風のささやき

托鉢の僧の手の鈴涼風か耳瑞々しく潤いわたる

夏だと言うのに
随分と暑そうな衣装を身につけた
托鉢の僧が道端に立っていました

最初は気付かなかったのですが
その手に持たれた鈴が鳴らされて
初めて気がつきました

鈴の音は随分と高く涼しげで
後ろから涼しい風が吹いてきたような
そんな涼感がありました

2回、3回と鳴らされたその鈴の音は
僕の耳を瑞々しく潤し
僕はそのお礼に
戻って御布施をしようかとも思いました