風のささやき

Shimbo氏、豆まきに懺悔す。愛すべき者たちを手にかけて

 2月3日は節分。日本全国恒例の豆撒きの日だ。その日は朝からソワソワとしていたというShimbo氏。布団から跳ね起きた瞬間「ヨーシ、今日はとことん撒くぞ」と天高く拳を突き上げたという。

 昔から豆撒きは十八番だったShimbo氏。節分の日はまさにヒーロー。鬼の面をかぶった大人に豆を投げつける仕草のあまりの素敵さに、若い娘さんたちが続々と失神したという。「豆さえあれば俺は無敵さ。ゴルゴ13にだって勝てる」とまで豪語していた。中学生の時の卒業文集には「将来は天下一の豆撒士になって、世界中の鬼を追い出してやる」と大きな夢を語っていた。

 その一方で不幸な目に会っていたのが、Shimbo氏に豆をぶつけられる大人たち。鬼の面をかぶったばかりにShimbo氏の投げつける高速の豆の標的にされて、中には顔の形が原型をとどめなくなってしまったものもいるらしい。節分の日、Shimbo氏の家の近くの病院は満員御礼。うめく大人たちの血まみれの姿に、医師たちの間では「節分の日はブラッディー」伝説が真しやかにささやかれていたらしい。
 
 そんな若かりし日の夢もついえ、Shimbo氏も今ではしがない小太りサラリーマン。しかし三つ子の魂は百までも消えず、今でも節分には燃えるのだという。それで、当日は朝から鞄の中を豆だらけにして、会社に向かったのだという。通勤途中でも鬼らしき気配を感じるとあたりかまわず豆を撒いたShimbo氏。その日のJRでは、窓にたくさんの弾痕のような穴が見つかり、暴力団どうしの抗争か?と新聞を賑わせたという。

 目的の駅についても洋々と肩で風をきっていたShimbo氏であった。相変わらず鬼らしき気配(赤いものとか毛むくじゃらのものとか)には敏感に反応し、豪快なフォームから「悪鬼退散!」と豆を投げ続けた。しかし、僅かなコントロールミスでビルの壁に跳ね返った豆が、たむろしていた鳩たちをなぎ倒したのだという。それでショックを受けたShimbo氏。自分の投じた流れ豆のせいで「大好きな鳥の仲間たちを傷つけてしまった」ことにショックで顔を青白くしていた。

 自分の豆撒きライフについて、突然自信がもてなくなったShimbo氏。愛するものを傷付けさえもする豆撒きの業の深さに、もう二度と豆を撒くことはないだろうと、黄金の右手を封印するのだという。これでShimbo氏のまわりの「節分の日はブラッディー」伝説もきっと消えていくことだろう。

今週のおまけ

流れ豆だけには気をつけなくちゃ!