風のささやき

僕の詩は

詩は夜のほとりの
番人のようでありたい
闇の重しにどこまでも
暗がりを落下する
あなたを抱きとめて
びくともしない
太い腕でありたい

悪意ある手は
闇の底にあなたを
叩きつけようとする
大切なあなたを守りたいから

詩は御伽噺のように
あなたの耳元を快く震わせたい
母親が読んできかせた
古い表紙の懐かしい語り口で

大好きな縫いぐるみを胸に
眠りにつく幼子よりも
安心してあなたが夢見られるように

健やかな寝息に
あなたが寝静まれば
詩はあなたに寄り添って眠る
悪い夢にうなされれば
握り締められる手のように
シルクの毛布の肌触りより
柔らかく眠りを包み

あまりにもこの世に無力な僕の
力のなさを痛く感じるほどに
希望の詩を綴らずにはいられない