市民の関心を集めた都市防災研究会シンポジウム
震災時の帰宅難民と地域の課題
     都市防災研究会では、大震災時の交通マヒで自宅へ帰れなくなってしまう人達、「帰宅難民」の発生を「どう防ぐか」をテーマに、去る9月18日(土)、横浜市港北区のカリモク新横浜研修センターで、公演会とシンポジウムを開催した。9月19日の朝日新聞が報じているように、都心に通うサラリーマンら約200人が参加した。

     戦後復興期に、東京を中心に職場と住居が密集した日本では、高度経済成長の現出とともに、経済外的不経済が一挙に墳出し、「東京問題」が発生した。その時代を担った重厚長大型産業のうち、さらに大きな工場用地を必要とした企業は、一時期であったが新産業都市の誕生とともに東京を離れた。しかし、その時代が終焉し、知的集約型産業と言われる付加価債の高い軽薄短小型産業がそれにとって替わると、次には「新東京問題」が起こった。知的集約型産業は従来の重化学工業に比べ、より良質の人と情報を必要としたために、東京の社会的・経済的資源は再び高い評価を受け、特定企業による東京での資本の集中と集積がはかられた。日本で二番目に位置する巨大都市横浜でも、そうした東京の煽りを受け、昼夜間の人口差は約10パーセントに及んでいる。神奈川県全体をみてもその比率にはさほどの違いはない。

     こうした現実を考えると、大震災時の「帰宅難民」の大量発生は必定である。東京で働く多くのサラリーマン、東京で学ぶ多くの学生たち、彼らは足止めされ、家族を気づかいながらも、帰宅がままならない、その現実、今回の講演会とシンポジウムは、そんなあたりまえの問題意義が前提になった。・・・・・聴衆者の反応は‥まずまず・・‥
     ご苦労さまでした。講演者、バネリスト、コーディネーターの皆さん。

    基調講演:石原信雄
    パネリスト:吉武正一・三浦隆・佐藤紘志・大間知倫・前田和子・荻原多聞
    コーディネーター:三村眞人
    司会:磯田妃芳・高嶋三郎
    (敬称略)

     問うべき「防災とコミュニティ」は日本的コミュニティ論構築の素材をなす。




手作りの防災必読書
『地震災害を軽減する一災害に強い地域社会づくり一』
 みんなで作りはじめた本の発行に向けて
編集委員会幹事 高嶋 三郎
     咋年の連続講座の内容を基にした標記の本の発行に向けて、編集委員会が中心になって企画推進中です。その中間報告として進捗状況をお知らせします。
     書名としては色々案がでておりますが、ある程度の同意を得ているのが、『地震防災を軽減する一災害に強い地域社会づくり』です。

     書物は次の6章から構成されています。
    第1章 災害の基礎知識
    第2章 家庭における防災対策があなたと家族の安全を守る
    第3章 コミュニティの危機管理
    第4章 その時行政やライフライン企業はどう動くか
    第5章 幼児から老人まで防災教育を!
    第6章 防災資機材の解説と防災ボランティア名簿

     書物の特教は、従来出版されていた地震学者の「地震の本」、建築家による「住宅の耐震ブック」、新聞記者による「震災・救捷・復興レポート」、行政の発行している「地震対策ガイド」等の内容から、落ちこぼれている学校での防災教育論、防災資機材
    のカタログなどでは得られない最新の知識を、わかりやすく総合的に解説していることです。特に防災リーダーのテキストとして本書以上のものはないと、編集に力が入っています。もちろん防災に関心のある人・あまり関心のない人・まったく関心のない人、そう言った人達を問わず、読み物として読んでも興味が持てる内容だと、自己評価しています。
     執筆者は連接講座の講師と都市防災研究会の会員からなっていて、総勢40人ほどの人達に原稿を書いていただきました。その意味でも都市防災研究会の会員が「みんなで作りあげた」労作といっても過言ではありません。悩みと言えば一つあります。発刊のための費用です。出版社の企画で本が出る場合は、本屋が経費を考え、印税も考慮してくれるのですが、今回の場合は私たちの企画で本を出すわけですから、本書の意向を踏まえると、発行部数の半分ぐらいは私たち(都市防災研究会と言うこともできますが、それはともかくとして)が捻出することになりかねないのです。その意味では費用については多くの検討課題を残しております。
     10月16日の連接講座後編集委員会を開催して、編集委員と有志参加者の意見を仰ぎ、今後の対策を講じていくつもりでおります。原稿については申し訳ないのですが、何分費用の件です。原稿を頂戴し、その上逆に執筆掲載料を頂戴しかねないので、編集幹事としては苦慮しています。



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