風のささやき

踏切の警笛溶け行く冬の空

電車の訪れを告げる警笛の音を聞きながら
閉ざされた踏み切りの前に僕はいました

寒い朝のこと
吐く息も白く
けたたましいのは警笛の音ばかり

時間をもて余し僕は空を眺めたのですが
冬の空は警笛を溶かし込んで静かなままです

やがてたくさんの人を乗せた通勤電車が
通り過ぎて行きました

その後も少し名残惜しそうに
警笛は鳴っていたのですが
その余韻を聞く耳も持たず
僕は急ぎ足で歩き去りました