以後、臨書を続けていたが、これ以上躊躇していると、山口塾書道展に間に合わない。期日が切迫していた1月24日に初めて作品を書いた。

今度の山口塾展に屏風を持っているから、これに書いてみたら!と、言っていきなり屏風を持ち込んでくれた方がいたので、これに挑戦しました。
屏風左半分=「大鵬一挙九万里」「勇猛精進」を半切二枚に。また右半分には
屏風右半分=「北冥(ほくめい)に魚あり。その名を鯤(こん)という」で始まる大鵬物語りの漢文とその釈文を半切二枚に。
1月25日屏風作品完成。これが山口塾書道展用最初の作品であった




『屏風作品』:緋の毛氈敷き詰めて!お化粧して頂きました。感謝!
『作品制作の記録』  以下作品完成日を記録する。
(開也):2月3日    (大燈国師遺誡):2月5日
(大鵬物語=齋諧~)2月15日  (勇猛果敢):2月19日

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『バネ指痛の記録』:
 その後、継続して作品制作に精を出していが、ある日(2月3日)突然右手親指付け根に痛みが走る(ばね指痛というのだそうです)。以後痛みは増すばかり。臨書だけは痛みをこらえて続けましたが「開也」以後の作品はこのばね指に耐えながらの制作でした(2月3日~2月19日)。
 作品制作に充分な時間を取れませんでした。痛みは大筆を使ったせいと思っていたが、今考えると書き不足、練習不足なのに、ある日突然11月10日頃から猛烈に書き始めた事、体調が回復しないのに無理やり書いた事、などに原因があったようです。付け焼刃は駄目なのです!と、書の神様はおっしゃいました。いうまでもなく普段の修練が大切な事、身をもって知る事件でありました。


『作品制作の記録―Ⅱ』

中川一政先生の作品にこのような文の作品があります(中川一政著:裸の字、中公文庫)。
この文に感激して私流で書いてみたいと思い漢文と釈文と一緒に書いてみました。
(釈文は書いたからいいというものではなく、無理会(むりえ)のような難解な文は別に解釈が必要?)これはアートロード展にも出品した。2月5日切羽詰まっての制作。上手いも拙いも・・・?
 注:無理会(むりえ)=言葉では理解不能の境地、禅語なので云われてみれば成る程、よく解説しなければ、読んでくれない道理でありました。


大燈国師の遺誡(全紙横)

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 「開也」などという言葉があるかどうか調べてみないで、こんな言葉を書きました。私には昨年八月の心臓弁膜症の手術が肉体にも心にも重い負担になっています。それで今回の作品は、肉体(心臓)を開くのでなく(心)を開くでありたく思いました。二月三日前後に書いた作品です。


開也(全紙縦)
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『作品制作の記録―Ⅲ』
『最終日の出来事』


 これらを(私の全作品を指して)全部戴けるとしたら、是(これ)(大鵬物語り=全紙)がいいです。といってK氏が突然言ってこられた。K氏は褒めるつもりで云ったみたいでしたが、私にしては思いがけない出来事でした。『大鵬物語』は、(漢詩とその釈文)を一枚の作品に纏めたられた事と、屏風とは別の雰囲気にまとめられたので、作品の新しいあり方を提示出来たかと、多少の自負を込めて出品したのですが、本人の意図とは別に、誰もそんなこと問題にもしないし、話題にもならなかった。
 こういう形式はやっぱり駄目か?最終日にK氏がやって来て、『漢文だけでは読めもしないし面白くもなんともない。   こういう釈文を作品にしてもらえれば漢文の奥の深さもわかるし・・・』、と言ってくれたのでした。問題提起出来たかも?いや、一人だけ話題にしてくれました。


大鵬物語(全紙ボード)



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『勇猛果敢』

  2月3日以後2月18日まで前に述べた(ばね指痛)のため大筆は持てなくなっていた。
  期日に迫られ2月19日に書いた作品。しかし五枚しか書けない結果に終わりました。(ばね指痛)がイタイ!もうこれ以上書けない。と言って諦めてしまったからです。~~作品は一枚で良い~~と常々言ってきたのですが、そう言うのは誤りではないか。(納得するまで書く)が本物ではなかろうか。とも思いました。
 作品が人の生きざまを表すとするならば、これは私の生きざまを表していない。今回は五枚しか書いていないという事実と共にとても悩んだ事でした。
(反省・・・・・??!!)


