特別企画(めんどくさいから日本語だけ)

中古車購入ドキュメント(ってたいしたことはないんですけどね。)

<Problems>

    事の始まりは6年間乗ってきた1983年製のダットサン280ZXの調子が悪くなってきたのがはじまりで、電気系のショートによる燃料ポンプの停止が最も大きな問題です。何しろエンジン始動前にポンプがスタートしなかったり、かろうじて作動しても走っている最中にいきなり止まったりと非常にやっかいな問題で、メカニックも手をやいています。どこかがショートしているのは確実でマップライトかヴァニティ・ミラー・ライトを点けるとフット・ライトが点灯したり、方向指示器のフューズをぬいてエンジンをかけるとブザーのようなノイズを発生し、シフトを後退にするかクルーズ・コントロール・ボタンを押すと音が止まります。問題のある個所を整理すると以下のようになります。

ルーム・ライト・タイマー 通常ドアを閉めても5秒ほどルーム・ライトの消灯を遅らせるのですが、今は作動不能。
ルーム・ライト 点かない。
マップ・ライト ぼんやり点くけどフット・ライトも点いてしまう。
ヴァニティー・ミラー・ライト フット・ライトが点いてしまう。
電圧計&時計 同時に作動不能になってしまった。
助手席フット・ライト 点かない。
助手席ドア・ライト 点かない。
クルーズ・コントロール 作動しない。
パワー・ドア・ミラー 左右同時に作動不能になってしまった。

    アメリカの場合、車が無いと生活に困ると言うのは本当で、カンザス州のウィチタでは公共の交通網もあまり発達していないので、別の中古車を買うことに決めました。

<Search>

    僕の車購入の条件として、ジャガーXJ6かXJ−Sでも見つからない限りは、2ドア・ハッチバックで5速マニュアルと言うのが大前提でした。値段は5000ドル前後で約10年落ちまで、走行距離も100、000マイルぐらいまでと言うのがリミットでした。その中で候補にあがったのは、1988年前後のスープラ、300ZX、RX7あたりで、第二候補として、’86ジャガーXJ−Sクーペと’78コルベットも考えました。

    最初は、新聞の個人売買の欄で300ZXをメインに探しました。 個人売買だと売る側はディーラーの査定よりも高く売れるし、買い手側はディーラーの利益を省けるので、結構お得です。280ZXも車好きの人から買ったものです。Zは玉数も豊富で、メンテもそれほど高くはなく、保険料もそこそこなので最有力候補でしたが、なぜかこの時期に限って売りに出ているものが非常に少なく、スープラやRX7はもっと見つからないといった状態でした。87年式のスープラ・ターボが6500ドルで売りに出ていたので電話をしたところ、価格応談不可と言われたので止めました。(おいおい、相場は4500ドルぐらいだぞ!) 仕方が無いので、新聞で探しつつも、ディーラーで買うことも考えて友達といっしょにウィチタのディーラーを回りはじめました。

<TOYOTA SUPRA TURBO & PORSCHE 944S>
ウィチタといえどもそれなりに中古車ディーラーは在るので、30軒以上は回ったと記憶しています。 その中でありました、スープラ・ターボが。 色はガン・メタリックで5速マニュアル、サンルーフ付き。 ただ89年製と言われて値段を聞かずに去ってしまいました。 インターネットで事前に調べたら、89年製のスープラ・ターボは7ー8000ドルが相場だったんです。 そのお店の向かいにはポルシェ944とちょっと古いけど程度の良いメルセデス・ベンツ300SLが売りに出ていて、その時は漠然と「あぁいいなあ」とか思いましたね。 でも、どうせ冷やかしならと言うことでその944を試乗してみました。 1997年式で、グレードはベースモデルとターボの間に位置する944S、色は赤、インテリアはブラック・レザーでティルト・アップ・ルーフにオートエアコン、パワー・ウインドウ、パワー・ドアミラー、ソニーのカー・オーディオといった物が装備されていました。 エンジンをかけてみたところアイドリングがちょっとラフで、ふけあがりの途中3000回転当たりでやや振動するなど10年落ちの車らしい程度でした。 走り出してからは特に目立った問題はなく、クラッチも良好、4速への変速時にちょっとギアが鳴ったのでシンクロに若干問題がある様でした。 ハンドリングは非常によく走行安定性も申し分ない感じで 乗り終えてからなんか得した気分になりました。 気になる値段の方は車両価格5480ドルでほとんど買いそうになりましたが、気分を落ち着かせてその日のディーラー巡りは打ち切ることにしました。

