風のささやき

夕映えて稲架誰待つ蓑の影

刈り入れの終わった稲が
青空の下で
稲架に乾かされていました

実りの季節を迎えて
一年の大きな仕事が終わった安堵の心持に
すべてがその身を委ねたように
穏やかな風景が広がっていました

やがて日も暮れて
足早に山の向こうへ夕日が帰ろうとすると
稲架に干されていた稲が
蓑を被った人の群れのようなシルエットになり

誰かを一心に待ちわびているようで
僕は一人でその姿に胸を打たれていました