市民のためのまちづくり講座終わる
大瀬 陽之
     サブテーマ防災と福祉を中心として開催した3回シリーズの講座が,去る11月25日終了しました。第一日33名(一般16名),第二日31名(一般15名〉,第三日21名(一般12名),延ベ85名(一般43名)の方々が参加されました。
     第一日の講座内容は前号でお知らせしましたので,第二日,第三日の概要について以下にお知らせします。

     第二日幹事荻原多聞さんが「防災と福祉と介護」と題して,ご自身の災害救援ボランティアやホームヘルパー等の経験に裏付けられた講話が展開されました。
     防災と福祉のまちづくりには隣保の心が大切,隣保ネットワークの主役としてのセフティリーダー(災害救援ボランティア)の重要性,超高齢化社会の介護は快護であるというユニークな視点,防災と福祉の住まいづくりに防災福祉住環境のコーディネートの必要性等が語られました。
     続いて防災ボランティアと地域の連携について事務局長大間知倫さんが話しました。災害時におけるボランティア活動の実態について,安政江戸地震,関東大震災,福井地震,新潟地震における奉仕活動の実態を紹介しました。関東大震災の時に新潟市の青年団が横須賀に応援に来たことは『新潟市史』に記載されているが,『横須賀市史』には記載されていない。姉妹都市として海外偏重でなく新潟市等も検討されてもよいのではないかと意見を延べました。地元ボランティアの重要性については地域の被害想定をすれば理解できるとして,日限山の例を引用判りやすい説明があり,神戸市の防災福祉コミュニティの図解説明もされ,社会構造の変革に対応したコミュニティの構築,防災教育の体系化が語られました。
     最後は相模原市保健福祉部保健福祉総務課主査古井隆−さんより,相模原市の「災害弱者支援策」について同市の「地域防災計画」「自主防災組織活動基本計画・活動支援マニュアル」「災害弱者支援班の職員体制」「災害弱者支援訓練への対応」など豊富な資料を駆使して講話がありました。相模原市では「自主防災組織のための災害弱者支援マニュアル」「災害弱者支援対策指針」等が整備されている県内唯一の自治体です。今後の課題は自主防災組織にこれらの施策が理解され、如何に浸透していくかに係っています。
     私たちはこれらの資料と解説を参考に,地域で高齢化社会への対応を早急に進めなければならないことを痛感しました。

     第三日幹事野上純輿さんから「大火災(火災旋風)と放射能からの避難とまちの防災体制」と題してお話がありました。火災旋風については本所被服しょう跡の関東大震災,太平洋戦争末期の東京大空襲,横浜大空襲等の事例が発表されました。
     また,放射能災害については最も心配な浜岡原子力発電所について詳しく解説がありました。またこれらは「神奈川新聞」の提言籍や「横浜緑港北新報」の週間放談7例等を紹介して展開されました。更にまちづくりには開発により災害に弱い環境が作り出されている矛盾を指摘されました。
     最後に神奈川県福祉部福祉総務室主幹小宮山登使雄さんより「災害時の福祉行政」について現在作成中の「災害マニュアル」(平成13年3月完成予定)を基にして,福祉部の役割,市町村等の関係等を中心に解説があり,災害が発生すると福祉総務室は救助情報班として,障碍福祉課は施設対策に従事する予定であり、救助情報班が備蓄しているのは毛布6万枚だけでこれらは県立高校の空き教室に分散備蓄しているという説明がされました。
     「阪神・淡路大東災」の教訓を生かし県の役割を明確化し,市町村の対応が促進される施策が推進されつつあることが発表されましたが,受講者からは心配の発言もありました。



防災の基本は自宅のシェルター化から
矢島泰造 ヨコスカ防災研究所
     防災とは災害を如何に最小限に押さえるかと言うことであり、各地で実施されている防災訓練等は災害訓練と言うべきである。その為には第一に自宅をシェルター化即ち避難所として使用できるように常日頃より準備、災害災に公共避難所に避難する必要がないようにするにはどうしたらよいか述べる事にする。
  1. 住宅の構造(木造、鉄筋等9、種類(戸建て、共同)を問わず地盤の強弱や地山、人工の区別を調べる。・・・・(不明な時は各地の神奈川県土木出求所で問い合わせる)

