風のささやき

Shimbo氏は一人ぼっち。家は静か過ぎてね。

その日Shimbo家の面々は、待ってくれと懇願するShimbo氏を残して家を出て行ったのだという。一人取り残されたShimbo氏。誰もいなくなった家は物音一つしない静けさだったのだという。
 その日から、Shimbo氏の一人ぼっちの生活が始まったのだという。朝一人で起きても、誰もいない。これは夢なのかと思いつつ、子供たちがいつも眠っていた布団をめくってみる。もしかすると子供たちがふざけて、隠れているのではないかと思って。けれど、子供たちの姿もShimbo妻の姿もない。仕方なく起きだして、一人でテレビをつける。そうして力なくテレビの言葉にうなずいたり、「そうだよな、俺もそう思う」とテレビと会話をしているのだという。
 冷蔵庫の中の食材もグッと減ったのだという。今までは作り置きの料理やらが所狭しと収められていたのだが、皆が出て行った後の冷蔵庫の中に残っているのは、豆腐と漬物と納豆と。「まるで、俺の胸の内のように何もないぜ」と、自虐的に笑うShimbo氏。「どうせ俺なんか、何も食べないで、やせっぽっちになって、骨と皮だけになっちまうんだ」
 子供たちがお祭りでとってきた、赤い二匹の金魚。せめて、こいつらだけは、餌をやって、大切に育てようと思っていたShimbo氏であったが、夜遅くもどってくると、反対向きになって水面に浮いている金魚の姿。二匹ともShimbo氏を残してあっさりと死んでしまったのだという。
 ぐったりと肩を落とすShimbo氏。唯一、ハーブたちだけが残されたShimbo氏の話相手。「ついに最初に戻ってしまったな」と言うShimbo氏を慰めるハーブたち。「もう少ししたら、新しい家族も増えるんだから今しばらくの辛抱だよ」「そうは言っても家の中が静か過ぎて気持ち悪いんだよ。ちょっとギャップが大きすぎ」とShimbo氏。いつの間にか、子供がいて当然の暮らしに馴染んでいる自分に気づき、超父親になっていたんだと実感したのだという。
 「けれど、もう一人も男の子だぜ。男三人兄弟ってどうよ。」とこの後自分に訪れる、子育ての試練に、戦々恐々としているShimbo氏であった。

今回のおまけ

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こんな陽気な子供が産まれてくると思うぜ、Shimbo氏!

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