勇猛果敢(1.2m×1.2m)

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【山口紅雪さん】

ひと言
 
 路傍のふみつけられた菫(すみれ)、ゴミの中からニコッと咲いた       
コスモス、形の整わない物、目には見えない半分、写真ならカラー
よりもモノクロ。
ちょっぴり足りない世界、そんなものが私には宝物のように思える。
 世間の隅っこの忘れられたところでも大自然の営みに逆らわず、
与えられた運命を大切に生きたい。





恬淡 240cm×240cm
(心静かで 無欲のさま)
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うつくしきものみつ (200cm×210cm)
高村光太郎のことば
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【塙 久子さん】

 今回は、「春」をテーマにし、大字2作品と詩二作品の題材を選びました。

【縁Ⅱ】
 秋の芸術祭では、全紙縦に「縁 Ⅰ」を縦長の文字で発表しましたが、横にふくらませた文字もおもしろいのでは...と思い横長に表現してみました。さまざまな良いご縁がふくらみますように願って...。
 
【山のてっぺん】岸田衿子詩
  「何をやろう」「どこへ行こう」などと頭の中であれこれ考えているよりも思い切って行動に移してみましょう。一歩足を踏み出すことで思わぬ発見や喜びが得られるかも知れません。わたしも、ぜひ、心がけたいです。




縁(全紙) 



山のてっぺん(半切)
岸田衿子詩

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【左掖梨花】(さえきのりか)丘為詩 




唐詩五言絶句から選びました。
  詩の内容
  梨の花の冷たいなまめかしさは、全く雪かと見まがうばかり。
あふれ出た香りは、たちまちのうちに人の衣にしみ入る。春風よ、
まあ吹き止まずにいてくれ。花びらがお前に吹かれて、玉階
(庭から家への階段)へ飛ぼうとしているのだから。
 左掖とは、長安の内裏である大明宮の左の門。この門のわきに
咲いた梨の花を見て詠じた詩ですが、色彩、香りそして春の趣が
そのまま伝わってくるようです 
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【春告鳥】(はるつげどり) 

 暦の上では、春ですが、春のきざしが待ち遠しいところです。まずは、ウグイスの声が聞きたいですね。隷書風に表現してみました。



春告鳥(全紙)


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【小宮山 千雲】

 今回の作品作りでは自己表現に心掛け、小さい字は長鋒の羊毛筆で線の柔らかさや張りを、大字は羊毛太筆で力強さを出すことを心掛けました。
 会社にいた頃、毎年職美展が開催され、たまたま書作品を出すことになりました。書道部の方にお手本を書いてもらい苦労して書いたが、上手く書けませんでした。展覧会に張り出された作品を見たときの恥ずかしさは今も脳裏に残っています。何とか上手く書きたい一心から、1991年より書道教室に通い、お稽古を続けたが、なかなか上手く書けませんでした。
 たまたま、テレビ放送で岡本光平先生が「古来、日本人には、均整のとれたものより、むしろ少しアンシンメトリーなものに魅力を感じる美意識があります。にもかかわらず、書の世界では均整美を求める傾向があるのです。これは、近代の教育書道が均整美を重視する公用書体をお手本にしてきた歴史があるからにほかなりません。」と語られました。この言葉に影響されてか均整美のとれた字形より「個性のある自分流の字」で書くこと、「書で自己を表現する」ことに関心を抱くようになりました。
 好きな書家は中川一政、何紹基です。
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【洗 心】

 私は会社にいた頃洗濯機の仕事をしておりました。
 そんなことで洗の字が好き。洗の付く字は洗足(足を洗う。転じて心のわだかまりを洗い去る)、洗耳(耳を洗う。世俗のけがれたことを聞いて、それを洗い清める)、洗筆(筆を洗い清める。転じて筆を染める、書画を書くこと。洗心(心を洗う。心のわだかまりを洗い去る)など色々ある。従来から大字が苦手でほとんど書いてない。大字も書けるんだという事を心に焼き付けるために「洗心」を選んで作品を作ってみた。
 墨をたっぷり筆に含めて全紙いっぱいに力強く書いて見た。バケツに墨液を入れ、この墨液に筆を浸けて墨液が紙の上に滴るのをより少なくするためにバケツを左手に持ったまま素早く筆を運んだ。その為若干直線部分が多くなった。



洗 心 (全紙)

