風のささやき

古紙飛ぶや秋風に帆を膨らませ

今しがた走り去っていた
電車を追いかけるように
読み捨てられた新聞が
カサコソと音を立てながら
飛んで行きました

まるで迷子になった
子犬が慌てているようです

古新聞は真ん中の部分が
秋風をはらんで膨らみ
まるで風に張りつめた帆のようでした

それも風が古新聞に飽きて
そっぽを向くと
古新聞は勢いをなくして
レールの上に息絶えました