<1988 MAZDA RX7>
次に見つかったのはRX7。88年式でNA、5速マニュアルでこれまたサンルーフ付き。 これは相場が5000ドル程度なので迷わず試乗してみました。 ロータリー・エンジン車を自分で運転するのは初めてだったんですが、あらびっくり、ちょっとアクセルを踏んだだけで4000回転まであっというまに到達しちゃうんですねぇ。 ただ、回転数の上昇に応じた加速(感)が得られなかったのはちょっと残念でした。 クラッチが滑っている様子はなく、もうちょっと回さないとグッとした加速はしないんでしょうか。 RX7を所有していた友達が依然言っていた「ガス食うよ」というのはそういう事なんでしょうかね。 色は上品なメタリック・パープルで全体的な程度もよく、値段も第一声が6200ドル(応談可)だったのでその時点では第一候補でした。 最もそれ以上の価格交渉については僕が時間を割かない限りしないとぶっきらぼうに言われたのでちょっとムッとしました。 まあ 焦ることはなく他にも色々と見てみたかったのでいちおう名刺をもらってその場は去りました。

<1987 NISSAN 300ZX Turbo>
自分は280ZXのオーナーですのでその次の世代の300ZX(Z31)をメインに探していたのですが、見つかりました。 一つは黒の300ZXターボ・Tバールーフ、もう一つは マイナーチェンジ後の赤のこれまたターボ・Tバールーフで両方とも5速マニュアル。 最初に黒の300ZXが売りに出ているディーラーに寄ってみました。 トランクの1/3を占領するほどのカスタム・メイドのスピーカと残りのスペースを陣取っているアンプに圧倒されつつ車をチェックしてみました。 標準装備もいろんな物がついていて、本皮シート、オートエアコン、コンパス(なんで?)、ブースト・ゲージ、”パワー・エブリシング”(つまり動くものは全部電動)といった感じでした・・・が、 壊れていて動かない物の方が多かったりしてちょっと笑っちゃいました。 まあその辺は値切った分のお金で修理するか、ディーラーに治させた後で購入するとか出来るので、とりあえず試乗してみました。 エンジンはスムースでクラッチも良好、加速は当時のターボ車らしく3000回転あたりでガァーときました。 ブレーキもしっかり効いていて問題はありませんでした。 ただ、トランスミッションの調子があまりよくなく、それぞれのギアにきちんとはまらず2回ほどミスッたのが気になりました。 あとデジタル・メーターは個人的にあまり好きになれない部分の一つでした。値段は6800ドルとべらぼうに高かったのですが それについては「非常に柔軟に対処する」と言われました。 まあZはもう一つ売りに出ているし 壊れたものを直して乗るよりは最初から壊れていないものを乗る方が気分がいいので その場を去って赤のZを試乗するために別のディーラーに向かいました。

<1988 Nissan 300ZX Turbo>
マイナーチェンジ後の300ZX(Z31)のスタイルはあんまり好きじゃないんです。 特にリアのコンビネーション・ランプとその周りはマイナー・チェンジ以前のものの方が良いと思うのですがどうでしょう? さて、通常セールスマンに車の試乗したいと言うと免許所のコピーをとったり用紙にいろいろ書き込んだりします。 それが終わった後セールスマンが車のドアを開けようとしたら開かなかったんですよ どうやっても。 「おかしい、おかしい」とか言いながら事務所に戻ってキーが間違っていないか確かめた後戻ってきて キーは合っていると言うので、今度は僕が試したら何とか開きました。キーはどうやらコピーらしく 開けるのにコツがいる様でした。 車は全くのノーマルでインテリアも傷みはほとんど無し。デジタル・メーターはやっぱり気に入らないけど走りが良ければそこは我慢できるのでとりあえずエンジンをかけてみました。エンジンの調子はすこぶる好調で、それではいざ発進とアクセルを軽く踏みクラッチを丁寧につないだら「カックン」。   え”、エンスト? 恥ずかしーとか思いつつエンジンをかけようとしたら全くかからなかったのです。 スターターは回っていてちょうどバッテリーが上がった時の様な感じでした。ただ、バッテリーが上がっていたとしたら通常エンジンは始動しないのでイグニッション・モジュールがイッちゃった可能性もありました。 いずれにせよ友達と顔を見合わせて「だめだこりゃ」という様な感じで車を降りてキーを返しました。バッテリーが原因ならすぐに取り替えられると言われましたが、寒かったせいもあって「すぐに(車が)いるわけじゃないからまた来るよ」とか言ってその場を去りました。もちろん戻ってくる気などまったくありませんでしたが・・・。結局、赤のZの試乗は2、3インチ動いただけでで終わってしまいました。

