風のささやき

残る蝉夕映え全部の寂しさよ

夕映える道を歩いていました
背の高い街路樹に囲まれて

夏から取りこぼされた蝉が
時間を惜しむように鳴いています

いつから蝉の声を
寂しい物に感じるようになったのでしょうか

心ゆくまで鳴くことはきっとできず
地面にその身を横たえて行く蝉の姿が
あまりにも移ろいやすい
自分の生に重なっていきます

体中に浴びる夕日は
まだ鳴き止まぬ蝉の寂しさに満たされて
僕も寂しさの器になっていました