風のささやき

夏めいて木陰にへたる子犬かな

首輪をつけられていない子犬が
男の人の後を追いかけていました

楽しそうに走り回っていたのですが
やがて疲れたのか歩き出し

色を濃くした木陰に入ると
這いつくばって
そこから動かなくなりました

その日は前日の雨が
嘘のように晴れ上がり
雲一つない晴天

陽射しも強く
子犬の体には
急激過ぎる変化だったのでしょうか

あるいは木陰に吹く心地よい風を
楽しんでいたのかも知れません

 #2004 夏に