野原の一隅を
クローバーが
ひそかに埋めつくした
今日だけは時間を忘れて
あなたとその上に寝ころぼう
幸いにも
僕らが一番乗りだ
裸足になれば足裏が
柔らかくてくすぐったい
桜や欅の若々しい緑を透かし
色づいた陽射しが肌に優しい
三枚の葉で支えるクローバー
幸いの四枚の葉も
紛れて力を貸している
だから安心をして
体を大の字に投げ出して
青空を体一杯に浴びる
白いくす玉のようなクローバーの花
そっと指先で触れば
頭を揺らし歌う子どものようだ
近くにあるタンポポの綿毛
願いを込めて吹いてみれば
新しい野原へと
空にいっせいに飛びあがる
ペンペン草が奏でる
素朴なわらべ歌の合いの手
つられて歌えば嬉しくなる
驚いたバッタが
胸をひとっ飛びに越えてゆく
モンシロチョウはひらひらと舞い降り
髪の毛に休む
働き者のアリが指先に
小さな冒険をする
温もる大地に身を預け
まどろむのも良し
そよ風に触られるのも良し
クローバーをいっせいに咲かせる
大地の力で満タンになったら
力みなぎる足で立ち上がろう
慌ただしさをはらい落とし
いつもの店でゆっくりと買い物をしよう
今日の夕食の献立を話しながら
いつまでもポカポカとする
大地の温もりを
背を押すクローバーの力を
体に嬉しく感じながら