風のささやき

銀色の陽ざし

僕は銀色の陽ざしを纏うだろう
木立を真似てその一つのようにたたずんで
焼き尽くすものではない
怒れるものでもない許しでもない
ただ肌に優しい静かな陽ざしに
体を包まれながら

問いかけることもない
分からないことだらけ
それは変わらない
けれど心には何も浮かばない疑いは
ただこうして秋の陽ざしに
包まれていることが
僕に似つかわしいこととして

僕はただ静かに
光の多面体流れる風の血管の中を
うっすらと影を無くして通り過ぎる
見てきた美しい夢だけに酔い知れながら

コスモスが揺れている
青い空が嬉しい涙で滲んでいる
僕は覚えたての言葉を沢山ならべて
ただ心の有様をなぞろうとする
優しい人に心のままを伝えたくて

その人が笑った
その顔を見て僕も笑った
嬉しすぎて笑っているうちに
知らずと涙が零れ落ちてきた
それを舐めて行った透明な秋の風

僕の体は銀色の陽ざしに
骨まで優しく温かくされて
もう朽ちていくだろうその中へ
何の悔いも無い
ただ酔いしれた情感だけを残して
溶け込んだ沢山の笑顔だけが懐かしくて