<その他>
実際に運転してみた車のほかにも、買い手がすでに決まっていた87年前後のシルバーのジャガーXJ6や、疑わしいほど安い87年製の300ZX、まったく手の届かない92年製XJ−Sなど値段を聞いたりシートに座っただけの車がたくさんあります。中でも82年式のポルシェ928は走行距離も平均以下で程度も結構良かったんですが、オートマと言うこともあってやめました。

<Decision Making>


さて、実際の交渉に入るわけですがこの段階で944、RX7そしてZXと三台とも候補に残っていました。色々考えた末にまず944の交渉をして最終的な値段を知る。944の場合、保険が高いので買い手が見つかりにくいしSUVとピックアップトラックが大はやりのこの時期にスポーツカーを買う人間は少ないと言うのが値切る時のポイントになります。Zの場合は、セールスマンが何とか売ろうとしていたのでその足元を見ておもいっきり値切る。「ブルーブックの相場は4500ドルだ」とが言えば通りそうな感じでした。 それがだめならセールスマンは気に入らないけど車の程度の良かったRX7に落ち着くと言うプランを立てました。

<Negotiation>

    どんな物でも価格に交渉の余地がある場合、自分がイニシアチブを取ると有利です。ですから実勢価格の下調べとか細かいグレードの違いなどを頭に入れておくと非常に便利です。さて、944を売ってたディーラーではこのように話が進みました。まず、価格が5480ドルから5980ドルに上がっていました。これは新品のタイヤを装着したせいだそうですが そんなことはお構い無しで車両価格5000ドル(諸費用込み5370ドル)でどうだとたずねました。87年式944”S”のブックバリューは6700ドルでしたからこれは不可能と思いました。セールスマンはセオリー通り上司の了解を得に退席し、戻ってきたときには新品タイヤ込みで5480ドル(こみこみで5878ドル)でどうかと言うことでした。それでいっさい込みで5480ドルならどうかと尋ねると、また上司のところから戻ってきて、2つのオプションを提示してきました、一つは、車両価格5280ドル(トータル5591ドル)でもう一方は元のタイヤに戻して5000ドル(トータル5370ドル)でした。この時点で頭に浮かんだことは二つ。一つはウィチタの道路は結構荒れていてハイドロプレーニングが起きやすく磨り減ったタイヤで走るのは危険だと言うこと。もう一つは、価格の下げ幅とセールスマンの態度や経過時間からそろそろ交渉の限界に来ているということ。そこで全部込みで5555ドルでどうかと尋ねこれならサインすると言いました。戻ってきたセールスマンは上司の承諾を得たといい、車両価格5245ドル(トータル5554.46)が最も僕の提示額に近いといいました。これには先の新品タイヤや登録手数料などがすべて含まれていてこれならZやRX7の交渉をするまでもないと思いサインをしました。車はブレーキパッドの交換とオイルチェンジの途中ですぐに仕上がるといわれましたが、気分の高揚を押さえるために次の日に取りに来るといいその場を後にしました。そして次の日、944のキーを受け取りディーラーを後にしたのでした。最もその日は非常に寒かったのでドライブとかいう気分にはなれませんでしたが・・・

 

< 280ZX >

問題を抱えていた280ZXの方は、NISSANディーラが2ヶ月粘って最終的にブレイン・ポックス(つまりコンピュータ)が原因と言う結論にたどり着きました。新品は手にはいるのですが非常に高いので再生品を購入することにしました。最初の品はつけても動作せず、二つ目のコンピュータを付けてもらい最終的に直りました。その後、いろいろありましたが、卒業と帰国の際に売却してしまいました。後日、典型的な交差点事故によりフロント全壊、走行不能でジャンク屋送りとなってしまい、その知らせを聞いたときは非常に寂しく思いました。が、正直82、83年の280ZXは将来また、所有したいと考えています。

 

 

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Last modified : 2001-11-26