風のささやき

Shimbo氏リベンジならず。姉さま方は阿修羅!

 ほぼ、一ヶ月前に、課の歓送迎会で姉さま方に辱めを受けたShimbo氏。日に日に大きくなるその屈辱感に、ここしばらくは眠れなかったという。そんなShimbo氏にリベンジのチャンスが訪れた。課の歓送迎会が再び執り行われることとなったのだ。その日の歓送迎会にそなえて、Shimbo氏は、近くの山にお百度参りをしたという。その祈りごととは唯一「姉さま方に負けないこと」。歓送迎会の前日には白装束に身をつつみ、家族に別れを告げて、辞世の句を読んだとのことだ。

 そんな激しい覚悟で会場に臨んだShimbo氏。しかし会場に着くと、姉さま方はShimbo氏を取り囲む状態で席についた。「なんという陣形!」Shimbo氏はうなったという。Shimbo氏の首を四方八方から狙う八つの目にShimbo氏は極度の緊張を強いられることとなった。
 しかしそこはShimbo氏、余裕を見せなければいけないと、ワイングラスを手にとって「このワインは、カベルネ・ソービニヨンかな。少し樽の香りが強すぎるかな。」などと訳のわかないコメントを述べていたという。しかしShimbo氏の緊張はそのワイングラスを持つ手には表れ、「今にもワイングラスを握りつぶしそうだった」と周りで見ていた人々は証言する。

 そんなShimbo氏に再度リベンジのチャンスが訪れた。新任の上司を後ろ盾にして、姉さま方と2次会に臨むこととなったのだ。会場は地下におりた洞窟のように薄暗い場所。店に入るなり、机の上に次から次へと運びこまれるワインのボトルを、来たそばから空にする姉さま方。まるでそれは「何本もの手と顔を持つ阿修羅のようだった」とShimbo氏。この時にもうShimbo氏の胸には敗北の予感が漂っていたらしい。

 その後のShimbo氏の惨めな様子はここに記すに耐えない。ただ、命からがらたどり着いた自分の部屋で、Shimbo氏はすぐに眠りについた。次の日の朝、目を覚ましたときに、部屋の明かりは煌々と点り、足には靴下をはいたままだったという。

 予想通りのひどい二日酔いの頭で、窓の外のハーブたちを眺めると「命があっただけでもいいと思え。もう姉さま方に立ち向かおうなんて馬鹿な気持ちを起こすなよ。」となぐさめられたShimbo氏。
 その朝、何事もなかったように涼しい顔でパソコンに向かっていた姉さま方を見て、今度こそほんとうに、姉さま方に立ち向かった自分の愚かさに気づいてくれることを心より望む。