被災者生活再建支援法
2003年7月26日に発生した宮城県北部連統地震に適用
自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受け、経済的理由等によって自立して生活を再建することが困難な世帯に対し、自立した生活の再建の支援を目的とする法律として被災者生活支援法があります。
具体的には、暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象によって10以上の世帯の住宅が全壊する被害が発生した市町村の区域に係る自然災害などに対して、世帯の構成等条件によって最高100万円の支援金が支給されます。
いわば、災害に対する事後的対応を盛った法律であり、本制度が適用になる自然災害が発生した場合には、県から、その旨の公示がなされることになっています。
支給対象となる経費は、生活に通常必要な物品の購入費又は修繕費や引越費用としての「通常経費」と「特別経費」に区分されています。
この場合の「特別経費」とは、
- エアコンなど被災世帯の居住地域又は被災世帯に属する者の特別な事情により生活に必要な物品の購入費又は修理費
- 住居に移転するための交通費(引越費用と区別)
- 住宅を貸借する場合の礼金、権利金など
- 自然災害により負傷し、又は疾病にかかった場合の治療に要する医療費など
を指します。(具体的には被災者生活再建支援法施行令に規定)
最近では2003年7月26日に発生した宮城県北部連続地震による災害を、宮城県は被災者生活再建支援法の対象となる自然災害と決定し、8月5日付けで公示しました。
支援の内容は現実的か
では、本法における支援の内容は十分かというと、上述のような100万円の支給がなされるのは、具体的には、収入合計額が500万円以下の複数世帯のみであり、支給には収入や世帯主の年齢などの制限があります。また、100万円という額は大金ではありますが、被災者の生活を再建することに必要な額には遠く及ばないでしょう。
そもそも支援金は、都道府県が相互扶助の観点から基金(全都道府県から支援金支給事務の委託を受けた財団法人都道府県会館)への拠出金(当面300億円)の運用益と国からの補助金を原資としているもので、被災者の生活再建のすべてをカヴァーする性格のものではないといえます。現実的にも首都圏における大規模地震などは現時点の基金の支給能力をはるかに超えてしまうことが予想されます。
つまり、被災者再建支援法によって自然災害に対する個人責任の原則が変わる訳ではなく、十分な生活再建には地震保険の加入などの個別の対応が不可欠といえるでしょう。