風のささやき

お日様は手のひらにあり丸蜜柑

冷たい風が吹く
川べりを歩きました

枯れた野には生命の息吹が
ほとんど感じられません

上着のポケットには
もらった蜜柑が一つ
その丸い蜜柑を取り出して
手のひらに乗せました

色のない景色の中で
そこだけが明るくなって
まるで手の中に
お日様があるようでした
 

#2005 冬に

← 冬の俳句一覧に戻る