風のささやき

課は激震。Shimbo氏猪木の延髄切り状態

 その日、Shimbo氏の所属する課に激震が走った。それは「遅ればせながら恐怖の大王が降ってきたようだった」と、某姉さんが恐怖の眼差しでShimbo氏に語っていた。
「確かにあれは、えらくこたえたね。猪木の延髄切りを食らったような衝撃だったね」と食らったこともない技を例えに、Shimbo氏もその衝撃の大きさを話した。

 その衝撃の発信源は、課の屋台骨を、少し痛む腰で支えつづけてきた上司が課を離れるという悪い悪い知らせ。それを聞いたときのShimbo氏も、あまりのできごとに口をポッカリと開けたまま茫然自失として、「口からよだれを垂れ流していた」と周りの人々は証言する。
 Shimbo氏がその後どうやって家まで無事にたどり着いたのかを覚えておらず、愛用のテンピュールの枕を天の川の星屑以上の涙で濡らしたことは言うまでもない。

 しかし、そこはだてに年をとっていないShimbo氏。これからは、組織の屋台骨を支える役割を担うんだからと胸に刻んで、「ぎこちない笑いを浮かべながら仕事をしていた」と同僚は語る。その姿は少し痛々しかったようだ。

 「カルシュウムを贈るよ、俺は」と、Shimbo氏は去り行く上司にカルシュウムの錠剤を手渡す計画らしい。「なんたって支えるべき屋台が大きくなるからね。」確かにその通りだ。これからますます重い役割を担う上司。屋台を支える骨も太く丈夫にしなければならない。「ほんとうは、自家製のハーブティーで慰労したいんだけどね。まだ小さすぎて。」と、Shimbo氏は少し寂しそうに笑った。