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【東 暁】
 
日立駅の海岸口前に「東暁館」というホテルがある。このホテルは明治の末期に建設され、当時、助川一のホテルと言われた。主に日立製作所関係のお客様が利用された。このホテルの海寄りに当時のままの別館が残っており、日立社有クラブの活動拠点になっている。わたくしはここで毎月一回パソコンのホームページ作成の研修を受けている。この東暁館の東暁という文字が気になっていた。多分ホテルのすぐ下が太平洋で浪の音がいつも聞え、朝日が昇る前の暁の空と海が幻想的で、絵になる風景から名前が付けられたのではないかと想像する。この風景を頭に浮かべながら東暁という字を、全紙に大字で墨を筆にいっぱい含ませて、一気に書いて見た。



東 暁 (全紙)

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【寒光千里暮】
 

 半切に一行書き。作品の読みは「寒光 千里の暮」。
 意味は「見わたすかぎり、寒々とした光につつまれる夕べ」。
作品の意味を頭に浮かべてみた。見わたす限りの原野に、
寒々とした夕暮れが迫ってきた。こんな情景に合わせる
字体には今一なっていない。半切に一行書きでトライして
作品を纏めてみたが
思いを出すことが難しい事を感じた作品である。
                


寒光千里暮(半切)


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【開門雪満山】 

半切一行書き。門を開けると山には雪が降り積もっている。
 この門は家の雨戸かも知れない。昨夜までは山には雪は無かった。今朝起きて雨戸を開けたら遠くの山に雪がいっぱい積もっている。雪のせいか辺りは静かに雪だけが黙々と降り積もっている。こんな情景を頭に描きながら筆を進めた。開から雪までは一気に書いた為最後の字が擦れた。また字形は若干変形させてみた。



開門雪満山 (半切)

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【鹿志村 久美子さん】

【好奇心】、 【挑 む】
 
 外への好奇心、内なる自分への挑戦、当座のモットーです。



好奇心 (全紙

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挑む (全紙)

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【星のかず】

 金子みすゞの詩です。無限の宇宙の拡がり、永久の
  時間の繋がりを感じます。書いていると、自分の心ま
  で拡がるように感じました。



星のかず (半切)

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【星と僕は】

   「1/4の奇跡」の中の言葉です。
  特別支援学校教諭の山元先生と大ちゃんが二人で星を
  眺めていたとき、大ちゃんが言いました。山元先生は、
  生徒たちとの交流の中で、この世のすべてに宇宙をつ
  らぬく「本当のこと」が存在するのではないか、と気
  付いたといいます。
   大ちゃんの言葉の中にも「本当のこと」があるように
  思いました。そして、たまらなく書きたくなりました。



星と僕は (全紙1/2)

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【萩原 伊沙さん】

【生きているって】 葉 祥明 詩  

  この作品を書きながら今を生きている事の大切さを思っております。



生きているって (全紙)
葉 祥明詩


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【吉井 勇 短歌】 

  作品を書く時に墨を磨ります。 墨により、かおりがそれぞれ違います。
  作品の構想は墨を磨る時から始まっているのかもしれません。



全紙 (1/2)
吉井 勇 短歌

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【静 寂】
 今回初めて漢字大字書に挑戦しました。作品は頭の中で考えた様にはいかず偶然に生まれたというのが実感です。



静寂 (全紙)

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【清宮 寿子さん】
 
 二回目の山口塾書道展は、一回目とちがい、題名というか内容にむずかしさを感じました。何を言いたいのか、表現したいのか?


【笑 門】
  年頭のけいこ日、楽しく書きあがった。



笑門 (全紙)

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【観自在】

  般若心経の三文字。視野、考え方をもっと広く大きく持ちたかった。



観自在 (半切)

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【米芾 渓詩帖】

 書を書くことに同じ肩肘を張ってしまう自身に、米?は自由自在に闊達に変幻自在な表現ができることを願って臨書した。



米芾 苕渓詩帖 (半切6枚)

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【大峯独坐】

 昨年の文化祭に「独坐」のみ出品したので本来の意味2字を追加し、大きい気持ちを出した。



大峯独坐(半切)

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【唯我獨尊】 

よい意味での自分を最大限前面に押し出したかった。



唯我独尊(半切

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【植田 愚海さん】

【生 業】(なりわい


 ちょっと古臭い言葉ですが、書いてみたくなりました。意味は「暮らしを立てるための仕事、家業」ですが、神事としての意味もあるようです。五穀が生るように務めるわざ。農作。
『農(なりわい)』は天下の大きなる本なり。



生 業 (全紙)

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【祈 り】

 毎朝夕にお祈りをします。自分のこと、家族のこと、友人のこと、世界のどこかで災害や紛争
で苦しむ人たちのこと...。
 人類が霊長類として分類されている所以は、「祈り」にあります。神との対話、生命の原点のように思います。古代人も埋葬には花を手向けたそうです。



