風のささやき

命尽く時を知ってか夜の蝉

夜もだいぶ遅い時間でした
そろそろ眠ろうかと台所に行き
水を一杯飲み干した時
窓の外から蝉の声が聞こえました

こんな夜更けに蝉の鳴き声を
聞いたことがなかったので
不思議に思い
僕はその音色に耳を傾けていたのですが

蝉は自分の命の
果てる時が近いことを知り
それで時間を惜しむように
暗闇に鳴きつづけているのでしょうか

あるいは東京の街の明りの中では
人間と同じように
蝉も昼夜の関係が無くなっているのでしょうか

風の中に秋めいたものを
多く感じるようになり
蝉の声は僕には
とても寂しく聞こえました