第22号(2001年3月31日)

「都市防災研究会」の活動概況
代表補佐 高嶋三郎
     会の具体的な活動についてはニューズレター、ホームページでお知らせしていますのでご存じのことと思いますが、年度末にあたりその概要を述べますと
  1. 知名度の高まりから今年度新入会員が22名となり、会員数が150名になったこと
  2. イベント種類の厚みも増して、調査研究は高齢者防災を中心に順調に進んでいること
  3. 会員それぞれが市民活動で立派な業績を挙げられていること

    を核として、活動が展開していると思われます。

     会員それぞれが主役となって特技を発揮し、成果を挙げられているので「ボランティアで、よくここまでやっていますね」と驚きの声も聞こえてきます。
     又、調査研究活動中様々の人と出会いますが、世間は広いようで狭く、いろんな縁でつながっていることにも驚いています。
     会員の活動ぶりも新聞・テレビで拝見することも多く、中でも次代を担う若い会員の活動ぶりには日を見張るものがあります。
     今回、会員への還元として「自主防災リーダーの座談会記録」を配付致しますが、念願の防災書も9月の防災の日発行を目指して頑張っていますので、是非発行の暁には、ご一読賜りたいと思います。           

     新年度の主な企画としましては、

  1. 8月26日に会員の研究発表会を開催し、引続き総会を開く
  2. 9月23日にはパシフイコ横浜で「防災と福祉のまちづくり」をテーマにパネルディスカッションとワークショップを行う
  3. 5月20日、6月23日、7月22日に市民防災センターで「避難所運営マニュアル作成セミナー」を横浜市災害対策室の後援で開く

    予定です。このほか、見学会、被災者支援、研究活動、出版等もあります。
     ご多忙とは思いますが今後とも会活動へのご理解とご参加をよろしくお願い致します。




インタビュー 荻原 多聞さんに聞く
荻原 多聞 幹事
(災害救援ボランティア推進委員会神奈川事務局長) 
    大間知事務局長 昨年10月に実施した研究会のアンケート調査で,防災に役に立つ資格としてセフティリーダーを登録された方が7名でした。その後の調査や新会員として登録された方にもセフティリーダー(以下S/L)がいらっしゃいまして,現在10名が所属されています。そこで本日は災害救援ボランティア推進委員会神奈川事務局長荻原 多聞さんにお話をお聞きします。
     S/Lは「阪神・淡路大震災」の教訓である災害発生直後には,消防,警察,自衛隊等行政や国の機関が機敏な活動を展開できなかったことを反省して誕生しました。「阪神・淡路大震災」発生当時の村山内閣の官房副長官であった石原信雄氏が発案されて平成8年から本格的養成活動を実施してきました。

    事務局長 神奈川県ではS/Lが800名を超えたそうですが,神奈川県民1万名に1名のS/Lということを考えると,研究会に10名のS/Lということは県民150万名に匹敵するとも云えますね。

    荻原幹事 S/Lは首都鰯で2000名を超えて,東京都が50%,神奈川が40%,残りが千葉,埼玉となっています。神奈川県では本年3月に第15期生が小村原で誕生し,800名となりました.今年中には1000名,2005年(「阪神・淡路大震災〉10周年)には2000名を目標としています。

    事務局長 最近のS/Lの受講者の傾向は如何ですか。

    荻原幹事 最年少は川崎のヰ学生で障害のある妹のために資格を習得した方がいます。最年長は85才の方で,つい最近まで50〜60代が多かったのですが,ここへ来て20〜30代の方が増加してきたのは嬉しい傾向です。研究会の横浜国立大学の学生の方にも関心を持って頂いていますので,昨年一ツ橋大学で開催したように何れ横浜国立大学でも開催したいと考えています。

    事務局長 S/Lの資格を取琴された方の今後の課題は何でしょうか。

    荻原幹事 S/Lの方が取得した技能や知識を生かすのは地域で災害が発生したとき,現場ですぐに活躍できるような環境が大切と考えています。地域の防災の役員が資格を取られた方も多いのですが,最近のように若い方が増えてきますと自主防災組織でもS/Lの方を組織に取り込む努力と,S/Lも地域の自主防災組織に売り込む双方向からのアプローチが重要となってきます。

    事務局長 今後の神奈川県におけるS/L講座の日程,カリキュラム等について一言。

    荻原幹事 直近は5月22日〜24日の3日間横浜市市民防災センターで開催されます。
    連絡先はTELO45−311−8739です。研修内容は神奈川県の地域防災計画・自然災害・都市型災害を生き抜く術,情報収集・伝達と避難誘導等座学と初期消火・簡易救出2日間,応急手当て1日コースです、S/L上級講習も東京で2回開催されて,会員中野義孝さんも受講されました。

    事務局長 横浜市青葉区ではS/L16名が防災ボランティア団体として登録されていますが,その他の地域では如何ですか。

    荻原幹事 横浜市栄区では関口正俊会員を中心に,磯子区では前田和子会員、神奈川区では荘司一利会員がリーダーとして活動され、川崎市宮前区,大和市,湯河原町等でも活動が開始されています。本日はありがとうございました。



新春インタビュー 本間 勝さんに聞く

大間知事務局長 あけましておめでとうございます。今日は21世紀の初頭にあたり,会員の本間さんが横浜市の商工会議所で「阪神・淡路大震災」以後防災連絡会議で取組んでおられる内容を中心として,お話をお聞きしたいと思います。最初に本間さんの防災連絡会議における立場からお話ください。