祈り (全紙)

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【摩訶般若波羅蜜多心経】 

 仏様に捧げる言葉=お経です。
 一文字、ひと文字、間違わないようにと、何度も書   き直し、だんだん頭の中が空白になってゆきます。 
 「空...」とは、こういう状態かな?
 そんな単純ではないと思いますが、雑念を払い、ひ    とつのことに心を傾けてゆけば、いつかたどり着く境地。 これからもお唱えして、書いてゆきたい。



摩訶般若波羅蜜多心経(全紙)

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【心訳 般若心経】

 柳澤桂子さんの心訳には驚きました。
 自らの病気の苦難からここまで深い心境に至れるものかと驚嘆です。苦行僧をも凌ぐ昇天の
心理ではないか思います。
 書き進むうちに、宇宙空間の感覚を創造させてくれました。普段の生活において、ちょっと異次元の洞察が味わえそうです。心が大らかになるような、人生をもっともっと愉しんで生きてゆきたい



心訳 般若心経

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あ と が き
  
 お陰さまで、山口塾書道展も3月5日無事終了いたしました。
 しかし3月11日、突然の東日本大震災!何が何だか訳が解らず、その巨大さに肝をつぶしました。今は何にも言葉がありません。被災地の方々の一日も早い復興を祈るばかりです。
 
 山口塾書道展の一週間、多勢の皆様にご来場頂き、激励して頂いた事、心に残ります。ありがとうございました。これからの山口塾の事を思うと大変な力になります。いくら感謝を申し上げても足りないように思います。これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。

 そして私達は全員よく頑張った!巧も拙もある。見事な変身を遂げた人もいる。例えていえば、小宮山さん(洗心)見事に全紙作品をつくりあげた努力に敬意!また清宮さんの(観自在)にもびっくりです。見事にご自身を裸にして見せてくれました。総じて皆さんの作品が来場者の心に沁みて行ったのではないかと思います。ああ面白かった。ドキドキはらはらでしたが、みんなで何物かを表現しえたと思うのです。何物?・・?それは私達それぞれの(志)です!
大震災の余波もあって、私は今、言うべき言葉がありません。
代わりに敬愛する中川一政先生の作品と感銘する言葉の二、三を添えて記念にしたい...




◎ 『詩は志のゆくところ也。心にあるを志と し、言に発するを詩となす。情うちに動いて言にあらわる。之を言いて足らず。故に嗟嘆す。嗟嘆して足らず。故に永歌す。永歌して足らず。故に手の舞ひ足の踏むことを知らざる也』・・・志という字は士の心ではない。もとは之の下へ心をかく。之を行く意。だから志とは心が方向をもったものだ。心が物に触れて動いたのである。今の言葉でいえば感動である。感動とは腹の虫がうごくのである。みな詩をつくる。絵をかく。しかしこの志をふまえていなければ浮いてしまう。この志から出発しなければならぬ。
◎ 私はよく生きた者が、よく死ぬことができるのだと思っている。それはよく働くものが、よくねむると同じ事で、そこに何の理屈も神秘もない。私は昔、アトリエの壁に『ひねもす走りおおせたる者、夜のやすきにつくことよけれ』と書いていた。賢者セネカの言葉である。私は毎日のはげみに書いていたのだが、今は一生のはげみである...(腹の虫昭和51年10月)
◎ 稽古をしてはならぬ。いつも真剣勝負をせねばならぬ。稽古は平常のこと、場にのぞんでも稽古では困る。...
(随筆88:1980)
 ◎ 形似を求めず、胸中の逸気を移すに過ぎざるなり」元:?雲林・・・(随筆88:1980.2 
                       平成23年4月吉日    山口歡一  




    編集後記
  約2年ぶりの山口塾書道展の開催です。前回にも増して8名が思い思いに違った花を咲かせた
書展となりました。
   平易な言葉、読める書...。誰に諭されることもなく、暗中模索の中から悩みつつ達した想いや願い、
志のこもった書には、
  きっと来場者の方々にも何らかの印象として伝わり、そして私たちの胸中にも記憶されている
のではないでしょうか。
  今回もまた書とは何か...、展覧会とは...を考える場となり、ますます書の愉しみが大きくフレームアウトしました。
   さらに次回展に向けて切磋してまいりましょう。ご支援いただきました方々に厚くお礼申し上げます。

発行:山口塾書道展  〒319-1114 茨城県那珂郡東海村須和間174-28 代表 山口歡一
平成23年5月 発行 
               
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