風のささやき

春の星に

春の星が輝いている
もう花を散らした桜の梢の合間に
ほのかな灯りが点るよう

星を見上げながら歩く
通りすぎる人の流れのなかで
僕はどうしてここに置かれて
いるのだろうと

その訳を話してくれた人はいない
星も自らの使命のままに輝くだけで
桜散る花吹雪にも淡い思いが湧いてくるだけ

何故に僕はいつまでも答えを探そうとするのだろう
その答えには巡り合わないこと
薄々と感じ始めているのに

諦めの悪い人
けれど春の宵の風はひと際優しく
僕は別に泣いている訳ではない

それでもその慰めは有難く感じているよ
それもまた思い込みだと知っていても
思い込みで僕の世の中はできていて
思い込みでみんなは自分を守っている
紐解けば何もない所に僕はこうして立って

星よこの世の幾つもの
縁の偶然にここにいる僕であるのならば
ただその不思議さを嬉しく思って
ありがとう言える素直さがあればいいのに

同じように偶然の人たちと一緒に暮らすことの不思議
少しは優しくできるようになればいいのに と