風のささやき

人知れず壁に拝めり残る蝿

知らない間に
家の中に蠅が入り込んでいました

寒い外から
温かな家の中に逃げ込んで来たのでしょう

その割には
もうあまり体力がないのか
じっと壁に貼り付いて
時々拝むように手をこすり合わせています

普段は家の中に入り込むと
その煩さに
逃げ出すまで追いかける自分ですが

静かに拝んでいる蠅は
あまりにも無害で静かだったので
そのままにしておきました

気がづくとその姿はまるで
幻だったように消えていました