風のささやき

思い出は持て余すほど夏木蔭

子供たちを二日続けて
小学校まで送っていきました

その通学路の途中にある公園
木蔭になったベンチの上
二日間とも二人の老人が
それぞれに一つ一つのベンチに座り
空を見上げていました

年を取ると
沢山の思い出が積み重なって
新しい出来事への期待よりも
過去への思いの比重が多くなるのでしょう

その老人たちは
思い出をゆっくりと反芻しながら
自分の人生を整理しているように見えて

木蔭はその老人たちの思い出を肯うように
夏の強い陽ざしから守るようでした