風のささやき

心臓を一突きに貫け氷柱よ

秋田の家では
冬場は軒先等に
大きなつららがぶら下がります

子供たちと一緒に
そのつららに雪をぶつけて遊んでいると
意外な脆さで落ちてきます

けれど若かりし時分に
母の実家で見たつららは
もっと尖っていて
鋭利で透明な刃物の印象でした

そのつららに貫かれたら
自分の苦しみも一瞬にして
痛みも無く終わるような錯覚を覚えて

胸につららを突き立てる夢想に
しばらく耽っていました