風のささやき

紙くずと間違うばかりに冬鴎

肌寒い午後
ビルの屋上から
海へと続く水路を眺めていました

水路には小さな船が行き来し
その船にまとわりつくように
何匹もの鴎が輪を描いています

遠くから眺めているせいでしょうか
僕の視点から眺めるかもめは
破り捨てられ風に舞う
汚れた紙くずのようにも見えて

冬に生気を奪われて
軽くなった生命が風に弄ばれているようで
ビルの中にいる
僕も少し肌寒ささえ感じていました