本間 勝 会員 現在私は「神奈川県情報サービス産業協会横浜市渉外部会」のメンバーとして,年2回開催される「横浜商工会議所産業防災会議」に出席しています。当初は,横浜市直属の機関として発足したのですが,その後所管が商工会議所に移管されたものです。

事務局長 会議にはどのような立場の方が出席されていますか。

本間会員 直近の会合では,商工会議所(委員長)・有識者(吉井博明副委員長)・横浜市商店街総連合会代表・横浜市工業会連合会代表・日本チェーンストア協会代表・神奈川ビルヂング協会代表・神奈川県情報サービス協会代表2名・横浜回漕協会代表・横浜市・区役所(保土ヶ谷区)等が参加しています.この他事務局メンバー数名が出席しています。

事務局長 そこで話し合われる内容や何か決定したり,或いは横浜市の地域防災計画に反映されるようなことがありますか。

本間会員 そこでは主として中小企業が震災後いち早く活動できるように,復興資金の確保がスムーズになるようなことが話し合われています。「兵庫県南部地震」では神戸市・西宮市・淡路(津名)に中小企業相談所が開設され,中小企業の早期復興に力を揮したように,ワンストップセンターの開設などが検討されています。
 また最近は神奈川県防災局管理担当課長酒井俊夫氏から「神奈川県における防災対策への取組について」という講話もありました。

事務局長 いよいよ21世紀に入るわけですが,そこでは20世紀の防災について総括反省し,21世紀新世紀に目指すべき防災のテーマが論議されていますでしょうか。

本間会員 そのようなことは行なわれていませんが,私は前回の会議で次の三点について提案致しました。

  1. この会は市民団体等市民の立場からの発言も聞くべきではないか」例えば「都市防災研究会」等からも防災についての意見を聴取すべきである。
  2. 横浜市商工会議所は防災についてボランティア・リーダーの育成やマニュアル作り,活動しやすい環境提供等に努めると良い。
  3. 会議の昼食は防災用備蓄食料等の試食を行い研究すると良い。

事務局長 本日は海外出張等でご多忙にも関わらず負重なお話有難うございました。今後も会の活動を含めて行政・自治体などへの働き掛けを期待しております。最後に何かございますか。

本間会員 海外へ行って感じたことですが鳥がいないことに篤きました。ベトナムではアヒルを2羽見たほかは鳥を見ることがなく,台北でも雀・カラス・鳩も全然眼にすることがなく,日本に帰って家に雀が来てくれてほっとしました。21世紀は環境問題が更に深刻になることを心配しています。





「研究会は市民運動・学術的な研究両者の性格を持った方向とすべき」
が会員の圧倒的意向
アンケート結果まとまる
     昨年来役員会・一般会員参加の特別会議・総会の場,ニューズレター等で検討してきた研究会活動の方向性が,10月に実施したアンケート集計の結果がまとまりました。

     今回のアンケートは142通の対象者に発送しましたが,51名の方から回答が寄せられました。回収率は35.91%で総会等に比べれば,かなり多くの会員がご協力頂いたものと感謝しております。
     会員の性別は男41名 (80.4%),女10名 (19.6%)です。
    女性会員が24名であることを考えれば,女性の方が熱心に回答して頂いたようです。
     今後の研究会の性格について,
      学術的な研究を中心とすべきが4名(7.8%),
      市民運動的な活動を中心とすべきが10名(19.6%),
      両者の性格を持った会とすべき32名(62.7%〉,
      NPO法人とすべき8名(15.7%),
      不明1名(2.0%)
    という結果となりました。

     以下全項目について詳細にコメントしますと,紙数が足りませんので,各項目の1位のものだけご紹介致します.

     研究会入会の時期 1998年 22名 (43.1%)
     研究会入会の動機 人に勧められたから 25名(49・0%)
     研究会入会壌の活動 会の催しに出席 41名(80.4%)
     ニューズレターについて 毎回よく読む41名 (80.4%)
     ニューズレターの内容   役に立つ27名(52.9%)、分かりやすい25名
     研究会の設立目的  知っている 31名 〈60.8%)
     研究会活動  今のままでよい24名 (47.1%〉,ミーティング等19名
     今後の参加  積極的に参加したい26名(51.0%)
            ニューズレター等で情報を知りたい 23名 〈45.1%)
     都市防災関連資格  建築士12名 (23.5%)
     インターネット加入  27名(53.0%)
     会のH/Pを知っている 26名(51.0%)
     会のH/P見たことガある 11名 (42.3%)
     防災関連団体加入 当研究会だけ 26名(51.0%)




高校総合教育に 「地域防災」 検討の動き
     少子化に伴い神奈川県でも県立高校の整理統合が検討され,平成17年度には現在の20校が減少し,新しいタイプの高校が6校誕生するようです。2003年から新教育指導要鎖に基づく総合教育が実施されます。総合教育学習は卒業までに3〜6単位習得することが必要で,1単位は35時間ですので105〜210時間の学習をすることになります。
     県立高校推進計画によれば地域との連携を深めることが強調され、地域の有力な人材を総合学習に活用し,また地域に生涯学習の場を提供することもされます。

     先日県立舞岡高校の英語の教師が大間知宅を訪問され「どうする!!地域防災」を3冊分けて頂きたいと申出がありました。英語の先生が何故地域防災かとお尋ねしたところ,総合学習に地域防災を検討したいというお話でした。本は校長室の戸棚で発見したということで,地域防災が高校教育の現場で採用されれば本県でも初めてのことではないかと思います。今後の動きを見守りたいところです。尚総合学習は部分的には申請により,許可がおりた学校では既に一部取り上げているようです。



ニュースレターtop 別館top