  2. 木造住宅の耐震珍断を実施する。例えば横浜市の場合対象住宅(昭和56年以前建築)の数は約27万戸あり、診断済は3%に満たない現状である。加えて自分で簡易珍断を
     行う事を進める。勿論横浜市の場合は費用は無料である。

  3. 診断の結果、要改築の場合は一般の工務店でなく耐震専門建築士を要している業者に 依頼する。横浜市の場合改修費の補助(費用の1/3、上限200万迄)及び無利子化貸付 300万を用意している。(利用者少なく予算が大幅に残っている)

  4. 室内の安全化を図る為に次ぎの各項を実施する
     1:不用品(一年以上未使用の家庭用品等)の整理
     2:収納方法を検討し生活習慣を見直す
     3:家具、家電品などの配置転換及び整理
     4:転倒、落下,飛出し防止対策の完全な実施
     5:ガラス戸、窓、ケース等の飛散防止フィルム貼布か網入又は強化ガラスとの交換
     6:外回りの安全化・・・ブロック、石塀をチェックし破損ある場合は必ず補修する。

  5. 前項で特に注意したい点は先ず大型家具の危険性が多い事である。
     阪神大震災の折り木造住宅(築22年)の家具転倒率は
       床材じゆうたん(51.2%)
       たたみ(46.6%)
       フローリング(26.3%)
    で特に本棚、食器戸棚がタンス類に比して転倒率が高い。
     寝室には家具はできるだけ置かず、タンス類の替わりに取付け式のクローゼット収納を推薦する。
    キャスターにはストッパー付かゴムキャップを必ず付ける。
    食器戸棚、本棚の棚板やサイドボード天板には滑り止マット又は粘着マットを敷き収納物の飛出し、落下を防止する。

  6. その他の注意事項としては充分過ぎる程の断水対発と簡易便器の用意が重要である。

  7. 非常袋等の災災害用品については自宅にいる以上常識的判断にゆだねる。

  8. 最後に家具の安定度チェック方法を記す。
    一般の家具はそのプロポーション(底辺と高さ・・・重心位置)によって倒れるか否かが決まる。即ち高さが低く、奥行きの幅が長ければ安定的で逆の場合は不安定である。

★★★転倒判別式★★★
B÷√H≧4
B=奥行き
H=高さ




三宅島噴火火山活動と箱根・富士の火山活動勉強会から
高嶋 三郎

 去る11月25日サポートセンター604号室で午後6時から,神奈川県温泉地学研究所理学博士棚田俊収氏を講師として,依然として先行き不透明の三宅島噴火火山活動について勉強会を開催した。
 参加者は会員11名,一般5名,三宅島被災者で横浜市へ避難中の高橋真紀子さん,講師を含めて18名が参加した。

 三宅島には平成11年3月に三浦代表外計8名が,「地震と防災の旅」に参加しており,参加会員にとっては特に関心が高まっており,とても他人事とは思えない気持ちで,9月には高橋さんご子息をお見舞いもしたところである。

 今回勉強会に先立ち,高橋さんより三宅島の近況をお話し頂いた。9月初めに全島避難となったが,それまでに高橋さんの家では灰が2トン出たそうである。噴火した火山灰が身体に触れると,生暖かく雨が降るとヌルヌルして気持ちが悪かったそうである。噴火については噴火前に朝日新聞にGPSを三宅島に設置する記事が掲載され,何となく噴火が近くあるのではと感じていたそうである。噴火が始まり,地震も1分置きにあり,震度3〜4の地震も1時間置きにあり,安な気持ちに揺れ動いたそうである。そんな気持ちも自衛隊の方が来島されてほっとしたそうである。現在ご主人は秋田のリゾートホテルに職を得て出稼ぎ中で,ご子息は中学でサッカーに余念がないそうである。また高橋真紀子さんに,参加者から暖かい義援金が寄せられました。

 尚当日は神奈川新聞の取材があり,11月26日の社会面に高橋其紀子さんの写真と取材記事が掲載された。

 棚田先生からは現在の火山学では四つ位の推論があり,結論見通しを出せる状況にないことが話され,箱根火山も以前は富士山のようであったが,噴火爆発により山体が吹っ飛び,現在の形になったこと,富士山は最近低周波地震が活発で警戒が必要であること,気象庁作成の富士山噴火シミュレーションマップも披露され東海地震が富士噴火の引き金にもなりかねないことが実感させられた。




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