風のささやき

穭田や寄せるは萎靡た夕日のみ

刈り取りの終わった稲に
芽が顔を出していました

数日をおいて
その穭田(ひつじた)を訪れたら
芽が随分と伸びていました

役目を終えた稲には
手をかけてくれる人はもう
誰もいないのですが
それでも伸びる芽に
力強さを感じました

そんなものを珍しく
眺めていたのは自分ひとり

僕の他には夕日だけが
うち捨てられたような穭田に
寂れた赤い色を寄せていました

 #2007 秋に