33c(2004年1月1日)

「都市における
火山灰災害の社会的影響に関するシンポジウム」
に参加して

ライフラインシステム(株)埼玉営業所所長 山岡 重夫

 11月6日、静岡県地震防災センターにおいてシンポジウムが開催され参加致しました。活火山を108抱える日本においては、火山災害の中でも火山灰による被害が広範囲でかつ長期に及ぶことがあるとの指摘があって、1999年、内閣において大規模火山災害発生時に内閣官房の行なうべき措置(危機管理マニュアル)が決議され、筑波大学が中心となって2001年から三ヶ年計画で研究が進められてきました。今回この研究成果を講師5名によって報告された中から、特に心に残ったこと、感じたことをご紹介致します。

 先ず、降灰による災害はあらゆる都市機能に影響を与え、都市機能をライフラインに大きく依存する大都会にとっては、被害者の健康や生活・交通災害が顕著でかつ多岐に及ぼします。雲仙普賢岳噴火の場合火砕流被害の他、小さな粒子発生もあって夏でも窓を開けられなかったり、湯沸し器やクーラー等のセンサーに火山灰が侵入して故障したそうです。更に皮膚・粘膜に付着して眼・耳・鼻・喉の痛みや咳・喘息発作など人々の生活・健康への被害は甚大でした。

 首都圏においても今後東海地震に連動して富士山の噴火も想定され、間もなくハザードマップが完成するようですが、地震と連動して発生する複合災害への備えが必要と感じました。

灰の分布図
 諸先生方の発表災害事例によれば、自然とはかくも無残・無慈悲・気侭に突然振舞うもの、これが太古からの自然のならわしなのだと思いました。これをのり越えて甦り続けることこそが生きとし生けるものの定めだと思います。大勢の智恵を集めて時代の叡智となし、これからの街・生活のありように参加できるよう願います。

 参考:富士山の火山防災対策
    (http://www.bousai.go.jp/fujisan)




都市防災研究会 第3回研究大会 速報

都市防災研究会代表補佐 前田 和子

日時:2003年11月22日  会場:エルシャンテ追浜
我が都市防災研究会は、セミナー・シンポジウムを多々企画実行するが、主として外部の人のためのものであり、会員による会員のための研究発表会を行なおうと生まれたのがこの研究大会で今年で3回目である。

 ★午前の部
研究発表者

倉茂勝一
地震とライフライン設備の
     「被害と復旧」について
川島照久
大地震の火災を防ぐ
牧瀬稔
生活安全条例の現状と課題
小口悦央
地震に強いまちづくり・今出来る地震対策
関口正俊
地域における防災訓練の活性化と
     ボランティア活動
井村喜美子
福井地震の体験談話「生と死の別れ目で」
国崎信江
日本の防災教育を考える(欠席にて論文のみ)
 ★午後の部
基調講演

川崎浩司
21世紀の都市防災はいかにあるべきか
研究発表者

斎藤晃顕
まちの「小さなおやすみ処」
早川正士
地震に伴う電磁気現象(レビュー)
杉原英和
東海地震・東南海・南海地震について
朴 英真
韓国、大邱地下鉄惨事の調査記(欠席にて論文のみ)

 研究発表会というにはあまりにも内容が濃く、短い時間の発表ではもったいない。申し訳ない感じであった。機会を作って、もっと時間をかけて各々の先生方の御講義を拝聴したいと思った。

 パネルディスカッション
『21世紀の都市防災を考える。
関東大震災から80年、兵庫県南部地震から8年』
パネリスト 大竹ひろ子  災害介護と保険婦活動
  佐藤栄一   避難所シミュレーションの勧め
  高橋是清   市民防災連絡協議会の活動
  田中弥壽雄  建築物の地震被害の低減のために
  三浦一郎   防災に関する法的危機管理
コーディネーター 砥上康二
コメンテーター 高嶋三郎

川崎研究委員長をはじめ多くの会員が忙しい中、本当に努力され各界でご活躍の諸氏の高レベルでかつ中身の深い発表、会員皆で作った会員のための稔り多い研究発表会であった。



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